腎盂癌のステージ別(または転移の有無別)での余命は、適切に治療した場合、それぞれどのくらいですか?
個人差があるため一概には言えません。
腎盂癌は高齢であるほど発生しやすく、診断時にすでに色々な持病をお持ちのことがあるため余命には個人差があります。2015年に腎盂癌または尿管癌と診断された方のデータを参考にすると、治療開始から5年後も生存している確率(5年生存率)はがんの進行度によって以下のようになったという報告があります。
ステージ0〜ステージ1
がんがステージ0(0a期や0is期)という粘膜だけにとどまっている場合や、ステージ1という粘膜下層のみにとどまっている場合を合算した5年生存率は約79%という報告があります。
ステージ2
がんが粘膜下層より深い筋層まで到達しているステージ2の場合の5年生存率は、約65%という報告があります。
ステージ3
がんが筋層を超えて周囲の組織まで大きくなっているステージ3の場合の5年生存率は、約54%という報告があります。
ステージ4
がんが転移しているまたは、腎臓や周囲の臓器まで到達しているステージ4の場合の5年生存率は、約12%という報告があります。
腎盂癌は比較的稀な癌のため、腎盂から膀胱に尿が流れる管(尿管)にできたがん(尿管癌)と一緒に腎盂尿管癌として捉えられた研究が多く、上記の数値は腎盂尿管癌としての値です。
治療方法は日進月歩で改善しており、一部の施設の観察研究では、70歳あたりで腎盂尿管癌が見つかった場合の5年生存率が上記よりも高いという結果も報告されています。臨床的にはステージ0やステージ1の間にも違いはあり、具体的な余命は個人差がありますので、さらに気になる場合は、担当医と相談しましょう。
公開日:
最終更新日:
東京大学大学院医学系研究科 泌尿器外科学 泌尿器科
秋元 隆宏 監修
(参考文献)
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