自己免疫性脳炎の予後について教えてください。
抗体のタイプで異なります。治療で回復が期待できる場合もありますが、時間がかかることや再発もあります。
自己免疫性脳炎の予後(病気の見通し)は、原因となる抗体のタイプによって異なり、治療で回復が期待できる場合もあれば、回復に時間がかかったり再発したりする場合もあります。ここでは、抗体のタイプによる違い、回復までの経過、再発に分けて説明します。
抗体のタイプによる予後の違い
予後は、原因となる自己抗体(自分の体を誤って攻撃してしまう抗体)の種類によって異なります。
神経細胞の表面をねらう抗体(抗NMDA受容体抗体、抗LGI1抗体など)が関わるタイプは、免疫療法(免疫の異常な働きを抑える治療)が比較的効きやすいとされています。
一方、次のタイプは免疫療法が効きにくく、治りにくい経過をたどることが多いとされています。
- 抗Hu抗体などが関わる、腫瘍に伴って起こるタイプの脳炎(傍腫瘍性神経症候群)
- 抗GAD抗体のように、神経細胞の内側をねらう抗体が関わるタイプ
回復までにかかる時間
抗NMDA受容体脳炎では、症状が強く出ている時期(急性期)の治療によって、発症から2年(24ヶ月)の間に、身の回りのことを人の手を借りずに行える程度まで回復する人が約8割とされています(厚生労働省)。
一方で、自己免疫性脳炎は急性期の治療が比較的効きやすいものの、後遺症が問題になります。もの忘れなどの記憶の障害や、気分や行動の変化などの精神症状がよくなるまでには、数ヶ月から数年かかる場合が多いとされています。
また、抗NMDA受容体脳炎では、急性期に10%の人が亡くなるという報告もあります(厚生労働省)。
再発と長い期間の経過観察
抗NMDA受容体脳炎では、いったんよくなった症状が再び現れる「再発」が、20〜25%の人に起こるとされています(厚生労働省)。ただし、これまでの報告は観察した期間が短く、長い期間でみた再発の割合はまだはっきりしていません。
抗NMDA受容体脳炎はしばしば再発するため、症状が落ち着いたあとも、長い期間にわたって経過をみていく必要があるとされています。また、腫瘍に伴うタイプの脳炎では、症状がよくなったあとに腫瘍が見つかる例もあります。
さらに、抗NMDA受容体脳炎では、記憶力や注意力の低下、気分や行動の変化が長く続くことがあり、症状が落ち着いたあとも免疫を抑える治療を続ける(維持療法)ことが多いとされています。
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(参考文献)
日本小児神経学会.“101 自己免疫介在性脳炎・脳症 概要”.小児慢性特定疾病情報センター.https://www.shouman.jp/disease/details/11_40_101/,(参照 2026-10-26).
厚生労働省.“自己免疫介在性脳炎・脳症”..https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/000828398.pdf,(参照 2026-10-26).
厚生労働省.“第54回指定難病検討委員会 資料1-2「NMDA受容体抗体脳炎(個票)」”..https://www.mhlw.go.jp/content/10905000/001200184.pdf,(参照 2026-10-26).
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やよい在宅クリニック 脳神経内科
武井 悠香子 監修
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