非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?
過剰に活性化している補体の成分を阻害する注射薬があり、副作用として感染症リスク増加等があります
非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の薬物治療としては、過剰に活性化している補体を阻害する抗体薬があります。抗補体薬と呼ばれたり、補体の一種であるC5を阻害することから抗C5抗体薬と呼ばれたりします。また、免疫抑制薬・ステロイドが使用される場合もあります。
現在、aHUSの治療薬として2つの注射薬が承認されています。
- エクリズマブ:基本的に2週間ごとに投与するお薬です。
- ラブリズズマブ:4週間または8週間間隔で投与するお薬です。
副作用として、髄膜菌感染症や淋病感染症、肺炎球菌、インフルエンザ桿菌などの感染症のリスクが高くなる可能性があり、これら感染症に対するワクチン接種が求められています。
エクリズマブでは、以下のような副作用が報告されています。
重大な副作用(頻度:いずれも不明)
- 膜炎菌感染症(主な症状:発熱、頭痛、嘔吐、錯乱など)
- 重篤な感染症(主な症状:発熱、寒気、倦怠感など)
- infusion reaction(抗体薬を投与した時に起こるアレルギー反応。主な症状:呼吸困難、意識の低下・消失、まぶたなどの腫れなど)
そのほか報告されている副作用(頻度:10%以上)
- 悪心
- 鼻咽頭炎
- 頭痛
ラブリズズマブでは、以下のような副作用が報告されています。
重大な副作用
- 髄膜炎菌感染症(頻度:0.4%、主な症状:発熱、頭痛、嘔吐、錯乱など)
- 重篤な感染症(頻度:1.9%、主な症状:発熱、寒気、倦怠感など)
- infusion reaction(頻度:不明、抗体薬を投与した時に起こるアレルギー反応。主な症状:呼吸困難、意識の低下・消失、まぶたなどの腫れなど)
そのほか報告されている副作用(頻度:10%以上)
- 悪心
薬剤使用中は、これらの副作用の発現に十分注意する必要があります。気になる症状があれば、すぐに医師・薬剤師へご連絡してください。
公開日:
最終更新日:
東日本橋内科クリニック 循環器内科 院長
白石 達也 監修
(参考文献)
日本腎臓学会. 非典型溶血性尿毒症症候群 (aHUS) 診療ガイド 2023 . 東京医学社. 2023
アレクシオンファーマ合同会社.“ソリリスⓇ点滴静注300mg 添付文書”.アレクシオンファーマ合同会社.https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/870056_6399424A1023_1_21,(参照 2024-11-11).
アレクシオンファーマ合同会社.“ソリリスⓇ点滴静注300mg 患者向医薬品ガイド”.アレクシオンファーマ合同会社.https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/GUI/8700566399424A10231_00G.pdf,(参照 2024-11-11).
アレクシオンファーマ合同会社.“ユルトミリスⓇHI点滴静注300mg/3mL/ユルトミリスⓇHI点滴静注1100mg/11mL 添付文書 ”.アレクシオンファーマ合同会社.https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/8700566399427A20231_01 ,(参照 2024-11-11).
アレクシオンファーマ合同会社.“ユルトミリスⓇHI点滴静注300mg/3mL/ユルトミリスⓇHI点滴静注1100mg/11mL 患者向医薬品ガイド ”.アレクシオンファーマ合同会社.https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/GUI/870056_6399427A2023_1_00G.pdf,(参照 2024-11-11).
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「非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)」とはどのような病気ですか?
補体という免疫に関連するタンパク質の異常な活性化によって発症する病気です。
非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の原因は何がありますか?
遺伝子異常等により補体という蛋白質がうまくコントロールされず、過剰に活性化するためとされています。
非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)ではどのような症状がありますか?
典型的な症状は、出血症状(青あざなど)、貧血症状(倦怠感など)、腎障害による症状です。
非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)には初期症状はありますか?
青あざや、倦怠感、息切れ、むくみ、尿量の減少などがおこります。また、健診では血小板減少が現れます
非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の場合、主にどのような治療をしますか?
健康な人の血漿を補充する血漿療法や、補体の過剰な活性化を阻害する薬物療法があります。
非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?
血液内科、腎臓内科、総合診療科等を受診してください。
非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)が疑われる場合、病院を受診する目安はありますか?
ご家族にaHUSや腎不全をもつ方がおられ、風邪等の後に貧血や青あざがある場合は受診を検討してください
非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)のセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)で薬が効かない場合、どうしたらよいですか?
お薬以外の治療法としては、健康な人の血漿を補充する血漿療法などがあります
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