高プロラクチン血症と甲状腺機能低下症の関係性を教えてください。

高プロラクチン血症と甲状腺機能低下症は、脳のホルモン司令塔である「視床下部」と「下垂体」を介して、密接に関係しています。結論から言うと、甲状腺機能低下症が、高プロラクチン血症の原因となることがあります。そのメカニズムは以下の通りです。

甲状腺機能低下症の発生

まず、何らかの原因（橋本病など）で甲状腺の働きが悪くなり、血液中の甲状腺ホルモン（T3, T4）が不足します（甲状腺機能低下症）。

司令塔からの命令増加

体が甲状腺ホルモンの不足を感知すると、脳の視床下部は「もっと甲状腺ホルモンを出せ！」という命令として、「甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン（TRH）」の分泌を増やします。

プロラクチン分泌への影響

ここが重要なポイントです。TRHは本来、下垂体に作用して「甲状腺刺激ホルモン（TSH）」を分泌させるのが主な役割ですが、実はプロラクチンの分泌も促す作用を持っています。

高プロラクチン血症の発症

甲状腺機能低下症によってTRHが過剰に分泌され続けると、その影響でプロラクチンの分泌も増加し、結果として「高プロラクチン血症」が引き起こされるのです。

このため、月経不順や乳汁分泌などの症状で高プロラクチン血症が見つかった場合、医師はまずその背景に甲状腺機能低下症が隠れていないかを調べるために、甲状腺ホルモンの血液検査を行います。もし甲状腺機能低下症が原因であれば、甲状腺ホルモン薬（チラージンSなど）で治療を行うことで、プロラクチン値も正常に戻ることが期待できます。