急性リンパ性白血病の治療方法として、ステージごとにそれぞれどのようなものがありますか?
多剤併用化学療法が中心で、フィラデルフィア(Ph)染色体の有無により治療が大きく分かれます。
多剤併用化学療法が中心で、ステージという区分はなく、Ph染色体と呼ばれる異常染色体の有無により治療が大きく分かれます。
Phなし
以下を目標として多剤併用化学療法が行われます。
- 白血病細胞を除去し、骨髄の正常な造血能を回復させる
- 治療に抵抗性の白血病細胞集団の出現を抑え込む
- 白血病細胞が逃げ込みやすい部位(中枢神経や精巣)への予防
- 微小残存病変の除去
治療様式は寛解導入療法(シクロフォスファミド、ダウノルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン、アスパラギナーゼ)、寛解後療法の地固め療法(大量メトトレキセート、大量シタラビンを含む)、維持療法(6-メルカプトプリン、ビンクリスチン、メトトレキセート、プレドニゾロン)の3つの治療段階から成り立ちます。中枢神経への浸潤の予防は、寛解導入療法および地固め療法中に行われます。
Phあり
Ph陽性急性リンパ性白血病 (ALL)は、最も予後の悪いグループで、成人ALLの20~25%を占めます。このPh染色体上に形成される融合遺伝子BCR-ABL1チロシンキナーゼを標的としたチロシンキナーゼ阻害薬であるイマチニブが、Ph陽性ALLの治療に組み込まれ、治療成績の改善がみられるようになりました。また、第一寛解期に同種造血幹細胞移植を行っているという報告が多く、移植例の方がよい成績です。国内の臨床試験では第一寛解期の同種移植群の3年全生存(OS)率は74%、非移植群は48%と報告されています。
公開日:
最終更新日:
東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター 悪性腫瘍治療研究部 腫瘍 血液内科
村橋 睦了 監修
(参考文献)
日本臨床腫瘍学会. 新臨床腫瘍学 第7版. 南江堂. 2024
S. Fujisawa,et al. Am J Hematol. 2017,92(4),367-374.
土橋史明 .“急性リンパ芽球性白血病(ALL)”.今日の臨床サポート.https://clinicalsup.jp/jpoc/contentpage.aspx?diseaseid=326,(参照 2024-09-25).
日本血液学会.“造血器腫瘍ガイドライン2023年度版 第Ⅰ章 白血病”.日本血液学会.http://www.jshem.or.jp/gui-hemali/1_3.html#soron,(参照 2024-09-25).
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