肉離れの症状は?筋挫傷(肉離れ)
監修医師濱畑 智弘山田記念病院 整形外科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03
肉離れとは
「肉離れ」とはどのような病気ですか?
肉離れは病気ではなく、運動中などに過度の力が筋肉に加わることで筋肉の繊維の一部が断裂した状態を指します。
運動中などに過度の力が筋肉に加わることで筋肉の繊維の一部が断裂した状態を「肉離れ」といいます。
肉離れは多くの場合、運動中に起こります。特に、ダッシュやジャンプなどの動作で筋肉が強く収縮するのと同時に、筋肉が伸ばされる力が働いたとき、筋肉の繊維の一部が裂けることで強い痛みを生じます。太ももやふくらはぎなどの下肢の筋肉に起こりやすく、下半身に多いとされていますが、上半身で起こることもあります。
参考文献
宗田大復帰をめざすスポーツ整形外科. メジカルビュー2011.
Marcin Kowalczuk et al. Pectoralis Major Rupture: Evaluation and Management. J Am Acad Orthop Surg. 2022, 30, p.617-627.
Maria C P Vila Pouca et al. Injuries in Muscle-Tendon-Bone Units: A Systematic Review Considering the Role of Passive Tissue Fatigue. Orthop J Sports Med. 2021, 9.
肉離れの症状
軽症の場合、肉離れに伴ってどのような症状が起こりますか?
筋肉の損傷は小さく、痛みや動きの制限も比較的軽いものとなることが多いです。
軽い肉離れでも痛みが起こりますが、比較的軽い痛みであることが多いです。そのため、歩行への影響は出にくく、普段の生活には大きな支障が生じないことがほとんどです。また、痛みがなくなるまでの期間も短くなります。
ただし、症状が軽いものであったとしても、痛みがなくなったからといって完治しているわけではなく、そのまま運動を続けてしまうことで肉離れが重症化したり再発したりする例もしばしば見られます。肉離れが疑われる場合、適度な安静とストレッチによる再発予防が重要となるため、早めに整形外科を受診しましょう。
肉離れの原因
肉離れの原因や考えられる症状には何がありますか?
筋肉の柔軟性が低下している時やウォーミングアップが不足している時に、筋肉に過度な負荷がかかることで肉離れが起こります。肉離れが起こった部位には強い痛みが生じ、歩行に支障が出ます。
肉離れの原因
肉離れは、筋肉への過度な負荷が起こったときに起こります。特に、スポーツの時の急な動き(ダッシュやジャンプなど)によって、筋肉が強く収縮するのと同時に、筋肉が伸ばされる力が働いたときに多く起こります。
また、肉離れが起こりやすくなる背景として、以下のようなものが挙げられます。
柔軟性の低下
関節や筋肉の柔軟性が低下していると、強い負荷に耐えられずに筋肉の損傷が起こりやすくなります。
不十分なウォーミングアップ
筋肉や腱が温まっていない状態で運動すると、肉離れが起こりやすいです。
肉離れの症状
肉離れの主な症状は以下の通りです。
痛み
筋肉の損傷した部分で強い痛みを感じます。
動きの制限
損傷した筋肉を動かすと強い痛みが生じ、動かしづらくなります。そのため、下肢の筋肉で肉離れが起こると歩行が難しくなります。
内出血
損傷した筋肉の周りに出血が起こることで、肉離れを起こしてから数日後に腫れや紫色のあざができることがあります。
参考文献
宗田大復帰をめざすスポーツ整形外科. メジカルビュー2011.
Maria C P Vila Pouca et al. Injuries in Muscle-Tendon-Bone Units: A Systematic Review Considering the Role of Passive Tissue Fatigue. Orthop J Sports Med. 2021, 9.
Samuel S Rudisill et al. Evidence-Based Management and Factors Associated With Return to Play After Acute Hamstring Injury in Athletes: A Systematic Review. Orthop J Sports Med. 2021, 9 .
