過眠症なのに全然寝れないことはありますか？

「過眠症」という名前から、常に眠っているイメージを持たれがちですが、実際には「夜間にぐっすり眠れない」という悩みを抱える患者さんは少なくありません。特に過眠症の一種である「ナルコレプシー」では、この傾向がみられます。

ナルコレプシーの患者さんでは、睡眠と覚醒の切り替えを制御する脳の機能が不安定になっています。そのため、本来であれば深い眠りから始まるはずの夜間の睡眠が、浅い「レム睡眠」（※脳は活動しているが体は休んでいる状態の眠り）から始まったり、睡眠中にレム睡眠が頻繁に出現したりします。これにより、夜中に何度も目が覚める「中途覚醒」が起こりやすくなり、睡眠が断片的になってしまうのです。

また、寝入りばなに見る鮮明で現実的な夢（入眠時幻覚）や、意識があるのに体が動かせなくなる「睡眠麻痺（すいみんまひ）」（いわゆる金縛り）も、夜の安眠を妨げる一因となり、「眠りたいのに眠れない」という感覚につながることがあります。このように、日中の耐え難い眠気と、夜間の睡眠の質の低下が同時に起こるのが、ナルコレプシーの特徴のひとつです。