妊娠中に高プロラクチン血症と診断されたらどうなりますか？

妊娠中に高プロラクチン血症と診断された場合、その後の対応は「なぜプロラクチンが高いのか」という原因によって異なりますが、多くは心配のいらない生理的なものです。

【生理的な上昇（ほとんどの場合）】

妊娠中は、出産後の授乳に備えて乳腺を発達させるため、胎盤から出るホルモンの影響でプロラクチン値が自然に、かつ大幅に上昇します。これは正常な妊娠経過の一部であり、特に治療の必要はなく、母体や赤ちゃんへの悪影響もないとされています。

【病的な高プロラクチン血症（注意が必要な場合）】

妊娠前から下垂体にプロラクチンを産生する良性の腫瘍（プロラクチノーマ）があった場合、妊娠中に診断されることがあります。この場合、注意すべき点がいくつかあります。

腫瘍が小さい場合（マイクロアデノーマ）

妊娠中はプロラクチン値を下げる薬（ドパミン作動薬）を一旦中止し、経過観察するのが一般的です。腫瘍が大きくなるリスクは低いとされています。

腫瘍が大きい場合（マクロアデノーマ）

妊娠中のホルモンの影響で腫瘍がさらに大きくなり、すぐ近くにある視神経を圧迫するリスクがあります。そのため、定期的に視野検査を行ったり、頭痛の有無を確認したりする必要があります。もし頭痛がひどくなったり、物が見えにくくなったりした場合は、赤ちゃんの安全に配慮しながら治療薬を再開することがあります。

高プロラクチン血症自体が、妊娠成立後に赤ちゃんに直接悪影響を及ぼすことはほとんど報告されていません。重要なのは、その原因が何かを特定し、特に下垂体腫瘍がある場合は、その腫瘍による圧迫症状が出ないかを慎重に観察していくことです。必ず産婦人科医と内分泌内科医の指示に従いましょう。