好酸球性多発血管炎性肉芽腫症EGPA
監修医師栗原 信吾北水会記念病院 整形外科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症とは
「好酸球性多発血管炎性肉芽腫症」とはどのような病気ですか?
特にアレルギーを持っている人で、全身の細い血管に炎症が起こる病気です。臓器に血液が届かず、うまく働かなくなります。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症は、かつて「チャーグ・ストラウス症候群」として知られていた病気で、血管炎(血管の壁が炎症を起こす病気)の一種です。
この病気は、特に気管支喘息や鼻茸を伴う好酸球性副鼻腔炎などのアレルギーを持っている患者さんにおいて起こります。
このような患者さんにおいて、血液を構成する要素である好酸球が異常に増加し、体のさまざまな場所の小さな血管に炎症が起こることで、血液の流れが悪くなります。それによって、特に肺や皮膚、心臓、腎臓などの臓器が傷つき、働きにくくなってしまうことがあります。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の治療としては、早めに炎症を抑えるお薬での治療を行うことで、症状は改善しますが、末梢神経の障害によるしびれが残ることがあります。また、お薬を減量したり治療を中止すると再発することが多いため、医師と相談しながら治療を進めてください。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の症状
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の場合、皮膚に症状は出ますか?
はい。皮下出血(あざ)や、傷が広がって皮膚が深いところまで傷ついた状態になることがあります。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症は、特に気管支喘息や鼻茸を伴う好酸球性副鼻腔炎などのアレルギーを持っている患者さんにおいて起こる病気で、血管炎(血管の壁が炎症を起こす病気)の一種です。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の患者さんの体内では、血液を構成する要素である好酸球が異常に増加し、体のさまざまな場所の小さな血管に炎症が起こります。
そのため、皮膚の血管が炎症すると、皮下出血(あざ)や、傷が広がって皮膚が深いところまで傷ついた状態になることがあります。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症には初期症状はありますか?
喘息や息切れ、息がゼーゼーする、鼻水などがあります。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症は、特に気管支喘息や鼻茸を伴う好酸球性副鼻腔炎などのアレルギーを持っている患者さんにおいて起こります。そのため、初期症状としては、以下のような喘息や副鼻腔炎に関連した症状があらわれます。
- 喘息
- 息切れ
- 息がゼーゼーする
- 鼻水
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症では、喘息やアレルギー性鼻炎を持つ患者さんにおいて、血液を構成する要素である好酸球が異常に増加し、体のさまざまな場所の小さな血管に炎症が起こることで、臓器が傷つき、働きにくくなってしまうことがあります。そのため、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の患者さんでは、次第に以下のような血管の炎症に関連する症状があらわれます。
また、消化管出血、脳出血・脳硬塞、心筋梗塞などの重篤な病気が合わせて起こることもあります。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症ではどのような症状がありますか?
喘息や鼻水、発熱、手足のしびれ、皮下出血(あざ)、腹痛、心筋梗塞、脳梗塞などがあります。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症は、特に気管支喘息や鼻茸を伴う好酸球性副鼻腔炎などのアレルギーを持っている患者さんにおいて起こります。
このような患者さんにおいて、血液を構成する要素である好酸球が異常に増加し、体のさまざまな場所の小さな血管に炎症が起こることで、血液の流れが悪くなります。それによって、特に肺や皮膚、心臓、腎臓などの臓器が傷つき、働きにくくなってしまうことがあり、以下のような血管の炎症に関連する症状があらわれます。
また、消化管出血、脳出血・脳硬塞、心筋梗塞などの重篤な病気が合わせて起こることもあります。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の原因
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の原因は何がありますか?
原因はわかっていませんが、アレルギーなど免疫の異常が関係していると考えられています。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の原因はわかっていません。
私たちの体には、抗原(細菌やウイルスなど病気の原因となる異物)に対して、体に入った異物を排除しようとする免疫の仕組みがあります。好酸球性多発血管炎性肉芽腫症は、何らかの抗原に対して、免疫の仕組みが過剰に反応するアレルギー反応が関係していると考えられています。
また、薬剤(ロイコトリエン受容体拮抗薬)を使用した患者さんで好酸球性多発血管炎性肉芽腫症が発症することがありますが、この薬剤との明らかな因果関係は証明されていません。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の検査・診断
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症のセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症で見られる症状が該当するかどうかで、セルフチェックが可能です。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症は、特に気管支喘息や鼻茸を伴う好酸球性副鼻腔炎などのアレルギーを持っている患者さんにおいて起こります。
そのため、気管支喘息あるいはアレルギー性鼻炎があり、以下のような血管の炎症に関連する症状が合わせて生じている場合には、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症が疑われます。
ただし、いずれも好酸球性多発血管炎性肉芽腫症以外の病気でも見られる症状ですので、医師による専門的な診察を受けてください。
症状検索エンジン「ユビー」も質問に答えるだけでセルフチェックができますので、ご活用ください。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症は血液検査でわかりますか?