肉離れの検査・診断
肉離れの徒手検査とは、どのような検査ですか?
肉離れの徒手検査とは、手を使って患部の状態を直接評価する方法です。
肉離れの徒手検査とは、手を使って患部の状態を直接評価する方法です。主に筋肉や筋線維の損傷部位を触診で確認し、腫れや圧痛の有無、筋肉の硬さ、筋肉をストレッチした時の痛みから重症度を調べます。
筋肉を伸ばした時の角度とストレッチ痛の程度を確かめ、経過の評価や治療法の決定に役立てます。必要に応じて超音波検査やMRIなどの画像検査が行われます。なお、肉離れの正式名称は「筋挫傷(きんざしょう)」です。
肉離れの検査費用はどのくらいかかりますか?
必要な検査は場合により異なるため、一概には言えません。
肉離れの検査費用は、受ける検査の種類や医療機関によって異なるため一概には言えません。診察や問診に加え、必要に応じて超音波(エコー)検査やMRI検査が行われます。
超音波検査は外来で短時間に行える検査で、費用の目安は健康保険が3割負担の場合で1,000~2,000円程度です。MRI検査はより詳細な筋損傷の診断が可能ですが、検査費用は、健康保険が3割負担の場合で5,000円~10,000円程度かかるのが一般的です。
医師が必要と判断した検査はいずれも健康保険が適用されるため、全額自己負担にはならず、受診部位や保険の種類によって多少前後します。正確な費用が知りたい場合、受診する医療機関で事前に確認することをおすすめします。
参考文献
.“「肉離れ」”.日本整形外科学会.https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/pulled_muscle.html,(参照 2025-10-28).
.“5.肉離れ”.スポーツ損傷シリーズ .https://jsoa.or.jp/content/images/2023/05/s05.pdf,(参照 2025-10-28).
.“1.肉離れの診断と治療”.日本臨床スポーツ医学会誌.https://www.rinspo.jp/journal/2010/files/24-3/331-333.pdf,(参照 2025-10-28).
.“医科診療報酬点数表”..https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001251499.pdf,(参照 2025-10-28).
肉離れにはどのような検査方法がありますか?
必要に応じて、超音波検査で筋繊維の断裂状態や内出血(血腫)の程度を調べ、損傷の程度を評価します。
肉離れでは、必要に応じて超音波検査やMRIなどが行われます。肉離れは筋肉が急に伸ばされて筋線維が部分的・または完全に断裂した状態で、最初に問診と診察で痛みの部位や腫れの有無、筋力低下の有無、自覚症状や発症した状況などを確認します。
必要に応じて、超音波検査で筋線維の断裂状態や内出血(血腫)の程度を調べ、損傷の程度を評価します。さらに詳細や複雑な損傷を調べるためにはMRI検査が行われる場合もあり、筋肉の内部まで正確に把握してどの程度損傷しているのか調べることもあります。
なお、肉離れの正式名称は「筋挫傷(きんざしょう)」です。
肉離れの診断で血液検査は行いますか?
一般的に、肉離れの診断目的で血液検査は行われません。
一般的に、肉離れの診断目的で血液検査は行われません。肉離れの確定診断は問診と診察、必要に応じた超音波やMRI検査で行われ、血液検査は必須ではありません。痛みの部位や腫れの有無、筋力低下の有無、自覚症状や発症した状況などを直接確認します。
確定診断のためには行われませんが、他の疾患や合併症が疑われる場合や、炎症の程度を見たい場合などに、血液検査が補助的に行われる可能性はあるでしょう。なお、肉離れの正式名称は「筋挫傷(きんざしょう)」です。
参考文献
.“「肉離れ」”.日本整形外科学会.https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/pulled_muscle.html,(参照 2025-10-28).
.“5.肉離れ”.スポーツ損傷シリーズ .https://jsoa.or.jp/content/images/2023/05/s05.pdf,(参照 2025-10-28).
