肋間神経痛
監修医師濱畑 智弘山田記念病院 整形外科
- 更新日
- 2024/03/28
- 公開日
- 2020/09/03
「肋間神経痛」とは、肋骨の間を走る神経が何らかの原因でダメージを受け、痛みを生じる病気です。原因によって痛みの範囲や痛み方は異なりますが、左右どちらかの肋骨の辺りに鋭い痛みが走ることが主な症状です。痛みで生活に支障が出ている時は無理をせず、外傷歴があるなら整形外科、皮疹を伴うなら皮膚科、それ以外はまずは内科を受診しましょう。
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肋骨に沿って走る神経の痛みです。原因として肋骨を怪我して生じるものや背骨周辺に病気があるもの、帯状疱疹とういう神経へのウイルス感染があります。原因がはっきりしないものもあります。
肋間神経痛になった場合、してはいけないことは何ですか?
重量物を扱う作業や、長時間のデスクワーク、精神的な負担の多い作業で症状が悪化する場合には、なるべくこれらを避けるようにしましょう。
肋間神経痛では、以下のような作業で症状が悪化しやすくなります。
- 重いものを持ち上げる作業
- 高いところに手を伸ばした作業
- 中腰での作業
- 長時間のデスクワーク
- 精神的に負担の多い作業
など
これらの作業で症状が悪化する場合には、なるべく避けるようにしましょう。
ただし、必ずしも安静にしていることが治療につながるわけではありません。ストレッチ、体操、ウォーキング、水泳などを行うことで症状が和らぐ場合も多くあります。無理のない範囲で続けてみましょう。
肋間神経痛とはどのような病気ですか?
肋骨の間を走る神経が何らかの原因でダメージを受け、痛みを生じる病気です。
肋間神経痛とは、肋骨に沿って走っている神経(肋間神経)が、何らかの原因で痛む症状のことです。病名のように思われがちですが、「肋間神経痛」は実は病名ではなく症状名です。
肋間神経痛には、原因がはっきりしない特発性肋間神経痛と、何らかの病気が原因となって生じる続発性肋間神経痛(二次性肋間神経痛)があります。
肋間神経痛の症状
肋間神経痛と症状が似ている他の病気はありますか?
心臓や肺の病気など、胸の痛みを引き起こす病気と見分ける必要があります。
肋間神経痛が疑われる場合、胸や上腹部に痛みを引き起こす病気との見分け(鑑別)が必要になります。
見分けが必要な主な病気としては、以下のようなものが挙げられます。
肋間神経痛の初期症状には何がありますか?
肋骨の辺りの鋭い痛みが初期の症状として出現します。
胸~上腹部のあたりに肋骨に沿って痛みが生じます。一般的には、左右どちらかが痛むことが多いです。
また、痛みの性状には個人差があり、「ビリッと電気が走るような痛み」「ジクジク、ズキズキした痛み」など、痛みの表現にも人によってばらつきがあります。
肋間神経痛ではどのような痛みが生じますか?
原因によって痛みの範囲や痛み方は異なりますが、左右どちらかの肋骨の辺りに鋭い痛みが走ることが主な症状です。
原因によって痛み方に違いはありますが、肋骨に沿った範囲に「ビリッと電気が走るような痛み」「ジクジク、ズキズキした痛み」と表現される症状が生じることが多いです。また、多くの場合、体をねじるなどの動作や咳などによって症状が悪化します。
肋間神経痛の原因
肋間神経痛にはどのような人がなりやすいですか? 原因はありますか?
病気や怪我等によって痛みが生じる場合もありますが、特に原因がないも多いです。
肋間神経痛には原因があるもの(続発性)もあれば、明らかな原因がないもの(特発性)もあります。より多く見られるのは続発性肋間神経痛のほうで、原因としては下記のような病気が考えられます。
- 感染症(帯状疱疹、胸膜炎・肺炎など)
- 外傷(胸椎圧迫骨折など)
- 手術(胸部の外科手術後などに痛みが起こる場合があります)
- 椎間板ヘルニア
- 腫瘍
肋間神経痛の検査・診断
どのようにして診断しますか?
胸の痛みを起こす他の病気がないか、怪我や病気等によって痛みが生じていないかなどを確認して診断します。
まずは胸や上腹部の痛みを引き起こす他の病気(循環器や肺、消化器の病気など)の可能性がないか判断します。その上で、痛みが肋骨に沿って生じているのか、症状の性状・経過はどのようなものかといった点を総合的に評価し、診断を確定します。
肋間神経痛の症状をセルフチェックできますか?
