カルシウム拮抗薬の強さの比較、使い分けを教えてください。

ジヒドロピリジン系のカルシウム拮抗薬の降圧効果が強い傾向があります。飲む回数や副作用、併存症によって使い分けることがあります。

解説

日本で高血圧に対して処方できるカルシウム拮抗薬は、大きくジヒドロピリジン系とベンゾジアゼピン系(ジルチアゼムのみ)の2つに分類されます。一般的に前者の方が降圧効果が大きく、高血圧に対して処方されることが多いです。後者は降圧効果は弱く、脈拍を抑える作用を期待して不整脈に対して処方されることが多いです。カルシウム拮抗薬は他に、狭心症や片頭痛の発作予防にも処方されることがあります。
ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬が作用するカルシウムチャネルは3種類あります。

L型Caチャネル

主に血管平滑筋に存在します。Ca拮抗薬は基本的にL型に作用します。血圧低下に働きます。ただ、反射性の頻脈や糸球体内圧の上昇を起こします。

T型Caチャネル

血管平滑筋に存在し、その抑制によって降圧効果を示します。また、心臓・腎臓・副腎・膵臓などにも存在しており、抑制により心拍数低下、糸球体輸出細動脈拡張から尿蛋白の減少効果もあり、また副腎からのアルドステロン分泌低下作用を認めます。

N型Caチャネル

交感神経終末に存在し、その抑制により、交感神経抑制に伴う心拍数低下と血圧低下が生じます。
また、腎微小循環では輸入・輸出細動脈に分布する神経終末に存在する N 型 Caチャネル抑制により糸球体内圧低下作用および尿蛋白減少効果が認められています。アルドステロン分泌低下作用も認められています。

降圧効果の強さを、ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬同士で直接比較した臨床試験はありませんが、効き目の速さ、内服回数(効き目の長さ)、副作用や併存症の有無、などによって、使い分けます。
なお、ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬の浮腫について、ネットワークメタアナリシスを行った報告もあります。
L Liang, et al. J Clin Hypertens (Greenwich). 2022; 24(5): 536–554.

個人の見解

飲み忘れを防ぐため、1日1回の内服で良い薬が選ばれることがほとんどです。

慢性腎臓病がある場合、基本的にはアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)やアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)といった降圧薬を優先して用いることが多いですが、カルシウム拮抗薬を追加する場合、腎保護作用を期待して、N型やT型のカルシウムチャネルを抑制する薬を選ぶことがあります。

公開日

最終更新日

東日本橋内科クリニック 一般内科

平松 由布季 監修

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