自己免疫性脳炎の原因は何がありますか?
脳の神経細胞に対する自己抗体などが関わると考えられ、腫瘍や感染症がきっかけになることもあります。
自己免疫性脳炎の原因について、脳を攻撃する抗体の種類と、発症のきっかけに分けて説明します。
脳を攻撃する自己抗体
免疫が自分の体の成分を標的にして作ってしまう抗体を「自己抗体」と呼びます。自己免疫性脳炎では、脳の神経細胞などに対する自己抗体が関わると考えられており、これまでに8種類以上の自己抗体が明らかになっています(厚生労働省)。代表的なものは次のとおりです。
- 抗NMDA受容体抗体
- 抗LGI1抗体
- 抗Caspr2抗体
- 抗GAD抗体
- 抗NAE抗体(橋本脳症に関わる抗体)
まだ見つかっていない未知の抗体が関わっている場合もあると考えられています。
抗体の標的の場所による違い
自己抗体は、標的が神経細胞の表面にあるか、細胞の内側にあるかで大きく2つに分けられます。
神経細胞の表面を標的とする抗体(抗NMDA受容体抗体など)は、抗体そのものが症状を引き起こすと考えられており、抗体を取り除くと症状が改善しうるとされています。
一方、細胞の内側を標的とする抗体が関わるタイプは、免疫療法が効きにくい傾向があるとされています。細胞の内側を標的とする抗体のうち、抗Hu抗体などは、古くから腫瘍に伴って現れることが知られている抗体です。
腫瘍や感染症との関係
自己免疫性脳炎は、次のようなものに伴って起こる場合があります。
- 腫瘍に伴うもの:抗NMDA受容体脳炎では、患者さんの約4割に腫瘍がみられ、最も多いのは卵巣奇形腫です(厚生労働省)
- 感染症に伴うもの:風邪などの感染症に続いて起こることがあり、感染症の症状が出てから1週間ほどで脳炎の症状が出るタイプがあるとされています
- ヘルペス脳炎のあとに起こるもの:単純ヘルペスウイルスによる脳炎の数週間後に起こることがあります。海外の報告では、ヘルペス脳炎を発症した51人のうち14人(27%)が自己免疫性脳炎を起こしました
腫瘍を伴う場合は、腫瘍そのものの治療もあわせて行われます。
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(参考文献)
厚生労働省.“自己免疫介在性脳炎・脳症”..https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/000828398.pdf,(参照 2026-10-26).
飯塚高浩. 自己免疫性脳炎およびその類縁疾患における最近の進歩. 臨床神経学. 2019, 59, 491-501.
高橋幸利. 自己免疫性介在性脳炎・脳症の診断・治療スキーム. 臨床神経学. 2012, 52, 836-839.
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やよい在宅クリニック 脳神経内科
武井 悠香子 監修
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