.“1.肉離れの診断と治療”.日本臨床スポーツ医学会誌.https://www.rinspo.jp/journal/2010/files/24-3/331-333.pdf,(参照 2025-10-28).
.“医科診療報酬点数表”..https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001251499.pdf,(参照 2025-10-28).
肉離れの治療・対処法
肉離れの場合、主にどのような治療をしますか?
肉離れが生じた直後は「RICE処置」と呼ばれる冷却や圧迫などの応急処置を行います。その後、重症度に応じたリハビリを行います。
肉離れの治療法は、主に急性期(肉離れ直後〜3日)、亜急性期(3日〜1週頃)、回復期(1週以降〜)で異なります。
急性期(肉離れ直後〜3日)
肉離れ直後の応急処置として「RICE(ライス)処置」があります。これは「Rest(安静)」「Icing(冷却)」「Compression(圧迫)」「Elevation(挙上)」の4つの頭文字をとって名付けられています。早めに応急処置をすることで、腫れや痛みを抑える効果が期待できます。
RICE処置の具体的な内容は以下の通りです。
①Rest(安静)
まずは安静を保ちます。痛みがある場合、無理に動かさないことが大切です。
②Icing(冷却)
ビニール袋に氷を入れて患部に当て、15〜20分ほど冷やします。なるべく患部には直接氷を当てず、アンダーラップ(皮膚を保護するためにテーピングの下に巻く特殊なテープ)を巻いたりタオルを間に入れたりするようにしましょう。感覚が鈍くなってきたら氷を外し、感覚が戻ってきたら再び氷を当てます。これを何度か繰り返してください。
③Compression(圧迫)
患部に包帯やテープを巻いて圧迫し、腫れや内出血を最小限に抑えます。きつく巻きすぎると逆に血流障害が生じるため、足の色が悪くならない程度の圧迫がよいでしょう。
④Elevation(挙上)
痛む部位を心臓より高い位置に挙げておくことで、腫れの軽減を図ります。
以上のRICE処置に加え、痛み止めの内服なども有効です。また、歩行が困難な場合には松葉杖を使用する場合もあります。
亜急性期(3日〜1週頃)
筋肉の炎症症状が落ち着いてくるまで、電気を当てるリハビリなどを行います。
回復期(1週以降〜)
痛みが落ち着いてきたら、徐々にストレッチや筋力トレーニングなどのリハビリを開始します。肉離れを起こした筋肉だけでなく周囲の関節の柔軟性や、さらには体幹の安定性を高めることも重要となります。
スポーツへの復帰の適切なタイミングは、重症度により変わってきます。軽症の場合には2~3週で復帰が可能ですが、重症の場合には完全な復帰まで数ヶ月を要します。
また、筋肉だけでなく腱が大きく断裂している場合には、ごく稀に手術が行われることもあります。
肉離れになったら、歩ける場合でも治療が必要ですか?