血液検査で好酸球の増加やMPO-ANCA陽性がわかりますが、これだけでは確定診断できず、臨床所見や病理検査との組み合わせが必要です。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)の血液検査でわかることと、確定診断に必要な情報を整理します。
血液検査でわかること
EGPAは、気管支喘息やアレルギー性鼻炎(好酸球性副鼻腔炎など)のある方に発症しやすい自己免疫疾患(指定難病)です。血液検査では、EGPAを強く疑うための極めて重要な手がかりとして、以下の所見が確認できます。
- 好酸球の著しい増加: 血液中の白血球の一種であり、アレルギーに関わる「好酸球」の割合や実数が著しく異常増加(好酸球増多)します。
- 自己抗体(MPO-ANCA)の検出: 血管炎の診断の手がかりとなるMPO-ANCA(抗好中球細胞質抗体の一種)が陽性となることがあります。
- その他の炎症所見: CRPの高値や血沈の亢進といった強い炎症反応や、血清IgE(アレルギー反応に関わる抗体)の高値がみられることがあります。
血液検査の限界
血液検査の所見は診断に不可欠ですが、血液検査の結果だけで確定診断を下すことはできません。
特に注意が必要な点として、EGPA患者さんの約半数はANCA検査が陰性となります。そのため、「血液検査で自己抗体が検出されなかったから」といって、この病気を否定することはできません。
確定診断に必要な検査
正確な確定診断を確立するためには、血液検査の異常に加えて、次のような情報を組み合わせて総合的に判断する必要があります。
- 臨床症状の確認: コントロールが難しい気管支喘息の既往や、手足のしびれなどの血管炎による特徴的な症状の有無。
- 画像検査: CT検査などによる肺や副鼻腔の病変の確認。
- 組織生検: 影響を受けている皮膚、神経、筋肉などの組織の一部を採取し、顕微鏡で調べます。この検査で「壊死性血管炎」や、著しい好酸球の浸潤を伴う「好酸球豊富な肉芽腫性炎症」の所見を確認することが、確定診断において最も重要な役割を果たします。
血液検査の結果だけで自己判断せず、喘息の悪化や手足のしびれ、急な発熱など気になる症状がある場合は、リウマチ膠原病内科や呼吸器内科などの専門医療機関への受診をご検討ください。
参考文献
川嶋聡子.“好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)”.日本リウマチ学会(JCR).https://www.ryumachi-jp.com/general/casebook/egpa/,(参照 2026-08-17).
国立がん研究センター.“指定難病45 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症 診断基準”.がん情報サービス.https://www.nanbyou.or.jp/entry/3878,(参照 2026-08-17).
国立がん研究センター.“指定難病45 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症 概要”.がん情報サービス.https://www.nanbyou.or.jp/entry/3878,(参照 2026-08-17).
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の治療・対処法
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の場合、主にどのような治療をしますか?
血管の炎症を抑えることを目的に、ステロイドや免疫抑制薬など薬による治療を行います。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の治療としては、血管の炎症を抑え、症状を改善することを目的として、お薬での治療を行います。
患者さんの重症度や状態によって使用するお薬は異なりますが、以下のような治療などが考えられます。
副腎皮質ステロイド
副腎皮質ステロイド(プレドニゾロン)を毎日飲み、症状が改善したら少しずつ飲む量を減らしていきます。長期間治療(1年間以上)することが多いです。
免疫抑制薬
脳・心臓・腸などの臓器に異常がある場合には、副腎皮質ステロイドに合わせて、免疫抑制薬(シクロホスファミド)を併用することがあります。
また、これまでの治療では効果が不十分な患者さんにおいて、抗IL-5抗体(メポリズマブ)などの生物学的な製剤(生体内のタンパク質を人工的に作った薬)が使用されることもあります。
なお、お薬による治療を行っても、末梢神経の障害によるしびれが残ることがあります。お薬を減量したり治療を中止すると再発することも多いため、医師に相談しながら治療を進めてください。
受診の目安・何科を受診するべきか
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症EGPAの専門医がいる近くの病院はありますか?
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症EGPAの専門医がいる病院を見る好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の薬
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?
