慢性リンパ性白血病で体重減少がみられるのはなぜですか?

慢性リンパ性白血病の体重減少は、炎症性サイトカインによる食欲抑制と筋肉・脂肪分解が原因です。

解説

慢性リンパ性白血病(CLL)では、「減量によらない過去6ヶ月以内の10%以上の体重減少」が治療開始基準になっており、ご質問の「体重減少」を悪性リンパ腫の診断や予後の推定に重要なB症状のひとつと考え、以下にその主要なメカニズムをご説明します。

1)炎症と免疫応答

体重減少は、CLL患者さんにおける慢性的な炎症と免疫応答の結果として生じることが多く、CLLの進行に伴い、体内で炎症性サイトカインが増加し、これが食欲抑制やエネルギー消費の増加を引き起こします。特に、インターロイキン-6(IL-6)や腫瘍壊死因子(TNF-α)などのサイトカインが関与しています。

2)エネルギー代謝の変化

CLL患者さんでは、エネルギー代謝が大きく変化します。筋肉と脂肪の分解が促進され、これが体重減少の主要な原因となります。特に、インスリン様成長因子(IGF)経路の変化が筋肉の分解を促進し、体重減少を引き起こします1。

3)食欲の低下

CLL患者さんでは、食欲が低下することが一般的です。これは、炎症性サイトカインの影響や、腫瘍自体が食欲抑制物質を分泌することによります。

4)筋肉と脂肪の減少

CLL患者さんでは、筋肉(サルコペニア)と脂肪(アディポペニア)の減少が観察されます。これらの減少は、体重減少の主要な要因であり、患者さんの予後にも影響を与えます。

公開日

最終更新日

‪東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター ‬ 悪性腫瘍治療研究部‬ 腫瘍 血液内科

村橋 睦了 監修

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(参考文献)

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