肋間神経痛の症状や原因、おすすめの病院や対処方法は症状検索エンジン「ユビー」で調べられます。
体調に不安がある、あるいは病院への受診を考えている方向けに、20問〜30問程度の質問に答えることで関連する病名や適切な受診先を調べられる症状検索エンジン「ユビー」を無料で提供しており、多くの患者様にご利用いただいています。
気になる病気や症状がありましたら、ぜひご利用ください。
肋間神経痛が疑われる場合、どのような検査を行いますか?
肋間神経痛の原因を特定し、他の疾患と見分けるために、血液検査や心電図、各種画像検査を行います。
肋間神経痛の原因は、感染症や外傷、日常生活上の何らかの要因など多岐にわたります。そのため、原因を特定するために、時には複数の検査を組み合わせて実施する必要があります。
また、胸や上腹部といった、肋骨の近くの別の箇所に痛みを引き起こす病気が隠れている可能性もあり、それらの病気との見分けのためにも検査が必要な場合があります。
具体的には、採血検査のほか、画像検査(心電図、胸部レントゲン、CT、MRIなど)を行うことがあります。
肋間神経痛の治療・対処法
肋間神経痛への対処法は?
肋骨の怪我が原因の場合には、安静や消炎鎮痛剤を使用します。怪我の身に覚えが無く、症状が持続する場合には他の原因のチェックのため病院で診察を受けましょう。
肋間神経痛はどのくらいの期間で治りますか?
数日から数ヶ月で回復します。原因によって期間は異なります。
肋間神経痛の治療期間は、病気そのものの原因や、患者さんの年齢やいままでの病気といった個々の状況によって異なります。
軽度のものは数日から数週間で自然に治ることが多いです。一方で重度の肋骨骨折による神経損傷などの重症例では慢性化するケースもあります。
軽度の肋間神経痛の代表例として、ストレスや肋骨まわりの筋肉の緊張が原因の場合では、日常生活の改善やストレッチ、適切な薬物治療により比較的早期の回復が期待されます。
重度の肋骨骨折による神経損傷のほかには、帯状疱疹による肋間神経痛が数ヶ月にわたって長期化することがあります。
この予防のためには、帯状疱疹の治療を早い段階からしっかりと行う必要があります。
神経痛に対しての飲み薬を使用していても肋間神経痛が長引く場合には、神経ブロック療法などが考慮されます。
治療を開始してから治るまでの流れが知りたいです。
痛みを引き起こしている原因によって異なり、場合によっては長期の治療が必要になることもあります。
なんらかの病気が痛みの原因となっている場合には、その治療を行っていきます。
他方、痛みがコントロールできない場合や、原因がはっきりしない場合には、痛み止めなどの薬剤を調整していきます。症状の改善に伴って、薬は徐々に減らしていけますし、最終的に完全に中止できることもあります。
ただ、中には継続的に内服をしていかないと症状がコントロールできないケースもあり、そうした場合には長期間の治療が必要となります。
一般的に肋間神経痛に対してどのような治療を行いますか?
飲み薬や貼り薬で痛みを和らげる治療が主体です。原因となる病気がある時にはその病気の治療を行います。
肋間神経痛を引き起こしている原因があれば、その治療や改善に取り組むことで、症状が良くなる可能性があります。
他方、原因がはっきりしなかったり、原因となっている病気の治療だけでは痛みの改善が難しかったりする場合には、薬物療法や神経ブロックを行います。神経ブロックとは、末梢神経の機能を一時的あるいは長期間にわたって停止させることで、痛みを軽くする治療法です。
内服薬
以下のような薬を服用して痛みの症状を軽くします。
- 鎮痛剤(ロキソプロフェンなどのNSAIDsやアセトアミノフェンなど)
- 神経障害性疼痛治療薬(Ca2+チャネルα2δリガンド:プレガバリン、ガバペンチン※)
- 抗うつ薬(SNRI、三環系抗うつ薬など)
- 漢方薬(桂枝加朮附湯[けいしかじゅつぶとう]など)
- ビタミンB12(メコバラミン)
※現時点(2024年4月)では、ガバペンチンには神経障害性疼痛に対する効能・効果は承認されていません。ただし、プレガバリンと薬理作用が同様であることから、「神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン 改訂第2版」p.48〜50において第一選択薬として記載されています。
外用剤
内服薬だけでなく、貼り薬や塗り薬を用いて痛みの軽減を図る場合もあります。
神経ブロック
肋間神経ブロックや神経根ブロックといった、神経そのものに働きかける治療法を用いることもあります。具体的には、局所麻酔薬の注射や、高周波の熱やアルコールを用いることで神経を数ヶ月〜数年にわたって麻痺させます。
受診の目安・何科を受診するべきか
肋間神経痛を放置するとどうなりますか?