主に副腎皮質ステロイドで治療し、重症度に応じて免疫抑制薬や生物学的製剤を併用します。治療中は感染症や高血糖などの副作用に注意が必要です。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)の主な治療薬と、それに伴う副作用について整理します。EGPAの治療は、生命や重要な臓器を脅かすような重篤な症状があるかどうかに応じて、複数の薬を組み合わせて行われます。
1. 治療の柱:ステロイド薬
好酸球による炎症を速やかに抑えるための最も基本となる治療薬です。
- 役割: 軽症であっても初期治療から内服薬(プレドニゾロンなど)が広く使用されます。重症の場合は、高用量の点滴(ステロイドパルス療法)から強力に治療を開始します。
- 主な副作用: 免疫を抑制する作用による感染症のリスク上昇をはじめ、骨粗鬆症、2型糖尿病、代謝異常などのリスクがあります。そのため、薬を減らしていく期間も含めて厳重な管理が必要です。
2. 重症例に対する治療薬(寛解導入療法)
脳、心臓、腸などの重要臓器に病変がある重症患者さんに対し、ステロイド薬と併用して、速やかに病気を落ち着かせるために使用されます。
- シクロホスファミド(免疫抑制薬): 強力な効果がありますが、白血球減少による感染症リスク、膀胱毒性(出血性膀胱炎など)、将来的な悪性腫瘍リスク、不妊の原因となる性腺毒性などの副作用に注意が必要です。
- リツキシマブ(分子標的薬): シクロホスファミドと同等の有効性を持ちます。特に、将来の妊娠を希望する若年層や、シクロホスファミドの毒性が心配な患者さん、高齢者などで選択されやすい薬です。副作用として、感染症リスクの上昇や、長期的な抗体低下(低ガンマグロブリン血症)が挙げられます。
3. 非重症例・維持療法に対する生物学的製剤
重症ではない患者さんの治療や、ステロイド薬を減量していくための維持療法の中心として、近年非常に重要な役割を果たしています。
- 抗IL-5 / 抗IL-5受容体製剤(メポリズマブ、ベンラリズマブなど): 特定の物質(IL-5)だけを狙い撃ちする薬です。最大のメリットは、従来の免疫抑制薬に比べて非常に毒性が低く、安全性が極めて高い点です。まれにアレルギー等の過敏症反応が起こることがあります。
4. その他の代替薬・補助的な治療
非重症患者さんの初期治療や維持療法で、メトトレキサートやミコフェノール酸モフェチルなどの免疫抑制薬が用いられることもあります。これらには、腎機能低下時の毒性増加、まれな薬剤性肺障害、胎児の催奇形性などの副作用があります。
また、ステロイドが効きにくい多発性単神経炎(手足の激しいしびれや麻痺)や、これらの標準的な治療で効果が不十分な難治性の状態に陥った場合は、免疫グロブリン大量静注療法(IVIG)や血漿交換などが追加で検討されることもあります。
副作用に対する注意点
どの治療薬を使用する場合でも、体の免疫の働きが弱まるため「感染症の予防と早期発見」が最も重要です。手洗いやうがいの徹底、人混みを避けるなどの対策を心がけ、発熱や体調の変化、気になる症状が現れた場合は、すぐに主治医や医療機関にご相談ください。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の経過・予後
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の余命は、どのくらいですか?
10年生存率は81〜92%という報告があります。多くの場合、薬で症状を抑えることができます。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の予後(病気や治療の経過・結末についての見通し)はよく、10年生存率(診断されてから10年間生存している割合)は81〜92%という報告があります。
90%以上の患者さんで、副腎皮質ステロイドなどのお薬による適切な治療を受けることによって症状が軽くなっていきます。一方、10%程度の患者さんでは、お薬による効きが悪く、症状が改善しない場合もあります。
また、非常に少数の患者さんでは、心臓、肺、腎臓などの臓器に重篤な障害が生じて、脳出血・脳硬塞、心筋梗塞、腸穿孔、重症腎炎などの重篤な病気を合併し、経過が悪くなってしまう方もいますが、死亡に至るのは1%程度です。
対処法・セルフケア
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症で薬が効かない場合、どうしたらよいですか?
非重症例で効かない場合は、重症例に準じた強力な薬を併用します。さらに難治性の場合や、急速な腎障害・肺出血などがある場合は、免疫グロブリン大量静注療法(IVIG)の追加や血漿交換などが検討されます。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)の治療において、推奨される標準治療(高用量ステロイドとシクロホスファミド、またはリツキシマブなど)で十分な効果が得られない状況は非常にまれとされています。しかし、重症の症状が持続する難治性の状態に陥ったり、再発を繰り返したりする場合には、以下のような手段や治療方針の変更が検討されます。
生物学的製剤や免疫抑制薬の変更・追加
現在行われている治療の組み合わせを見直し、より強力な治療へとステップアップします。
- 強力な寛解導入療法への移行: 非重症の患者さんでステロイドや抗IL-5製剤(メポリズマブなど)による治療が効かない場合は、重症例の治療に準じて、シクロホスファミドやリツキシマブをベースとした強力な治療へ移行します。
- 薬剤の追加: 治療中に何度も再発を繰り返す場合は、抗IL-5製剤に免疫抑制薬(メトトレキサートやミコフェノール酸モフェチル)を追加します。それでも改善しない場合には、リツキシマブを組み合わせて使用することが推奨されています。
難治性・重篤な臓器障害に対する追加治療
複数の薬を組み合わせても病状のコントロールが難しい場合や、命に関わる臓器障害が生じている場合は、以下の治療法が追加で考慮されます。
- 免疫グロブリン大量静注療法(IVIG)の追加:他の治療に反応しない、あるいは再発を繰り返す難治性の患者さんに対して、ステロイドや免疫抑制療法に高用量IVIGを追加投与します。これにより、病状のコントロールが大幅に改善したというケースが多く報告されています。
- 血漿交換:血液中の有害な物質を直接取り除く治療です。EGPAによって「急速に進行する腎障害」や、重篤な呼吸不全を招く「びまん性肺胞出血」が引き起こされているなど、緊急性の高い重篤な病態を改善させるために考慮されます。
症状が改善しない場合の注意点
治療を続けていても症状が改善しない、あるいは新たな症状(手足のしびれの悪化、息苦しさなど)が現れたと感じる場合は、薬の効き目が不十分であるか、病気が再燃している可能性があります。自己判断で薬の量を減らしたり治療を中断したりせず、速やかに主治医にご相談ください。
参考文献
国立がん研究センター.“指定難病45 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症 概要”.がん情報サービス.https://www.nanbyou.or.jp/entry/3878,(参照 2026-08-17).
