自己免疫介在性脳炎・脳症のひとつである、橋本脳症とはどのような病気ですか?

甲状腺の病気である橋本病に伴って起こる自己免疫性の脳症で、ステロイド治療が効きやすいとされます。

橋本脳症について、病気の特徴、症状、検査と治療に分けて説明します。

橋本脳症の特徴

橋本脳症は、慢性甲状腺炎(橋本病)に伴って起こる自己免疫性の脳症です。甲状腺ホルモンの量の異常で起こるのではなく、免疫のしくみが脳に影響することで起こると考えられています。抗NAE抗体が陽性だった橋本脳症の患者さん80例の解析では、72%の人で甲状腺の働きは正常でした。
背景にある橋本病は、気づいていない人も含めると、日本人の3〜5%にみられるとされています。
同じ報告では、発症年齢の平均は62.3歳で、20〜30歳代と60〜70歳代の2つの年代に多く、男女比は1対5と女性に多い結果でした。

橋本脳症の症状

症状の現れ方はさまざまで、主に次のタイプに分けられます(割合は同じ80例の解析)。

  • 急性脳症型(58%):意識障害や精神症状が急に現れるタイプ
  • 精神病型(17%):うつや統合失調症に似た精神症状が慢性的に続くタイプ
  • 小脳失調型(16%):ふらつきや歩きにくさが中心のタイプ

みられた症状は、意識障害が66%、精神症状が53%、認知症が38%、不随意運動が31%、けいれんが29%、ふらつきなどの失調が28%でした。検査では、脳波の異常が80%、脳の血流を調べる検査(SPECT)での血流低下が76%にみられた一方、頭部MRIで異常がみられたのは36%にとどまりました。症状や検査の結果が多彩なため、診断が遅れたり見過ごされたりする場合も多いとされています。

橋本脳症の検査と治療

血液検査で、抗TPO抗体などの甲状腺に対する抗体を調べます。抗TPO抗体が陽性の場合、確定診断には抗NAE抗体の検査が必要とされます。ただし、抗NAE抗体が陽性になるのは43%にとどまり、陰性でも橋本脳症を否定できません。
治療では、多くの患者さんでステロイドが効果を示し、免疫グロブリン療法が効いた例もあります。再発を防ぐために免疫抑制薬が使われることもあります。治療で改善が期待できることから、「治療可能な認知症」のひとつとしても位置づけられるとされています。ただし、治療の効果を厳密に確かめた臨床試験はまだありません。

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関連する病気と症状

(参考文献)

米田誠. 橋本脳症の診断と治療. 臨床神経学. 2012, 52, 1240-1242 .
高橋幸利. 自己免疫性介在性脳炎・脳症の診断・治療スキーム. 臨床神経学. 2012, 52, 836-839.

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