下肢静脈瘤・慢性静脈不全・うっ滞性皮膚炎
監修医師白石 達也東日本橋内科クリニック 内科
- 更新日
- 2024/03/28
- 公開日
- 2020/09/03
慢性静脈不全とは
下肢静脈瘤は脚の静脈にできる「こぶ」のようなもので、血流を悪くします。男性より筋肉量が少ない女性に多く、ふくらはぎのポンプ作用が弱いことがひとつの原因と考えられます。妊娠や出産によるホルモンバランスの変化のほか、加齢による影響もあります。静脈瘤のような症状が原因で慢性静脈不全に至り、小さな血管が破綻することで皮膚に炎症が起こります。これがうっ滞性皮膚炎です。
慢性静脈不全とはどのような病気ですか?
足の静脈の機能が悪くなり、血流が悪化する病気です。
下肢静脈瘤や深部静脈血栓症(DVT)が原因で、下肢静脈(足先から心臓へと血液を送り返す血管)の血流が悪くなり、足のむくみや重苦しさ、痛みなどの症状が生じる病気です。
また、皮膚に症状が及ぶ場合もあり、炎症や色素沈着、さらには潰瘍(皮膚がえぐれた状態)などを引き起こすこともあります。
慢性静脈不全の症状
慢性静脈不全と症状が似ている他の病気はありますか?
むくみや痛みが主な症状の場合、炎症を起こす病気やリンパ管の詰まりと区別する必要があります。
慢性静脈不全と似た症状を引き起こす疾患として、
- 足の血管の病気
- 蜂窩織炎(ほうかしきえん)などの皮膚の感染症
- 心不全
- 甲状腺や腎臓、肝臓の疾患
などがあり、こういった病気がないか見分ける必要があります。
初期症状としてどのようなものが見られますか?
足の血管が浮き出たり、むくみがでたりします。
足の細い血管がクモの巣状に皮膚の表面に浮き出てくる、足のむくみや重苦しさ等が見られるといったことが多いです。
どのような症状が見られますか?
足の静脈が浮き出るほか、足のむくみ・だるさ・痛み、皮膚の色・硬さの変化が生じます。
血管がこぶのように膨らんで足の表面がぼこぼこになるほかにも、
- 足のむくみや重苦しさ
- 疲れやすさ
- 足のつりやすさ
- 足の痛みやかゆみ
といった症状が現れてきます。
さらに悪化すると、血液のうっ滞(血液の流れが静脈内で滞ってしまうこと)による皮膚炎や、皮膚の潰瘍(皮膚が深いところまで傷ついた状態)が生じてしまうこともあります。
慢性静脈不全の原因
この病気の原因は何ですか?
下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)や深部静脈血栓症が原因となります。
下肢静脈(足先から心臓へと血液を送り返す血管)の機能が悪くなる下肢静脈瘤や、血栓ができることで血流が悪くなる深部静脈血栓症(DVT)などが原因となることが多いです。
近年では、高齢、身体能力の低下(廃用)、肥満などが原因のケースも見られます。
慢性静脈不全の検査・診断
どのような検査を行いますか?
下肢静脈の超音波検査を行うことが多いです。病状によっては他の画像検査も行います。
下肢静脈(足先から心臓へと血液を送り返す血管)の超音波検査を行うことが多いです。
病状によっては、CTやMRI、ABI(血管の詰まり具合を評価する検査)等の画像検査が行われることもあります。
またほかの病気が疑われる場合には血液検査やレントゲン検査、心電図などの検査を行うこともあります。
どのようにして診断しますか?
症状や、患部の見た目、血管の超音波検査などから診断することが多いです。
症状や、患部の見た目、下肢静脈(足先から心臓へと血液を送り返す血管)の超音波検査などから診断されることが多いです。
病状によっては、CTやMRI等の画像検査を行うこともあります。
慢性静脈不全の治療・対処法
下肢静脈瘤・慢性静脈不全・うっ滞性皮膚炎への対処法は?
まずは医療機関を受診してください。皮膚科・形成外科・血管外科などの診療科が関わります。程度によっては、手術も検討されます。
どのような手術をしますか?
