自己免疫性脳炎の場合、主にどのような治療をしますか?
ステロイドや免疫グロブリン、血漿交換など、免疫の異常に働きかける治療が中心です。
自己免疫性脳炎の治療を、最初に行う治療、効果が不十分な場合の治療、症状に合わせた治療に分けて説明します。
急性期に行う免疫療法(第一選択)
自己免疫性脳炎の治療は、免疫の異常な働きを抑えたり、原因となる抗体を取り除いたりする免疫療法(免疫修飾療法)が中心です。急性期には、次の治療が第一選択として推奨されています(小児慢性特定疾病情報センター)。
- ステロイドパルス療法:ステロイドを短期間に大量に点滴する治療
- 免疫グロブリン大量静注療法(IVIg):抗体を含む血液製剤を点滴する治療
- 血漿交換療法:血液から抗体を含む成分を取り除く治療
抗NMDA受容体脳炎についての日本の調査では、ステロイドだけで治療した場合よりも、血漿交換や免疫グロブリン療法を組み合わせた場合のほうが、社会復帰までの期間が短かったと報告されています(厚生労働省研究班)。
なお、現時点で有効性が確立した治療法はなく、これらの治療は経験的に行われています。
効果が不十分な場合の治療(第二選択)
第一選択の治療で十分に改善しない場合は、リツキシマブやシクロホスファミドといった、免疫を抑える薬の点滴が検討されます。ただし、これらの治療は日本での報告が少ないとされています。
同じ抗NMDA受容体脳炎の調査では、第二選択の治療を行った人は、第一選択の治療だけの人に比べて再発が抑えられていたと報告されています。
腫瘍の治療と症状に合わせた治療
卵巣奇形腫などの腫瘍を伴う場合は、手術や化学療法で腫瘍を治療します。ただし、腫瘍の治療だけでは神経の症状に十分な効果が得られないことも多いとされています。
あわせて、症状に応じて次のような治療が行われます。
- てんかん発作に対する抗てんかん薬(効きにくいことが多いとされます)
- 精神症状に対する抗精神病薬
- 意識障害や呼吸の障害に対する人工呼吸器による管理
- 回復を助けるリハビリテーション
- てんかん外科治療(てんかんに対する手術)
症状が落ち着いたあとに、再発を防ぐための治療(維持療法)を続けるかどうかについては、一致した見解やエビデンスはまだありません。
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(参考文献)
日本小児神経学会.“101 自己免疫介在性脳炎・脳症 概要”.小児慢性特定疾病情報センター.https://www.shouman.jp/disease/details/11_40_101/,(参照 2026-10-26).
厚生労働省.“自己免疫介在性脳炎・脳症”..https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/000828398.pdf,(参照 2026-10-26).
河内 泉 ほか.“NMDA受容体抗体脳炎に関する一次調査及び二次調査結果”.厚生労働科学研究成果データベース.https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/202310038A-buntan10.pdf,(参照 2026-10-26).
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やよい在宅クリニック 脳神経内科
武井 悠香子 監修
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