好酸球性多発血管炎性肉芽腫症で手足のしびれ・麻痺が起こることはありますか?
起こることがあります。血管の炎症により神経を養う血流が途絶えることで「多発単神経炎」が生じます。手足の激しいしびれのほか、手首や足首がだらりと下がる「下垂手・下垂足」などの深刻な運動麻痺を引き起こすことがあり、治療後も症状が残りやすいとされています。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)としびれ・麻痺の関係について、病気の特徴と症状の現れ方を順に整理します。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)とは
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA、旧称:チャーグ・ストラウス症候群)は、気管支喘息や好酸球性副鼻腔炎を持つ方に発症しやすい国の指定難病です。血液中の「好酸球(アレルギーに関わる白血球の一種)」が異常に増殖し、全身の小さな血管に壊死を伴う炎症(血管炎)を引き起こします。
手足のしびれ・麻痺が起こるメカニズム
EGPAにおいて手足のしびれや麻痺が起こるのは、血管の炎症によって「神経を養う微小な血管の血流が途絶えてしまう」ためです。末梢神経(脳や脊髄から全身に伸びる神経)に血液と栄養が行き渡らなくなることで、神経が強いダメージを受け、しびれや麻痺といった症状として現れます。
末梢神経障害「多発単神経炎」の特徴
EGPAによる末梢神経障害は「多発単神経炎」と呼ばれ、患者さんの9割以上にみられる非常に頻度の高い症状です。主に次のような特徴的な症状が現れます。
- 激しいしびれと感覚障害: 手足に強いしびれや痛み、ピリピリとした異常な感覚が生じます。手袋や靴下を身につける部分に一致して感覚が鈍くなる「手袋靴下型」というパターンをとることもあります。
- 重度な運動麻痺(筋力低下): 筋肉が麻痺して力がまったく入らなくなり、手首がだらりと垂れ下がる「下垂手(かすいしゅ)」や、足首が持ち上がらずバタバタと歩くようになる「下垂足(かすいそく)」といった深刻な運動麻痺を引き起こすことがあります。
治療後の影響(予後について)
末梢神経の障害は、早期にステロイド薬などで血管の炎症を抑える治療を行っても、ダメージを受けた神経の回復には非常に長い時間がかかります。そのため、しびれなどの感覚異常や手足の動かしにくさが後遺症として残りやすく、約3分の2の症例で完全には治りきらないとされています。
これらの症状は生活機能(QOL)に大きな悪影響を及ぼすため、もともと気管支喘息がある方で「急に手足が激しくしびれる」「足首に力が入らず転びやすくなった」などの症状が現れた場合は、速やかにリウマチ膠原病内科などの専門医療機関の受診をご検討ください。
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(参考文献)
難病情報センター.“好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(指定難病45)”.難病情報センター.https://www.nanbyou.or.jp/entry/3877,(参照 2026-08-17).
川嶋聡子.“好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)”.日本リウマチ学会(JCR).https://www.ryumachi-jp.com/general/casebook/egpa/,(参照 2026-08-17).
厚生労働科学研究費補助金・難治性疾患政策研究事業(難治性血管炎の医療水準・患者QOL向上に資する研究).“好酸球性多発血管炎性肉芽腫症”..https://www.vas-mhlw.org/kaisetsu-iryo/3-1-3/,(参照 2026-08-17).
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京都大学iPS細胞研究所 呼吸器内科
山形 昂 監修
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