痛みによって睡眠不足、不安、食欲低下などの症状が起こり、生活の質が下がることがあります。
痛みによって日常の動作が制限され、十分な休息・睡眠が取れなくなったり、食欲が起こらなくなってしまったりするほか、痛み自体がストレスをもたらすことで、生活の質が大きく低下してしまいます。
また、原因となっている病気によっては、治療が遅れてしまうことで、より深刻な事態に展開するおそれもあります。
肋間神経痛は何科を受診したらよいですか?
外傷歴があるなら整形外科、皮疹を伴うなら皮膚科を受診し、それ以外はまずは内科を受診しましょう。
怪我に伴って肋骨の辺りが痛み出した時や、腰痛も伴うような時には、整形外科を受診しましょう。
また、皮膚の異常を伴う時には、帯状疱疹などの可能性もありますので、皮膚科を受診してください。
その他、特に痛み以外に症状がないような場合には、まず内科を受診して、痛みの原因となる内科的な病気の有無を診てもらいましょう。
肋間神経痛で病院を受診する目安はありますか?
痛みで生活に支障が出ている時は、無理をせずに医療機関を受診しましょう。
痛みによって日常生活に支障が出ている場合や、これまでなかった痛みが出現してきた場合などには、
肋間神経痛以外の病気がないか調べたり、薬を使うことをが勧められますので、無理をせず一度病院を受診しましょう。
肋間神経痛の専門医がいる近くの病院はありますか?
肋間神経痛の専門医がいる病院を見る肋間神経痛の薬
一般的にどのような薬を飲んで肋間神経痛を治療しますか? 副作用はありますか?
痛み止めや、神経痛に効果のある薬剤を使用します。どの薬剤にも一定の副作用リスクはあります。
肋間神経痛に対してよく用いられる内服薬には、以下のような種類があります。
- 痛み止め(ロキソプロフェンやアセトアミノフェンなど)
- 神経障害性疼痛治療薬(Ca2+チャネルα2δリガンド:プレガバリン、ガバペンチン)
- 抗うつ薬(SNRI、三環系抗うつ薬など)
- 漢方薬(桂枝加朮附湯[けいしかじゅつぶとう]など)
- ビタミンB12(メコバラミン)
副作用のリスクは、どのような薬剤にも一定程度あるもので、上記の薬剤もその例外ではありません。特に痛み止めでは胃炎や胃潰瘍が、プレガバリンなどではふらつきやめまいが起こりやすいとされています。
肋間神経痛の経過・予後
薬はいつまで飲むのでしょうか? ずっと飲み続けなくてはいけないのでしょうか?
薬で痛みをコントロールできるようになれば、薬を減量したり中止したりできる可能性があります。
薬物治療によってある程度痛みがコントロールできるようになれば、薬を減量・中止できる場合もあります。
他方で、内服を継続していかないと症状がコントロールできないケースもあり、そのような場合にはしばしば長期間の治療が必要となります。
対処法・セルフケア
肋間神経痛に対して自分でできる、即効性のある対処法はありますか?
即効性のある対処法には、痛み止めの使用があります。飲み慣れたものがあれば、市販薬で構いません。
肋間神経痛に対して自分でできる即効性のある対処法には、以下のような方法があります。
痛み止めの使用
痛み止め(消炎鎮痛剤)を使用します。飲み慣れたものがあれば市販のものでも構いません。湿布薬で改善される方もいます。ただし、治療中の病気によっては痛み止めをさけたほうが良い場合があるため、担当医に確認しましょう。
患部の保温
患部を温めることで血行が良くなり、筋肉の緊張がほぐれ、痛みが緩和されることがあります。ゆっくりお風呂につかることも有効な場合があります。
姿勢の改善
長時間の不自然な姿勢や、筋肉に負担をかけるような作業が肋間神経痛の原因となっている場合があります。デスクワークなど、仕事中の姿勢が崩れないように気をつけましょう。
軽いストレッチや深呼吸
体幹のストレッチをしたり、深呼吸をしながら胸部の筋肉を緩めることで神経症状が緩和する場合があります。
以上は肋間神経痛に対する対処法の一例です。他の病気の可能性もあるため、治りが悪い場合には病院で相談しましょう。
自分でできる肋間神経痛の治し方はありますか?