日本リウマチ学会ガイドライン委員会.“「市販後調査のためのメポリズマブ使用の手引き」改訂第3版”.日本リウマチ学会.https://www.ryumachi-jp.com/publish/guide/guideline_mepolizumab/,(参照 2026-08-17).
日本呼吸器学会.“C-06 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症”..https://www.jrs.or.jp/citizen/disease/c/c-06.html,(参照 2026-08-17).
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症に関連するその他の質問
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症で心臓に影響が出ることはありますか?
心臓に影響が出ることがあります。心臓病変は最も深刻な合併症のひとつであり、死亡原因の約半数を占めます。心不全や心筋炎などを引き起こしますが、自覚症状がなくても約40%の患者さんで異常が見つかるため、早期の詳しい検査が不可欠です。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)で心臓にどのような影響が起こりうるか、具体的な病変や症状、検査の重要性について順に整理します。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症における心臓病変の重要性
EGPA(旧称:チャーグ・ストラウス症候群)は、好酸球が著しく増加し全身の血管に炎症が起こる指定難病です。さまざまな臓器に影響が及びますが、中でも心臓の病変はEGPAにおける最も深刻な合併症のひとつであり、EGPAによる死亡原因の約半数を占めるとされています。特に、診断時に血液中の好酸球数が著しく高い患者さんほど、心臓への影響が頻繁に見られる傾向があります。
心臓に起こる具体的な変化
好酸球が心臓の筋肉や周囲の組織に入り込んだり、血管炎が起こったりすることで、以下のような多様な心臓病変が引き起こされます。
- 心筋炎・心筋症: 心臓の筋肉そのものに炎症が起こる状態(患者さんの約16%に発生するという報告があります)
- 心外膜炎・心嚢液貯留: 心臓を包む膜の炎症(約15%)や、そこに液体が溜まる状態(約50%)
- 弁膜症: 心臓の血液の逆流を防ぐ弁の障害(約73%)
- その他の重篤な病態: 心不全、心不整脈、心臓内の壁内血栓の形成など
心臓病変の症状と「無症状」のリスク
心臓病変が進行すると、動悸(心臓がドキドキする感覚)や、息苦しさ・息切れといった自覚症状が現れます。重症化すると、心筋梗塞に似た深刻な状態や重い心不全に陥るリスクがあります。
しかし、最も注意すべき点は「初期には自覚症状がないことが多い」という事実です。実際に、自覚症状がなく心電図も正常なEGPA患者さんであっても、約40%の割合で心エコーなどの詳細な検査によって心臓に病変が見つかることがわかっています。
重症化を防ぐための検査と対応
自覚症状の有無だけで心臓病変を判断することは非常に危険です。そのため、EGPAが疑われる場合や診断された直後には、症状がなくてもルーチンで以下の初期評価が行われます。
- 心電図検査
- 心エコー(超音波)検査
- 血液検査による心筋マーカーの確認(心臓トロポニン、NT-proBNPなど)
さらに必要があれば、心臓MRIや心内膜生検が実施されることもあります。
動悸や息切れなどの症状を少しでも感じた場合はもちろんのこと、自覚症状がなくても、主治医の指示に従って心臓の定期的な検査を必ず受けることが、命に関わる重症化を防ぐために極めて重要です。
参考文献
Bond M,et al. At the Heart of Eosinophilic Granulomatosis with Polyangiitis: into Cardiac and Vascular Involvement. Curr Rheumatol Rep. 2022, 24, 337-351.
難病情報センター.“好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(指定難病45)”.難病情報センター.https://www.nanbyou.or.jp/entry/3877,(参照 2026-08-17).
川嶋聡子.“好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)”.日本リウマチ学会(JCR).https://www.ryumachi-jp.com/general/casebook/egpa/,(参照 2026-08-17).
厚生労働科学研究費補助金・難治性疾患政策研究事業(難治性血管炎の医療水準・患者QOL向上に資する研究).“好酸球性多発血管炎性肉芽腫症”..https://www.vas-mhlw.org/kaisetsu-iryo/3-1-3/,(参照 2026-08-17).
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症で手足のしびれ・麻痺が起こることはありますか?
