肝機能障害

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肝臓の数値がどれくらいで入院が必要になりますか?

医療法人財団コンフォート コンフォート豊平クリニック 内科 消化器科

石川 翔理 監修

入院の必要性は血液検査の数値だけでなく、そのほかの検査結果や本人の状態で総合的に判断します。

解説

血液検査で肝臓の項目が基準値を大幅に上回ると、入院による詳しい検査や治療が必要であると判断される場合があります。

入院の判断は、血液検査の数値だけでなく、肝障害の原因やそのほかの検査結果、本人の症状なども加味して総合的に判断します。ひとつの目安としてはAST、ALTが500U/L以上となると急性肝炎が疑われ、入院となることがあります。そのほかに、総ビリルビンが上昇して黄疸(皮膚が黄色くなる症状)が初めて出ている場合には、入院となることが多いです。

腹部超音波検査や造影CT検査といった画像の検査でも原因がわからない場合には、肝生検を行い、肝臓の組織を顕微鏡で観察することで原因を調べることもあります。

おすすめのQ&A

アトーゼットHD服用後に肝機能悪化と神経痛・筋肉痛があります。自己免疫性肝炎の可能性はありますか?

アトーゼットHDを飲んでから、肝機能の数値が急に悪くなり、神経痛や筋肉痛もひどくなりました。医師は薬のせいではないと言います。お腹のエコー検査は問題なし。抗核抗体が陽性でした。自己免疫性肝炎の可能性はありますか?

質問者のイラスト

60代 / 女性

お辛い中、ご相談いただき誠にありがとうございます。

高脂血症の治療薬アトーゼットHDを服用後に肝機能の数値が悪化し、神経痛や筋肉痛がひどくなったとのことですね。

肝臓の数値が上がった原因は、正確には経過を追う必要があります

まず、アトーゼットHDは副作用の頻度は不明ですが、横紋筋融解症と呼ばれる筋肉痛に似た症状を起こすことがあります。また、肝臓に負担をかけることがあるため、肝機能の数値が悪化することがあります。医師が薬剤性ではないと判断したようですので、薬による影響の可能性は低いのかもしれませんが、他の可能性をすべて否定する、あるいは経過を追わないとはっきりしてこないこともあるので注意が必要です。

自己免疫性肝炎とは

自己免疫性肝炎について 自己免疫性肝炎は、免疫系が自分の肝臓を攻撃することで炎症を引き起こす病気です。この病気は50-60代の女性で発症することが多く、抗核抗体が陽性になることがあります。発症時は自覚症状がないことがほとんどですが、だるさや疲れやすさを感じたり、重症な状態で発症する場合は、黄疸などが出てくることもあります。

抗核抗体は他にもさまざまな病気で陽性になることが多いので、この検査と肝機能障害だけで診断されることはありません。 自己免疫性肝炎の診断には、抗核抗体、肝機能を表す項目を含めた血液検査や画像検査、肝生検(肝臓の組織を採取して調べる検査)などが必要です。これにより、肝臓の炎症の程度や原因を詳しく調べることができます。 肝臓の数値が悪くなった場合、短期間の診察では原因がわからない場合もあり、経過を追っていく必要があります。抗核抗体を検査してるので、おそらく今後もフォローの予定かと思われますが、気にされている自己免疫性肝炎の疑いがあるか、ということも受診した医療機関の医師に尋ねるといいでしょう。その可能性も含めて今後の検査や治療を検討していくと考えられます。

ほかにも気になることがございましたら、いつでもご相談ください。

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肝機能異常と部分肝硬変、高血圧で治療中です。治療薬についてアドバイスをお願いします。

最近、肝機能異常があると言われました。私は高血圧の治療を受けており、部分肝硬変と診断されています。現在、肝炎治療の薬を以前と同じ量で服用していますが、このままで良いのか心配です。どのように対処すれば良いか、アドバイスをいただけると助かります。

質問者のイラスト

70代 / 女性

ご相談ありがとうございます。肝機能異常や部分肝硬変の診断を受けられたとのこと、心配な気持ちお察しします。いくつかの点についてお話しさせていただきます。

肝硬変について

まず、肝硬変について説明します。

肝硬変は、肝臓が比較的長期間ダメージをうけて(炎症が続いて)、肝臓の正常な細胞が破壊され、線維が広がることで、肝臓の働きが失われる状態です。肝細胞が線維に置き換わってしまうこと、肝臓の血流が悪くなり、線維により肝臓も硬くなっていきます。

肝硬変の主な原因について

主な原因として以下が考えられます。

アルコール性肝障害: 長期間にわたる過剰なアルコール摂取で肝機能障害、アルコール性脂肪肝等を経て肝硬変になることがあります。

ウイルス性肝炎: 肝炎ウイルスの感染により長期間炎症が続き、慢性B型肝炎や慢性C型肝炎の状態から肝硬変に至ります。

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD): 肥満、糖尿病、高脂血症などに伴う脂肪肝が進行して肝硬変になることがあります。

遺伝性疾患: ヘモクロマトーシス(鉄過剰)、ウィルソン病(銅過剰)など稀ですが遺伝の病気が原因で肝硬変になります。

その他の原因: 自己免疫性肝炎、薬剤性肝障害、原発性胆汁性胆管炎などさまざまな病気による炎症が続くと肝硬変に至ります。

肝硬変の症状について

肝硬変は、大きく代償性・非代償性に分けることができます。代償性、とは肝硬変の変化はありますが、肝臓の働きが低下しているもののまだ保たれている状態で、あまり症状もでません。非代償性、とは肝臓の働きが大きく低下し、合併症など体の不具合が出る状態を言います。自覚症状も感じることが多いです。肝硬変の初期(代償性)には症状が現れないことが多いですが、進行する(非代償性に近づく)につれて以下の症状が見られることがあります:

  • 疲労感、倦怠感
  • 食欲不振、体重減少
  • 黄疸(皮膚や目の白い部分が黄色くなる)
  • 腹水(腹部に液体が溜まる)
  • 浮腫(特に足のむくみ)
  • かゆみ
  • 腹痛や不快感
  • 意識障害や混乱(肝性脳症)

肝硬変の診断について

肝硬変の診断には以下の方法が用いられます:

血液検査:肝機能を評価するための検査(AST, ALT, ALP, ビリルビンなど)

画像検査:超音波検査、CTスキャン、MRIなどで肝臓の状態を確認

肝生検:肝臓の組織を採取して顕微鏡で解析

肝硬変の治療について

肝硬変の治療は原因に応じて行われますが、以下のような治療法があります:

原因治療:アルコール摂取の中止、ウイルス性肝炎の治療、NAFLDの管理など。

症状管理:腹水の排液、利尿薬の使用、栄養管理、肝性脳症の予防など。

肝臓保護:タンパク質の元になるアミノ酸を補充するなど薬の治療で肝臓の働きをサポート

肝移植:進行した肝硬変や合併症が重篤な場合に適応されることがある。

まとめ

あなたの場合、肝機能障害があり、部分肝硬変と言われたとのことですが、「部分」という言葉は一般的ではなく、おそらく代償性肝硬変に当たると推察されます。

肝硬変になった原因が何なのか特定されていれば、それに合わせて対処を行なっていくことが通常の治療(定期検査などの経過観察含む)になります。すでに治療薬を処方してもらっているとのこと、おそらく肝臓を保護するような薬の一種かと思われますが、一度主治医に肝硬変の原因がわかっているのかなど相談するといいでしょう。

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(参考文献)

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