高齢者の前立腺がんの余命は?転移がある場合の治療は?放射線治療は受けられる?
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高齢者で前立腺がんになった場合の余命(生存率)について教えてください。
高齢者で前立腺がんになった場合の余命(生存率)について教えてください。
70代で診断された方の5年生存率は約85%、80歳以上の方では約57%と報告されています。
前立腺がんは、他のがんに比べて進行が遅いため、がんそのもので亡くなることは少ないとされています。
実際に、2015年に前立腺がんと診断された70歳以上の方のデータでは、前立腺がん以外の原因で亡くなった方を除くと、以下のような生存率が報告されています。
70代
- ステージⅠ〜Ⅲ:5年後の生存率 100%
- ステージⅣ:63%
80歳以上
- ステージⅠ~Ⅱ:100%
- ステージⅢ:90.4%
- ステージⅣ:45.6%
このように、転移がある場合や転移しやすいような悪性度の高い前立腺がんでなければ、体の状態によっては長く生きられる可能性が高いと言われています。
しかし、70代以上では他のがんや心不全、肺炎などの影響で亡くなる方も増えるため、実際の5年生存率(すべての死因を含むデータ)は70代の方で約85%、80歳以上の方では約57%と報告されており、ステージ別では以下のようになります。
70代
- ステージⅠ:89.9%
- ステージⅡ:90.7%
- ステージⅢ:88.3%
- ステージⅣ:55.0%
80歳以上
- ステージⅠ:70.2%
- ステージⅡ:69.8%
- ステージⅢ:61.3%
- ステージⅣ:30.5%
前立腺がんのステージに関しては、ユビー病気のQ&A「前立腺がんのステージ(転移の有無別)について教えてください。」をご参照ください。
前立腺がんは、適切な治療を受けることで、他のがんと比べても長生きできる可能性が高いです。
必要以上に不安にならず、治療の方法や今後の方針については、担当の医師としっかり相談しながら決めていくことが大切です。
(参考文献)
前立腺がんの放射線治療は高齢者でも受けられますか?リスクについて教えてください。
前立腺がんの放射線治療は高齢者でも受けられますか?リスクについて教えてください。
はい。放射線治療はご高齢の患者さんでも受けることができますが、副作用が現れることがあります。
前立腺がんの放射線治療は、高齢の患者さんでも受けることができます。
放射線治療には、大きく分けて2種類 あります。
外照射(IMRTなど)
体の外から放射線を当てる方法です。
1週間~1ヶ月ほど、毎日通院する必要がありますが、手術は不要です。
小線源療法(ブラキセラピーなど)
小さな金属(シード)を前立腺に埋め込み、内部から放射線を照射します。
連日の通院は不要ですが、麻酔を用いた1回の手術でシードを埋め込みます。
どちらの治療も、体力的に標準的な手術が難しい患者さんでも受けることができます。
また、放射線治療は前立腺全摘除術と比べると負担が少ないですが、副作用のリスクがゼロではないことに注意が必要です。
考えられる副作用
放射線の影響により、前立腺が一時的に腫れたり、周囲の臓器にも影響が及ぶことがあります。
主な副作用として、以下のような症状が報告されています。
副作用には、すぐに現れる急性期症状と時間が経ってから出る晩期症状があります。
これらに対する対症療法もありますので、事前に担当医の説明をしっかり聞くことが大切です。
特に外照射のほうが直腸や膀胱に影響が出る可能性がありますが、最近はスペーサー(放射線の影響を和らげるゼリー状の成分)を使うことによって、副作用を抑えられることが報告されています。
(参考文献)
転移のある前立腺癌の場合、1次治療ではどのような治療を行いますか?
転移のある前立腺癌の場合、1次治療ではどのような治療を行いますか?
男性ホルモンを抑える治療を基本に、新規ホルモン薬や抗がん剤を併用するのが標準的です。
転移のある前立腺がんの一次治療は、ホルモン療法を基本とし、状態に応じてお薬を組み合わせます。前立腺がんは男性ホルモン(テストステロン)の刺激で増殖しやすいため、まずこの刺激を断つ「ホルモン療法」が治療の土台となります。具体的には、注射薬を使用することや手術で精巣を取り除くことによって男性ホルモンを低下させます。
また、近年の研究で、最初からお薬を組み合わせた方が生存期間を大きく延ばせることがわかっています。そのため、現在は、基本的なホルモン療法に1つまたは2つ薬剤を加えた、2剤併用療法または3剤併用療法が標準的です。
二剤併用療法(ダブレット療法)
いくつかの条件の下、ホルモン療法に下記いずれかのお薬を加えます。
- アビラテロン(ザイティガⓇ):男性ホルモンの産生をさらに強力に抑える飲み薬です。
- エンザルタミド(イクスタンジⓇ):男性ホルモンが前立腺がん細胞に作用するのをブロックする飲み薬です。
- アパルタミド(アーリーダⓇ):エンザルタミドと同様の作用を持つ飲み薬です。
- ドセタキセル(タキソテールⓇ):点滴の抗がん剤です。
三剤併用療法(トリプレット療法)
転移の量が多い方(骨転移が多数あるか、内臓への転移がある方など)では、ホルモン療法+飲み薬+ドセタキセルの3剤を組み合わせる三剤併用療法が推奨されています。代表的なものに、ダロルタミド(ニュベクオⓇ)+ドセタキセル+ホルモン療法の組み合わせがあります。
どの治療を選ぶかは転移の量や場所、年齢や体力、持病の有無などによって異なります。治療の進歩によって以前より長く元気に過ごせる方が増えていますので、担当の先生とよく相談して自分に合った治療を選ぶことが大切です。
(参考文献)
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東京大学大学院医学系研究科 泌尿器外科学 泌尿器科
秋元 隆宏 監修
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