高プロラクチン血症で乳がんになることはありますか？

高プロラクチン血症と乳がんの直接的な因果関係は、現在の医学では明確には証明されていません。したがって、高プロラクチン血症と診断されたからといって、過度に乳がんを心配する必要はありません。

この関係性が議論される理由は、プロラクチンホルモンが乳腺の発達や細胞の増殖を促す働きを持っているためです。理論上は、プロラクチンが高い状態が続くと乳腺細胞が過剰に刺激され、がんの発生に繋がるのではないかと考えられてきました。

いくつかの大規模な疫学研究では、血中のプロラクチン濃度が高い女性は、低い女性に比べて乳がんを発症するリスクがわずかに（1.1〜1.3倍程度）高まる可能性が示唆されています。しかし、一方で「関連は認められない」とする研究報告も多く、専門家の間でも見解はまだ定まっていません。

また、高プロラクチン血症の最も多い原因である下垂体腫瘍「プロラクチノーマ」の患者さんを対象とした研究でも、乳がんの発生率が一般の女性と比べて明らかに高いという結果は得られていません。

結論として、高プロラクチン血症が乳がんの強力なリスク因子であるとは言えませんが、関連が完全に否定されたわけでもありません。そのため、高プロラクチン血症と診断された方は、その治療を適切に行うとともに、一般的な推奨に従って定期的な乳がん検診（マンモグラフィなど）を受けていただくことが大切です。