慢性炎症性脱髄性ポリニューロパチーの症状は?慢性炎症性脱髄性ポリニューロパチー
監修医師原瀬 翔平亀田総合病院 脳神経内科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03
慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)とは
2ヶ月以上の進行性の経過で手足にしびれ感をきたす末梢神経の炎症です。典型的な症状としては手足の力が入らない、しびれ感や違和感を認めることが多いです。再発することもあります。
「慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)」とはどのような病気ですか?
自己免疫反応の異常により全身の多くの末梢神経が十分に機能せず、2ヶ月以上にわたり進行や再発を繰り返す病気です。
ヒトの身体には自己免疫反応という、細菌・ウイルス・腫瘍(腫れ物やしこり)などの異物を排除して、自分を守るためのシステムが備わっています。しかし、自己免疫に異常が生じ、自分の正常な細胞を攻撃してしまうことがあります。
慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)は、自己免疫の異常により、全身の多くの末梢神経(脳や脊髄から出て全身に張り巡らされる細い神経)が、十分に機能しないことで、手足の運動障害や感覚障害を起こす病気です。
症状は2ヶ月以上かけてゆっくりと進行します。
性別では男性にやや多く、年齢が上がるほど罹患率は上がります。治療がよく効いても、その後も繰り返すことが多く、定期的な通院が必要となります。
現時点で、自己免疫が何らかの原因で、誤って自分を攻撃してしまう自己免疫性の機序(しくみ)だと考えられてはいますが、その原因となる抗体は見つかっておらず、また詳細な発症の機序も明らかになっていません。
慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)の症状
慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)には初期症状はありますか?
手足に力が入りにくくなる、しびれる、感覚が分かりにくくなるなどの症状があります。箸の使いづらさなどで気づくことがあります。
慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)では、以下のような手足の運動障害や手足のしびれ・痛みなどの感覚障害がみられます。症状は2ヶ月以上かけてゆっくりと進行します。症状がある場合は、脳神経内科を受診しましょう。
運動障害(手足の力が入りにくい)
- お箸が使いにくくなった
- ペットボトルの蓋があけにくくなった
- 立ち上がるのが大変
- 歩きにくくなった
感覚障害(手足の感覚がおかしい)
- 手足が痺れている
- お湯の温度がわかりにくい
- 自分の手足の位置がわからない
- ふらつく
慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)ではどのような症状がありますか?
手足の筋力低下といった運動障害や手足のしびれ・痛みなどの感覚障害がみられます。
慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)では主に、以下のような手足の運動障害や手足のしびれ・痛みなどの感覚障害がみられます。
運動障害(手足の力が入りにくい)
- お箸が使いにくくなった
- ペットボトルの蓋があけにくくなった
- 立ち上がるのが大変
- 歩きにくくなった
感覚障害(手足の感覚がおかしい)
- 手足が痺れている
- お湯の温度がわかりにくい
- 自分の手足の位置がわからない
- ふらつく
なお、CIDPは症状、経過、発症年齢などからいくつかに分類されます。
典型的なCIDPの特徴と、非典型的なCIDPのタイプは、それぞれ以下の通りです。
典型的なCIDPの特徴3点
1. 左右対称性に上記のような四肢の運動・感覚障害が起こること
2. 四肢の近位(手足の体に近い方、上腕・大腿)も遠位(手足の体から遠い方、前腕・手・下腿・足)も十分に機能しないこと
3. 腱反射(腱をハンマーで叩打することで瞬間的に筋肉が収縮する現象)が消失すること
非典型的CIDPのタイプ
- 遠位のみ障害があらわれるタイプ
- 運動障害のみのタイプ
- 感覚障害のみのタイプ
など
慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)の原因
慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)の原因は何がありますか?
