尿管癌の各ステージまたは再発がんでは、それぞれどのような治療法がありますか?

各ステージや年齢、体力に合わせて、手術や化学療法、がん免疫療法、放射線療法などを行います。

解説

尿管癌の各ステージや再発がんに対する主な治療法(現行の標準治療)は以下の通りです。

ステージ 0期〜I期

腎尿管全摘除術が標準治療です。
ヒトには腎臓と尿管が2つずつありますが、腎尿管全摘除術は、尿管癌のある方の腎臓と尿管、そして、その尿管が膀胱の中につながる部分(膀胱内尿管)をひとまとめにして切除する手術です。腹腔鏡やロボットを使って手術することが多いですが、がんが大きい場合などは開腹手術を行うこともあります。
また、高齢の場合や、すでに反対側の手術をしている場合など、いくつかの条件を満たす時には、尿管部分切除術や内視鏡的手術によって腎臓を残す方法(腎温存手術)を検討することもあります。腎温存手術は、腎臓を残すため腎機能がやや保たれますが、標準治療よりも術後の再発や水腎症などの合併症のリスクが上がるため、担当医と相談することが必要です。

ステージ II期

基本的に腎尿管全摘除術を行います。
術後再発リスクが高い場合は、あらかじめ手術の前に化学療法(術前補助化学療法)を1〜2ヶ月行うことがあります。

ステージIII期

基本的に術前の補助化学療法を行った上で、腎尿管全摘除術を行います。
リンパ節への転移がありそうな場合は、手術の際に一緒にリンパ節を摘除(郭清)することもあります。
術後は、摘出したがんを顕微鏡を用いて評価して、化学療法かがん免疫療法を行うことがあります。

ステージ IV期

手術ではがんが取り切れないため、全身化学療法を中心とした治療を行います。
化学療法を3ヶ月程度行った時点でのがんの進行具合があまり良くない場合や、定期的な評価の前にがんの進行がみられる場合、副作用の程度をもとに、他の化学療法、または免疫チェックポイント阻害薬による治療に切り替えることがあります。
化学療法や免疫チェックポイント阻害薬でも効果が乏しい場合は、エンホルツマブ ベドチンなどの新規薬剤治療を行うこともあります。
並行して、症状緩和目的の手術や放射線療法を検討することがあります。

再発がん

再発した部位や個数によって治療法が異なりますが、基本的には手術や放射線療法、全身化学療法、免疫チェックポイント阻害薬による治療を組み合わせて行います。化学療法や免疫チェックポイント阻害薬でも効果が乏しい場合は、エンホルツマブ ベドチンなどの新規薬剤治療を行うこともあります。

公開日

最終更新日

東京大学大学院医学系研究科 泌尿器外科学 泌尿器科

秋元 隆宏 監修

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