起こることがあります。血管の炎症により神経を養う血流が途絶えることで「多発単神経炎」が生じます。手足の激しいしびれのほか、手首や足首がだらりと下がる「下垂手・下垂足」などの深刻な運動麻痺を引き起こすことがあり、治療後も症状が残りやすいとされています。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)としびれ・麻痺の関係について、病気の特徴と症状の現れ方を順に整理します。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)とは
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA、旧称:チャーグ・ストラウス症候群)は、気管支喘息や好酸球性副鼻腔炎を持つ方に発症しやすい国の指定難病です。血液中の「好酸球(アレルギーに関わる白血球の一種)」が異常に増殖し、全身の小さな血管に壊死を伴う炎症(血管炎)を引き起こします。
手足のしびれ・麻痺が起こるメカニズム
EGPAにおいて手足のしびれや麻痺が起こるのは、血管の炎症によって「神経を養う微小な血管の血流が途絶えてしまう」ためです。末梢神経(脳や脊髄から全身に伸びる神経)に血液と栄養が行き渡らなくなることで、神経が強いダメージを受け、しびれや麻痺といった症状として現れます。
末梢神経障害「多発単神経炎」の特徴
EGPAによる末梢神経障害は「多発単神経炎」と呼ばれ、患者さんの9割以上にみられる非常に頻度の高い症状です。主に次のような特徴的な症状が現れます。
- 激しいしびれと感覚障害: 手足に強いしびれや痛み、ピリピリとした異常な感覚が生じます。手袋や靴下を身につける部分に一致して感覚が鈍くなる「手袋靴下型」というパターンをとることもあります。
- 重度な運動麻痺(筋力低下): 筋肉が麻痺して力がまったく入らなくなり、手首がだらりと垂れ下がる「下垂手(かすいしゅ)」や、足首が持ち上がらずバタバタと歩くようになる「下垂足(かすいそく)」といった深刻な運動麻痺を引き起こすことがあります。
治療後の影響(予後について)
末梢神経の障害は、早期にステロイド薬などで血管の炎症を抑える治療を行っても、ダメージを受けた神経の回復には非常に長い時間がかかります。そのため、しびれなどの感覚異常や手足の動かしにくさが後遺症として残りやすく、約3分の2の症例で完全には治りきらないとされています。
これらの症状は生活機能(QOL)に大きな悪影響を及ぼすため、もともと気管支喘息がある方で「急に手足が激しくしびれる」「足首に力が入らず転びやすくなった」などの症状が現れた場合は、速やかにリウマチ膠原病内科などの専門医療機関の受診をご検討ください。
参考文献
難病情報センター.“好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(指定難病45)”.難病情報センター.https://www.nanbyou.or.jp/entry/3877,(参照 2026-08-17).
川嶋聡子.“好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)”.日本リウマチ学会(JCR).https://www.ryumachi-jp.com/general/casebook/egpa/,(参照 2026-08-17).
厚生労働科学研究費補助金・難治性疾患政策研究事業(難治性血管炎の医療水準・患者QOL向上に資する研究).“好酸球性多発血管炎性肉芽腫症”..https://www.vas-mhlw.org/kaisetsu-iryo/3-1-3/,(参照 2026-08-17).
好酸球が高くてむくみがある場合、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症ですか?
好酸球は、喘息などのアレルギーによって増加します。好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の可能性も考えられます。
好酸球の数値の異常な増加がある場合、アレルギーの反応が起きている可能性があります。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症は、特に気管支喘息や鼻茸を伴う好酸球性副鼻腔炎などのアレルギーを持っている患者さんにおいて起こります。
気管支喘息あるいはアレルギー性鼻炎があり、むくみの他に、以下のような症状が生じている場合には、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症が疑われます。
ただし、いずれも好酸球性多発血管炎性肉芽腫症以外の病気でも見られる症状ですので、医師による専門的な診察を受けてください。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症と多発血管炎性肉芽腫症の違いはなんですか?
EGPAは「気管支喘息の合併」と「著しい好酸球の増加(鼻茸など)」が特徴ですが、GPAは喘息を伴わず、「鼻や軟骨の破壊的病変(鞍鼻など)」が特徴です。また、GPAはPR3-ANCAが高頻度で陽性になるのに対し、EGPAは半数以上がANCA陰性となるなど、検査所見や病理にも明確な違いがあります。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)と多発血管炎性肉芽腫症(GPA)について、それぞれの特徴と主な違いを整理します。
両疾患の概要
EGPA(旧称:チャーグ・ストラウス症候群)とGPA(旧称:ウェゲナー肉芽腫症)は、どちらも全身の小型血管に炎症が起こる「ANCA関連血管炎(AAV)」というグループに分類される国の指定難病です。しかし、発症の背景や現れる症状、検査結果には明確な違いがあります。
EGPAとGPAの決定的な違い
臨床的・病理学的に、両者には主に以下の4つの大きな違いがあります。
- 気管支喘息と好酸球増多の有無:
- EGPA: 気管支喘息を合併し、血液中の好酸球(アレルギーに関わる白血球)が著しく増加(5,000〜9,000個/μLなど)するのが最大の特徴です。
- GPA: 気管支喘息は合併せず、好酸球の増加がみられたとしても軽微です。
- 上気道(鼻や耳など)病変の特徴:
- 自己抗体(ANCA)の陽性率とタイプ:
- EGPA: 約半数はANCA検査が陰性となります。陽性となる場合は、主に「MPO-ANCA」が検出されます。
- GPA: 欧米では、約65〜75%で「PR3-ANCA」が陽性となる一方、国内ではMPO-ANCAが約半数を占めるとされています。
- 組織病理学的(顕微鏡)所見:
- EGPA: 組織を顕微鏡で見ると、著しい好酸球の浸潤を伴う「好酸球が豊富な壊死性肉芽腫性炎症」が確認されます。
- GPA: 肉芽腫性炎症はみられますが、EGPAのように好酸球が豊富に含まれることは通常ありません。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)の主な症状
EGPAは、段階的に症状が進行することが多い病気です。代表的な症状として以下が挙げられます。
- 先行症状: コントロールの難しい気管支喘息や、鼻茸を伴う好酸球性副鼻腔炎が先行して起こります。
- 全身症状・血管炎症状: その後、血液中の好酸球が著しく増加し、発熱、体重減少、紫斑(皮膚の内出血)などが現れます。
- 神経症状: 血管炎によって神経の血流が絶たれることで、手足の激しいしびれや痛み、手首や足首がだらりと下がって動かせなくなる「下垂手・下垂足」といった運動麻痺(多発単神経炎)が起こります。これは急性期を過ぎても後遺症として残りやすい症状です。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の治療
治療は、炎症を強力に抑える副腎皮質ステロイド薬を中心に行うのが原則です。重症例やステロイド薬だけでは効果が不十分な場合、あるいはステロイドを減量していく過程で、免疫抑制薬や生物学的製剤(抗IL-5抗体など)を組み合わせて治療を行います。
気管支喘息の症状が悪化して治りにくいと感じている場合や、そこに手足のしびれ、発熱などの全身症状が新たに加わった場合は、速やかにリウマチ膠原病内科や呼吸器内科などの専門医療機関の受診をご検討ください。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症は血管性浮腫と関係がありますか?
