自己免疫性脳炎は後遺症がありますか?
記憶障害や注意力の低下などの認知機能障害、てんかん、精神症状が長く残ることがあります。
自己免疫性脳炎は、治療で症状がよくなっても、記憶障害や注意力の低下などの認知機能障害、てんかん、精神症状といった後遺症が長く残ることがあります。ここでは、残りやすい後遺症、抗NMDA受容体脳炎の場合、回復までの期間と対応に分けて説明します。
自己免疫性脳炎で残りやすい後遺症
自己免疫性脳炎は、症状が強く出ている時期(急性期)の免疫療法(免疫の異常な働きを抑える治療)が比較的効きやすい病気ですが、後遺症が問題になります。
多くの自己免疫性脳炎では、急性期を過ぎたあとも長い期間にわたって、次のような症状が残ることがあります。
- もの覚えの悪さ(記憶障害)
- 注意力の低下など、考えたり覚えたりする働きの低下(認知機能障害)
- てんかん発作(けいれんなど)
- 気分や行動の変化などの精神症状
また、脳のどの部分が傷ついたかによって、言葉や判断、計画などの働きの障害(高次脳機能障害)や、体の動きにくさ(運動機能障害)がさまざまな程度で残ることがあります。
てんかんを発症した場合は、薬が効きにくかったり、長く続いたりすることがあります。
抗NMDA受容体脳炎の後遺症
日本で最も多い抗NMDA受容体脳炎では、急性期の治療によって、発症から2年(24ヶ月)の間に約8割が、身の回りのことを人の手を借りずに行える程度まで回復するとされています(厚生労働省)。一方で、記憶の面での後遺症が約6割に残るとされています(厚生労働省)。
長い期間にわたって記憶力や注意力の低下、気分や行動の変化が続くことがあり、免疫を抑える治療を続ける必要がある場合も多いとされています。
回復までの期間と後遺症への対応
記憶障害や精神症状がよくなるまでには、数ヶ月から数年かかる場合が多いとされています。
治療は、症状に応じて次のようなものを組み合わせて行われます。
- てんかん発作を抑える薬(抗てんかん薬)
- 精神症状をやわらげる薬(抗精神病薬)
- 回復を助けるリハビリテーション
なお、腫瘍に伴って起こる特殊なタイプ(抗Hu抗体などが関わるもの)や、抗GAD抗体が関わるタイプは、免疫療法が効きにくく、治りにくい経過をたどることが多いとされています。症状が長く続く場合もあるため、急性期を過ぎたあとも、医師と相談しながら経過をみていくことが大切です。
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(参考文献)
日本小児神経学会.“101 自己免疫介在性脳炎・脳症 概要”.小児慢性特定疾病情報センター.https://www.shouman.jp/disease/details/11_40_101/,(参照 2026-10-26).
厚生労働省.“自己免疫介在性脳炎・脳症”..https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/000828398.pdf,(参照 2026-10-26).
厚生労働省.“第54回指定難病検討委員会 資料1-2「NMDA受容体抗体脳炎(個票)」”..https://www.mhlw.go.jp/content/10905000/001200184.pdf,(参照 2026-10-26).
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やよい在宅クリニック 脳神経内科
武井 悠香子 監修
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