胆道癌(胆管癌・胆嚢癌)の治療について、化学療法(抗がん剤)やそのほかの薬物療法の種類と効果を教えてください。
胆道がんの薬物治療ではゲムシタビン等が標準的に使用され、新しい機序のお薬も承認されています。
胆道がんの治療に使われる標準的なお薬には、細胞障害性抗がん剤と呼ばれる種類のゲムシタビン、シスプラチン、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(S-1)があります。
また、最近では、免疫チェックポイント阻害剤という新しいメカニズムを持つデュルバルマブというお薬が承認されました。このお薬は従来の化学療法(抗がん剤)とは異なり、免疫ががん細胞を攻撃する力を保つという働きを持っています。
一般的には、これらを以下のように組み合わせて使用します。主な研究結果とともにご紹介します。
GC療法
ゲムシタビンとシスプラチンを組み合わせて使う治療法。
ゲムシタビンのみを使用した群では、生存期間中央値(50%の患者さんが亡くなるまでの期間)が8.1ヶ月でしたが、ゲムシタビンとシスプラチンを組み合わせ(GC療法)では11.7ヶ月でした。
GS療法
ゲムシタビンとS-1の組み合わせ。
S-1のみを使用した群では、生存期間中央値が9.0ヶ月でしたが、ゲムシタビンとS-1の組み合わせ(GS療法)では12.5ヶ月でした。
GS療法では、シスプラチン使用時に必要な長時間の点滴がない点がメリットです。
GCS療法
ゲムシタビン、シスプラチン、S-1の組み合わせ。
ゲムシタビンとシスプラチンの組み合わせ(GC療法)では、生存期間中央値が12.6ヶ月でしたが、3剤を組み合わせ(GCS療法)では13.5ヶ月との結果でした。
3剤併用のため多様な副作用(下痢、口内炎、皮疹など)が報告されています。
GC+デュルバルマブ療法
ゲムシタビンとシスプラチンの組み合わせ(GC療法)では、生存期間中央値は11.5ヶ月でしたが、GC療法とデュルバルマブの組み合わせでは12.8ヶ月でした。
どの治療法を選択するかは、患者さんのがんの進行の程度や転移、合併症などを考慮して決定されます。
なお、胆道がんは胆道にできるがんの総称です。がんが発生した部位によって、胆管がんや胆嚢がんなどに細かく分類されています。
横浜医療センター 消化器科
川崎 千瑛 監修
(参考文献)
水野修吾ほか. 胆道癌における術前・術後補助化学療法の現状と課題. 胆道. 2024, 38, 142~152.
上野誠ほか. 胆道癌に対する薬物療法―現状と今後の展望-. 日消誌. 2023, 120, 319~324.
日本癌治療学会.“診療ガイドライン”.がん診療ガイドライン.http://www.jsco-cpg.jp/biliary-tract-cancer/guideline/#III,(参照 2025-02-06).
がん情報サービス.“胆道がん(胆管がん[肝内胆管がんを含む]・胆のうがん・十二指腸乳頭部がん) 治療”..https://ganjoho.jp/public/cancer/biliary_tract/treatment.html,(参照 2025-02-06).
国立研究開発法人国立がん研究センター.“免疫療法 もっと詳しく”.がん情報サービス.https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/immunotherapy/immu02.html,(参照 2025-02-06).
国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ.薬物療法.国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方向けサイト,https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/drug_therapy/index.html(参照 2024-10-24)
こちらは送信専用のフォームです。氏名やご自身の病気の詳細などの個人情報は入れないでください。
この記事をシェアする
治療が必要な患者様へのお願い
胆道がん
の方は説明を必ずお読みください
こちらのQRコードを
スマーフォンのカメラで読み取ってください
QRコードを読み取るだけ 非接触で安心
一問一答なので 読むのが簡単
どんな治療をするべきか 納得して取り組める
ユビー病気のQ&Aとは?
現役の医師が、患者さんの気になることや治療方法について解説しています。ご自身だけでは対処することがむずかしい具体的な対応方法や知識などを知ることができます。
病気・症状から探す医師・医療機関の方はコチラ