いいえ。全く違う病気です。血管性浮腫は急にまぶたや唇がはれる病気です。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症は、血管性浮腫とは異なる病気であり、関連性も認められていません。好酸球性多発血管炎性肉芽腫症と血管性浮腫はそれぞれ以下のような病気です。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症
血管炎(血管の壁が炎症を起こす病気)の一種です。
この病気は、特に気管支喘息や鼻茸を伴う好酸球性副鼻腔炎などのアレルギーを持っている患者さんにおいて起こります。
このような患者さんにおいて、以下のような症状があらわれます。
血管性浮腫
血管性浮腫は、急にまぶた、唇、ほおなどの皮膚や、のど、舌がはれる病気です。赤みやかゆみはなく、はれがひくまでに1~3日ぐらいかかかります。
血管性浮腫の原因は、遺伝的な要因と、それ以外の要因があると考えられており、例えば、解熱消炎鎮痛薬、ペニシリン、降圧薬、経口避妊薬などのお薬によって引き起こされることがあります。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症で障害者手帳は取得できますか?
「好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)」という病名だけで、自動的に障害者手帳がもらえるわけではありません。しかし、病気の影響で手足の麻痺やしびれ、または呼吸機能の低下といった症状が後遺症として残り、日常生活に支障が出ている場合は、その重症度に応じて「身体障害者手帳」の対象になることがあります。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)の症状
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(旧称:チャーグ・ストラウス症候群)は、気管支喘息や副鼻腔炎を持つ方に多く見られる国の指定難病(指定難病45)です。アレルギーに関わる白血球(好酸球)が異常に増え、全身の血管に炎症を起こします。
- 神経への影響: 血管の炎症によって血流が悪くなり、手足のしびれや麻痺(末梢神経障害)が多くの患者さんにみられます。
- 呼吸器への影響: もともとある気管支喘息の悪化や、肺の病変による息苦しさなどが続くことがあります。
障害者手帳の対象となる「基準」
身体障害者手帳は、「どんな病気にかかったか」ではなく、「結果として、どのような身体機能の障害が残っているか」を基準に交付されます。そのため、この病気で手帳の対象となるのは、主に次のようなケースです。
- 肢体不自由(手足の障害): 血管炎による神経へのダメージで、手足が動かしにくい、感覚がないといった麻痺が残った場合
- 呼吸器機能障害: 喘息の重症化や肺の病変により、日常生活を送る上で十分な呼吸ができない場合
認定にあたっては、一時的な不調ではなく、「将来にわたって回復する見込みが極めて少ない(永続する)障害」であるかどうかが評価されます。
「難病の医療費助成」と「障害者手帳」の違い
この病気は国の指定難病であるため、一定の基準を満たせば「指定難病の医療費助成(医療受給者証)」を受けることができます。
よく混同されがちですが、これと「身体障害者手帳」はまったく別の制度です。
- 医療費助成: 病気の治療にかかるお金をサポートする制度(病名と現在の重症度で判定)
- 身体障害者手帳: 車いすの給付や税金の控除、交通費の割引など、生活のさまざまな支援を受けるための制度(残った機能障害のレベルで判定)
窓口も審査の基準も異なるため、それぞれ個別に申請する必要があります。
障害者手帳を申請するには
手帳の交付を受けるには、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口で手続きを行います。申請には、都道府県が指定した医師(指定医)に書いてもらう専用の診断書が必要です。
手足のしびれ・麻痺や呼吸の苦しさが続いており、日常生活に不便を感じている場合は、「身体障害者手帳の対象になるか」について、まずは主治医にしっかりとご相談ください。
参考文献
難病情報センター.“好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(指定難病45)”.難病情報センター.https://www.nanbyou.or.jp/entry/3877,(参照 2026-08-19).