自己の末梢神経を攻撃してしまう自己免疫の異常が原因と考えられています。
慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)は、本来自分を守るはずの自己免疫(ウイルス・細菌・がん細胞などの異物から自分の体を守る機能)が何らかの原因で誤って自分を攻撃してしまう、自己免疫性の機序(しくみ)だと考えられています。
しかし、その原因となる抗体は見つかっておらず、また詳細な発症の機序も明らかになっていません。この自己免疫の異常により、全身の多くの末梢神経(脳や脊髄から出て全身に張り巡らされる細い神経)が十分に機能しないことで、四肢の筋力低下や感覚障害を起こすと考えられています。
慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)の検査・診断
慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)のセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
以下のような症状がある場合は、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)の可能性も疑われます。
なお、あくまで疑うためのチェック項目であり、実際にCIDPと診断されるためには、病院での専門的な検査が必要です。脳神経内科を受診しましょう。
運動障害(手足の力が入りにくい)
- お箸が使いにくくなった
- ペットボトルの蓋があけにくくなった
- 立ち上がるのが大変
- 歩きにくくなった
感覚障害(手足の感覚がおかしい)
- 手足が痺れている
- お湯の温度がわかりにくい
- 自分の手足の位置がわからない
- ふらつく
慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)の治療・対処法
慢性炎症性脱髄性ポリニューロパチーへの対処法は?
脳神経内科を受診して神経伝導検査等の精査を行う必要があります。
慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)の場合、主にどのような治療をしますか?
主にステロイド薬の大量点滴や免疫グロブリン療法、血漿浄化療法で治療します。これらの治療効果はほとんど同じです。
慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)の原因は、自己免疫(ウイルス・細菌・がん細胞などの異物から自分の体を守る機能)が何らかの原因で誤って自分を攻撃してしまう、自己免疫性の機序(しくみ)だと考えられています。
このため、自己免疫を抑えたり、調節したり、取り除いたりする治療を行います。免疫を抑える薬として、ステロイド薬を大量に点滴する治療、免疫を調節するような薬として、免疫グロブリンを大量に点滴する治療、自己免疫を取り除く治療として血漿浄化療法があります。これら3種の治療に優劣はありません。
なお、ステロイドと免疫グロブリンは点滴するだけですが、血漿浄化療法は透析のように血液を機械でろ過するような治療です。簡便性や副作用の観点から、まずはステロイドか免疫グロブリンでの治療が選択されることが多いです。
症状が落ち着いても繰り返す病気であるため、通院を続ける必要があります。
受診の目安・何科を受診するべきか
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慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)とギランバレー症候群の違いは何ですか?
どちらも自己免疫の病気ですが、発症の原因や症状が異なります。
どちらの病気も、自己免疫の異常により、全身の多くの末梢神経(脳や脊髄から出て全身に張り巡らされる細い神経)が十分に機能しないことで、手足の運動障害や感覚障害を起こす病気です。
慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)は、明らかなきっかけはなく、2ヶ月以上かけてゆっくり進行し、また繰り返す病気です。
一方、ギランバレー症候群は、感染などをきっかけとして急性に発症し、約4週間以内をピークに回復へ向かい、基本的には1回のみで終わる病気です。
CIDPでは原因となる自己抗体はわかっていませんが、ギランバレー症候群は抗ガングリオシド抗体が原因と考えられています。
慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「慢性炎症性脱髄性ポリニューロパチー」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 皮ふ表面の感覚がおかしいと感じますか?
- 膝から下にかけてしびれがありますか?
- しびれや感覚のおかしさを感じますか?
- 肩から肘にかけてしびれがありますか?
- 両方の腕が動かないですか?
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この記事の監修医師
原瀬 翔平
亀田総合病院 脳神経内科・内科
University of Washington (理学部、分子細胞生物学) 卒業後、アップルジャパン株式会社勤務を経て、琉球大学医学部に入学。沖縄県立中部病院での初期臨床研修(2016, 2017年度最優秀研修医賞受賞)修了後、2018年4月に亀田総合病院に入職。同院脳神経内科ベスト指導医(2019, 2020)を受賞。2018年から亀田総合病院卒後研修センター長補佐も兼任しており、臨床だけでなく研修病院における医学教育にも力を入れている。2021年には国立循環器病研究センター脳血管内科で超急性期脳卒中診療を行う。 総合内科の視野を持ちながらの脳神経内科領域、特に脳卒中を専門とする。急性期だけでなく予防、慢性期脳卒中による症候性てんかん、高次脳機能評価、リハビリ、等にも精通。頭痛、しびれ、物忘れ等の主訴にも柔軟に対応できる。 日本語、英語(ネイティブ)、中国語(日常会話)での対応も可能。
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03