血管新生緑内障の症状に網膜のむくみはありますか?

新生血管緑内障に網膜のむくみ(黄斑浮腫)が合併することがあります。

解説

血管新生緑内障の症状として、網膜のむくみ黄斑浮腫や網膜浮腫)が直接生じるわけではありません。しかし、血管新生緑内障の背景には、糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞症などの網膜の虚血性疾患が存在することが多く、これらの疾患に伴って網膜にむくみが生じることはよくあります。

糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞症では、網膜の血流が悪くなることで酸素不足(虚血)が進行し、それに反応して血管内皮増殖因子(VEGF)が過剰に分泌されます。

このVEGFは、新生血管を誘導するだけでなく、血管の透過性を高める作用もあり、その結果として網膜内に水分が漏れ出し、むくみ(浮腫)が発生します。特に、視力に直結する黄斑部にむくみが及んだ場合には、視力の低下が顕著になることがあります。

したがって、血管新生緑内障が発症している場合には、その原因となっている網膜疾患に伴って網膜のむくみが同時に存在していることがあり、眼圧の上昇だけでなく、網膜の状態も視力に大きく影響を与えます。

このようなケースでは、抗VEGF薬の硝子体内注射が選択されることが多く、これは新生血管の抑制とともに、網膜のむくみを軽減する効果も期待できます。

結論として、血管新生緑内障の症状として網膜のむくみが見られるというよりは、背景疾患による合併症としてむくみが同時に起こることが多く、診療の際には眼圧の管理とあわせて網膜の浮腫に対する治療も重要になります。

視力を守るためには、眼圧と網膜の状態の両面からの総合的なアプローチが必要です。

公開日

最終更新日

東北大学病院 眼科

山口 知暁 監修

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