厚生労働省.“身体障害者手帳”.厚生労働省.https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/shougaishatechou/index.html,(参照 2026-08-19).
厚生労働省.“身体障害者障害程度等級表の解説(身体障害認定基準)について(平成15年1月10日 障発第0110001号)”.厚生労働省.https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb2760&dataType=1&pageNo=1,(参照 2026-08-19).
厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業. ANCA関連血管炎診療ガイドライン2023. 診断と治療社. 2023
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症で障害年金は受給できますか?
「好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)」という病名がついているだけで自動的にもらえるわけではありません。しかし、神経の障害による手足の麻痺、重い呼吸器症状、あるいは複数の臓器の不調などによって、日常生活や仕事にどれくらい支障が出ているか(総合的な重症度)に応じて、障害年金の対象(1〜3級)になる可能性があります。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症とは
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(旧称:チャーグ・ストラウス症候群)は、気管支喘息や副鼻腔炎などを背景に、アレルギーに関わる白血球(好酸球)が異常に増えて全身の血管に炎症を起こす国の指定難病(指定難病45)です。「ANCA関連血管炎」の仲間に分類され、手足のしびれや麻痺、発熱、筋肉痛、咳、動悸など、多様な症状を引き起こします。
障害年金の対象になるか?
指定難病に認定されていることと、障害年金がもらえるかどうかは、直接結びつきません。障害年金は「なんという病気か」ではなく、「その病気によって、日々の生活や仕事にどれほどの制限が出ているか」という実態に基づいて等級(1〜3級)が判定される仕組みです。そのため、同じ病名であっても、症状の重さによって受給できる場合とできない場合があります。
等級はどのように決まるのか?
この病気専用の判定基準はありません。そのため、現れている主な症状に合わせて、次のような国の認定基準に照らし合わせて審査されます。
- 手足のしびれ・麻痺が中心の場合:「肢体の障害」の基準
- 呼吸器の症状が中心の場合:「呼吸器疾患による障害」の基準
- 心臓や腎臓など複数の不調が絡む場合:「その他の疾患による障害(難病特有の基準)」
【等級の目安】
- 1級: 日常生活の動作がほとんど自分でできず、常に介助が必要な程度
- 2級: 日常生活が著しい制限を受ける、または人に助けてもらう必要がある程度
- 3級: 仕事が制限を受けたり、労働に著しい制限が加えられたりする程度
申請に向けた注意点
障害年金の申請には、専門的なルールに沿った医師の診断書や、日々の生活状況を詳しく書いた書類の提出が必要です。手足の麻痺や呼吸の苦しさなどが原因で、仕事や普段の生活に大きな支障を感じている場合は、まずはかかりつけの医師に相談したり、お近くの年金事務所や専門家(社会保険労務士など)に確認してみることをご検討ください。
参考文献
難病情報センター.“好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(指定難病45)”.難病情報センター.https://www.nanbyou.or.jp/entry/3877,(参照 2026-08-19).
日本年金機構.“国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 第18節 その他の疾患による障害”.日本年金機構.https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/shougainenkin/ninteikijun/20140604.files/3-1-18.pdf,(参照 2026-08-19).
厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業. ANCA関連血管炎診療ガイドライン2023. 診断と治療社. 2023
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症と気管支喘息の関係はありますか?
極めて密接な関係があります。好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)は、国際的な基準でも「気管支喘息および好酸球増多を伴う」血管炎と定義されており、気管支喘息の存在は、他の類似した血管炎とこの病気を明確に区別するための極めて重要な診断のポイントとなります。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)と気管支喘息の関係について、病気の定義や発症の経過、症状の概要を順に整理します。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)とは
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)は、以前は「チャーグ・ストラウス症候群」と呼ばれていた自己免疫疾患(指定難病)です。
国際的な疾患分類(CHCC2012)においても、「気管支喘息(アレルギー性喘息)および好酸球増多を伴う」壊死性の血管炎と定義されています。血液中の「好酸球(アレルギー反応に関わる白血球の一種)」が異常に増加し、全身の細い血管に炎症を起こします。名前が似ている「多発血管炎性肉芽腫症(GPA)」とは、特徴が異なる別の病気です。
気管支喘息との極めて密接な関係
EGPAは、もともと気管支喘息やアレルギー性鼻炎(鼻茸を伴う好酸球性副鼻腔炎など)を持つ方に発症するという大きな特徴があります。
単に関係が深いというだけでなく、「気管支喘息があること」と「好酸球が著しく増加していること」は、EGPAをGPAなどの他の血管炎から明確に区別するための極めて重要な鑑別点とされています。つまり、気管支喘息はこの病気が発症する重要な背景となっています。
発症の典型的な経過
病状は一般的に、以下の3つの段階を経て進行することが多いとされています。
- 喘息・アレルギー期: 気管支喘息や好酸球性副鼻腔炎の症状が先行し、コントロールが難しくなり悪化する。
- 好酸球増多期: 血液中や組織で好酸球の数が著しく増加する。
- 血管炎期: 全身の血管に炎症が起こり、血流障害による多彩な症状が現れる。
血管炎による主な症状
血管炎期に入ると、全身の臓器に以下のような影響が及びます。
- 全身症状: 発熱、体重減少、強い倦怠感
- 神経症状: 手足の激しいしびれや痛み。進行すると手首や足首がだらりと下がって動かせなくなる運動麻痺(下垂手・下垂足などの多発単神経炎)
- 呼吸器症状: 咳、喘鳴、呼吸困難の悪化
- 皮膚症状: 紫斑(内出血のようなあざ)、皮下結節、皮膚の潰瘍
- その他: 関節痛、筋肉痛、腹痛(消化管の潰瘍など)
もともとある気管支喘息の症状が悪化して治りにくいと感じている場合や、そこに急な手足のしびれ、発熱、皮膚の異常などの全身症状が新たに加わった場合は、速やかにリウマチ膠原病内科や呼吸器内科などの専門医療機関の受診をご検討ください。
参考文献
難病情報センター.“好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(指定難病45)”.難病情報センター.https://www.nanbyou.or.jp/entry/3877,(参照 2026-08-17).