歩ける場合でも、治療を行う必要があります。
肉離れを起こしたら、歩ける場合でも治療が推奨されます。
治療を行うことによるメリットは以下の通りです。
運動機能の維持
肉離れで傷ついた筋肉は、放置すると柔軟性や筋力が衰え、運動機能が低下します。適切なリハビリは筋肉の衰えを防ぎ、運動機能を維持することにつながります。
痛みの軽減
特に肉離れを起こしてから数日は、歩行が難しくなるほどの痛みが出ることもあります。脚の固定や松葉杖の使用、痛み止めの内服などに取り組むことで、痛みの症状の軽減が期待できます。
再発の予防
肉離れは一度起こすと再発しやすく、また反対側の脚にも起こりやすくなると言われています。そのため、特に競技レベルで運動を行っている場合には、きちんとした処置と再発予防のリハビリが重要です。
肉離れはどのくらいの期間で治りますか?治療を開始してから治るまでの流れを教えてください。
治るまでに4週間前後かかることが多いです。肉離れを起こしたや、重症かどうかで治療経過は異なります。
肉離れを起こしてから治るまでに4週間前後かかることが多いです。
ただし、これには個人差があります。肉離れを起こした筋肉の部位や、損傷が重症かどうかで治るまでの期間が異なります。
肉離れは、急な強い筋力によって筋肉が引きちぎれてしまうことによって起こります。痛んでしまった筋肉は、最初はかなり傷つきやすい状態にあります。このため、その筋肉を使ったり力を入れたりすることによって、より損傷が拡がってしまう場合があります。
これを防ぐためにも、ケガをしてから2週間程度は筋肉を動かさなくて済むようにサポーターや添え木による固定をしたり、下肢の肉離れであれば松葉杖を使用したりすることも有効な場合があります。
ただし、傷がついた筋肉が治る際には、一時的に筋肉の柔軟性がおちて筋肉の動きが固くなってしまう場合があります。これは長い間筋肉の固定を続けていると起こりやすいため、肉離れの重症度によっては固定を行わなかったり、短い期間で終わらせたりします。
その後は、少しずつストレッチやマッサージを取り入れて筋肉を柔らかくしておくことで、スポーツへの早期復帰を目指すことが出来ます。
受診の目安・何科を受診するべきか
筋挫傷(肉離れ)の専門医がいる近くの病院はありますか?
筋挫傷(肉離れ)の専門医がいる病院を見る対処法・セルフケア
肉離れに対して自分でできる、即効性のある対処法はありますか?
RICEと呼ばれる応急処置を行います。
急な動作の際に、強い筋力によって筋肉が引きちぎれてしまうことによって肉離れが起こります。筋肉が痛んでしまった直後は、内出血が生じるせいで腫れが強くなりやすい状態となります。なるべく状態を悪化させないためにも応急処置が重要です。
応急処置の基本はRICEとよばれ、REST(安静)、ICE(冷却)、COMPRESSION(圧迫)、ELEVATION(挙上)を行います。
内出血による腫れの悪化防止のため、患部を包帯で圧迫しながら氷袋で冷やし、心臓より高い位置にあげて安静にします。
このときに取るべき姿勢は、痛んでしまった筋肉があまり伸びないようにすると良いです。例えば、太ももの裏やふくらはぎの肉離れでは、少し膝を曲げるようにしておくことで筋肉が少し縮んだ状態となります。
これらを15分ほど行うことで、少し痛みが緩和してくることが多いです。
肉離れに関連するその他の質問
10代や20代などの若年層でも肉離れになるリスクはありますか?
身体が十分に成長し、スポーツに励むことの多い10代から20代にリスクがあります。
肉離れは、急なジャンプやダッシュなどの動作による強い筋力によって、筋肉が引きちぎれてしまうことによって起こります。このため、ある程度つよい筋力がある方が、急な動きを伴う動作(スポーツなど)を行うことによって起こる場合が多いです。
肉離れは10代や20代で成長が進み筋力が大きくなった方が、スポーツをする際に起こることがよくあります。これらの年代の方はどちらかといえばリスクが高い年代であるため、肉離れの予防のためにはスポーツ前の十分なストレッチが重要です。
一方で、小学校低学年までの筋力の弱い幼い方では起こりにくいこと、高齢者など筋力が弱く急なスポーツをしない方では起こりにくいことが肉離れの特徴として挙げられます。
肉離れについて、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「筋挫傷(肉離れ)」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 筋肉痛はありますか?
- 股関節が痛みますか?
- お腹を押したときに激しい痛みを感じますか?
- 背中が痛みますか?
- 手足に痛みがありますか?
肉離れに関連する病気・症状
この記事の監修医師
濱畑 智弘 先生
山田記念病院 整形外科
慈恵医大を卒業。 浅ノ川総合病院、厚生中央病院を経て2021年4月より浅草病院 整形外科に勤務。 整形外科一般および人工関節置換術を専門とする。 より広い視点で医療を捉えなおすことが出来るように2020年4月より立教大学ビジネスデザイン研究科に入学、2022年3月に卒業しMBA取得。
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03