ストレッチや体操、ウォーキング、水泳などに無理なく取り組むことで、痛みが和らぐ可能性があります。
患者さんご自身でもできる運動療法が、痛みを和らげる上で有用とされています。ストレッチ、体操、ウォーキング、水泳などを、無理のない範囲で実践できるとよいでしょう。
ただし、運動を不適切なやり方で行うと、かえって症状が悪化してしまうこともあります。あらかじめ医師にやり方を確認してから実践することをお勧めします。
肋間神経痛の薬が効かない場合や治らない場合はどうしたらいいですか?
飲み薬や貼り薬で効果が出ない時には、注射で痛みを和らげる手段があります。詳しくは受診先の医師にご相談ください。
病状によりますが、内服薬(飲み薬)や外用薬(貼り薬や塗り薬)では症状の改善が見られない場合には、神経ブロックという治療法を検討することがあります。神経ブロックとは、末梢神経の機能を一時的あるいは長期間にわたって停止させることで、痛みを軽くする治療法です。具体的には、局所麻酔薬の注射や、高周波の熱やアルコールを用いることで、神経を数ヶ月〜数年にわたって麻痺させます。
肋間神経痛の場合には、肋間神経ブロックや神経根ブロックといった方法が選択肢となります。詳しくは受診先の医師に相談してください。
肋間神経痛の予防や症状の改善のために、日常生活で気をつけることは何ですか?
規則正しい生活を送り、免疫力が低下しないように注意しましょう。適度な運動なども予防のために重要です。
主には、肋間神経痛の原因となる病気にかからないように注意することが大切です。それらの病気の中には、日常生活上の心がけによって予防できる病気もあります。
帯状疱疹
免疫力の低下を避けることが大切です。規則的な生活、十分な休息、バランスの良い食事を心がけましょう。
また、50歳以上の方は、帯状疱疹ワクチンを積極的に接種するようにしましょう。
整形外科的な病気(圧迫骨折、胸椎ヘルニアなど)
バランスの良い食事と適度な運動を日常的に心がけ、肥満に陥らないようにしましょう。また、喫煙や過度の飲酒を避けることも大切です。
肋間神経痛に関連するその他の質問
息を吸うと痛い場合、肋間神経痛の可能性はありますか?
息を吸うと痛みが生じる場合、肋間神経痛の可能性があります。
息を吸うと痛い場合、肋間神経痛の可能性があります。息を吸うときには肋骨が動くため、肋間神経が刺激されて痛みが増す場合があるためです。
ただし、他の病気の可能性にも注意が必要です。
息を吸うときには肺や横隔膜、背骨も動きます。そのため、肺炎や胸膜炎、胆石などの肺や横隔膜が動くことで痛みが増す病気である可能性があります。胸椎(背骨)の骨折や胸椎椎間板ヘルニアでも同じように痛みを感じる可能性があります。
強い痛みを感じる場合や、痛みがなかなか改善しない場合には早めに診察を受けるようにしましょう。
10代や20代などの若年層でも肋間神経痛が起こる可能性はありますか?
若年層でも起こる可能性があります。怪我や不良姿勢、ウイルス感染などが原因と考えられています。
10代や20代の若年層でも肋間神経痛が起こる可能性はあります。
肋間神経痛では、肋骨の間を走る神経がなんらかの原因で刺激され、痛みやしびれを引き起こしているとされます。
一般的には、加齢や帯状疱疹後神経痛が原因であることが多いとされる病気です。
一方で若年層でもストレス、過度の運動、怪我(打撲や転倒など)、または姿勢の不良による筋肉や神経への圧迫などが、この病気の原因となる場合があります。
このため、この病気を予防したり治療を早めたりするためには、過度な運動や不良姿勢を避けるように心がけることが重要です。
肋間神経痛について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「肋間神経痛」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 胸の痛みはありますか?
- 胸の痛みはピリピリしびれるような感じですか?
- 胸の片側だけ、肋骨に沿うような痛みを感じますか?
- 胸の右側だけに痛みを感じますか?
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この記事の監修医師
濱畑 智弘 先生
山田記念病院 整形外科
慈恵医大を卒業。 浅ノ川総合病院、厚生中央病院を経て2021年4月より浅草病院 整形外科に勤務。 整形外科一般および人工関節置換術を専門とする。 より広い視点で医療を捉えなおすことが出来るように2020年4月より立教大学ビジネスデザイン研究科に入学、2022年3月に卒業しMBA取得。
- 更新日
- 2024/03/28
- 公開日
- 2020/09/03