川嶋聡子.“好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)”.日本リウマチ学会(JCR).https://www.ryumachi-jp.com/general/casebook/egpa/,(参照 2026-08-17).
日本呼吸器学会.“C-06 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症”..https://www.jrs.or.jp/citizen/disease/c/c-06.html,(参照 2026-08-17).
厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業. ANCA関連血管炎診療ガイドライン2023. 診断と治療社. 2023
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症は指定難病ですか?
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)は国の「指定難病(指定難病45)」に指定されており、所定の重症度基準を満たす場合は医療費助成の対象となります。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)が指定難病に該当するかどうかについて、疾患の概要とあわせて解説します。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)とは
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)は、以前は「チャーグ・ストラウス症候群」と呼ばれていた自己免疫疾患です。主に気管支喘息やアレルギー性鼻炎を持つ方に発症しやすく、白血球の一種である「好酸球(アレルギー反応に関わる細胞)」が異常に増殖して全身の血管に炎症を引き起こします。原因は完全には解明されておらず、遺伝する病気ではないとされています。
なお、名称が似ている疾患に「多発血管炎性肉芽腫症(GPA)」がありますが、EGPAとは特徴が異なる別の疾患として区別されています。
指定難病としての位置づけ
EGPAは、発症原因が不明で治療法が確立していないことから、国が定める「指定難病45」に該当します。指定難病に認定されているため、症状の重症度基準を満たす場合には医療費助成の対象となります。また、EGPAを含むANCA関連血管炎については専門の診療ガイドライン(ANCA関連血管炎診療ガイドラインなど)が整備されており、専門的な診療体制のもとで標準的な治療が行われています。
主な症状と特徴
発症しやすい年齢は40〜70歳(平均発症年齢は50〜60歳前後)で、女性にやや多く見られ、患者数は近年増加傾向にあります。代表的な症状には以下のものが挙げられます。
重症化した場合のリスク
血管の炎症が全身の重要な臓器に及ぶため、病状が進行して重症化すると、脳出血、脳梗塞、心筋梗塞、あるいは消化管出血といった命に関わる重大な合併症を引き起こす恐れがあります。
治療法について
治療は、炎症を強力に抑えるための副腎皮質ステロイド薬を中心に行われます。重要臓器(神経、心臓、腎臓など)に病変が及んでいる重症例や、ステロイド薬だけでは効果が不十分な場合には、シクロホスファミドなどの免疫抑制薬や分子標的薬などが併用されます。
喘息症状に加えて、手足のしびれ、発熱、皮膚の異常などの症状が続く場合や、急激な体調の悪化を感じた際は、速やかにリウマチ膠原病内科などの専門医療機関の受診をご検討ください。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症とチャーグストラウス症候群に違いはありますか?
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症は、以前「アレルギー性肉芽腫性血管炎」や「チャーグストラウス症候群」と呼ばれていました。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症は、もともと「アレルギー性肉芽腫性血管炎」や「チャーグストラウス症候群」と呼ばれていたので、「好酸球性多発血管炎性肉芽腫症」と「チャーグストラウス症候群」は同じ病気のことを指しています。
2012年に行われた全身性血管炎の標準分類についての国際会議(チャペルヒルコンセンサス会議)で名称が「好酸球性多発血管炎性肉芽腫症」に変更され、日本でも「好酸球性多発血管炎性肉芽腫症」と呼ばれるようになりました。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「好酸球性多発血管炎性肉芽腫症EGPA」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 全身の痛みがありますか?
- 便に赤い血が混じっていますか?
- 体温は37.5℃以上ですか?
- 息苦しさを感じますか?
- ゼーゼー・ヒューヒューするような呼吸音がしますか?
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症に関連する病気・症状
この記事の監修医師
栗原 信吾 先生
北水会記念病院 整形外科
【経歴】 山形大学医学部卒業(2013年) 沖縄中部徳洲会病院(初期研修) 群馬大学整形外科 善衆会病院、堀江病院、まつだ整形外科 横浜市立大学大学院ヘルスデータサイエンスコース修士課程修了 北水会記念病院 整形外科(2026年-)
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03