こぶをつくっている静脈を取り除く手術をします。固めたり焼いたりすることもあります。
- 血管そのものを引き抜く手術(従来的なやり方)
- 静脈瘤を固める手術
- レーザーなどで血管を閉塞させる手術(血管内治療)
等があります。
特に最近では、日帰りで実施できるケースも多いことから、血管内治療が選択されることが多くなっています。
治療を開始してから治るまでの流れが知りたいです。
弾性ストッキング等を用いた保存的治療や、手術が行われます。手術の場合、入院期間は日帰り~5日程度になります。
弾性ストッキング等を用いた保存的治療(体を傷つけずに病気を治していく治療)や、場合によっては手術が行われます。
手術を選択する場合、入院期間は日帰り~5日程度となることが多いですが、病状によってはより長くなることもあります。
なお、手術後も保存的治療は必要となります。
一般的にどのような治療を行いますか?
長時間の立ちっぱなしを避けるなど、生活習慣の改善を行います。多くの場合、弾性ストッキングを使用します。手術を行うこともあります。
生活習慣の改善に取り組みます。
具体的には、
- 長時間の立ちっぱなしを避ける
- 習慣的に運動(つま先の上げ下げ、あおむけに横になっての足上げ、ウォーキングなど)をする
- 安静時には、下肢挙上(足を心臓よりも高くして血の流れを促すこと)を行う
といったことに注意します。
また、ほとんどの場合、弾性ストッキングを着用するようにします。
以上の治療法以外に、病状によっては手術を行うことも考えます。
参考文献
伊藤孝明 久木野竜一 高原正和他. 下腿潰瘍・下肢静脈瘤診療ガイドライン. 日皮会誌. 2011, 121, p.2431-2448.
孟 真. 慢性下肢静脈不全とその治療.心臓 . 2016, 48, p.275−280.
受診の目安・何科を受診するべきか
どの診療科を受診したらいいですか?
血管外科や心臓血管外科を受診しましょう。皮膚の症状が目立つ場合には皮膚科を受診しましょう。
基本的には、血管にかかわる病気であり、血管外科や心臓血管外科を受診しましょう。
ただ、皮膚の症状が目立つ・皮膚炎になっているような場合には、皮膚科や形成外科で対応することもあり、受診を検討するとよいでしょう。
医療機関を受診する目安はありますか?
足の痛みやむくみなどの症状があれば受診してください。
足の表面がぼこぼこになってきたり、むくみや重苦しさなどの症状が見られたりする場合、ぜひ一度受診してみましょう。
慢性静脈不全を放置するとどうなりますか?
命に関わることはありませんが、症状は悪化していきます。ひどくなると皮膚がえぐれることがあります。
放っておいても命に関わるようなことはありませんが、むくみがひどくなったり、皮膚の炎症や潰瘍(皮膚が深いところまで傷ついた状態)を引き起こしたりと、症状が悪化してしまいます。
症状が悪化するほど治療が長引いてしまうため、疑わしい症状があれば早めに受診しましょう。
下肢静脈瘤・慢性静脈不全・うっ滞性皮膚炎の専門医がいる近くの病院はありますか?
下肢静脈瘤・慢性静脈不全・うっ滞性皮膚炎の専門医がいる病院を見る慢性静脈不全の薬
一般的にどのような薬を飲んで治療しますか? 副作用はありますか?
血栓が原因の場合には、血液を固まりにくくする薬を使用します。副作用として出血しやすくなります。
静脈不全症自体には特に薬は使用しません。
ただし、深部静脈血栓症というような足の静脈に血ができて血の巡りが悪くなるような病気が原因となっている場合には、血液を固まりにくくする薬の内服が必要となります。
副作用として、出血しやすくなります。
弾性ストッキングにはどのような効果がありますか?
症状の軽減および進行の予防、手術後の再発の予防といった効果が期待できます。
血液が足にたまることで生じる種々の症状(足のむくみや重苦しさ、だるさなど)を軽減したり、進行を抑えたりする効果があります。
また、手術での治療を行なった際に、手術後の病気の再発を予防する効果も期待できます。
対処法・セルフケア
手術後に、日常生活で気を付けることは何でしょうか?
立ち仕事を避けること、安静時の下肢挙上、習慣的な運動、弾性ストッキングの着用が大切です。
立ち仕事は血液が足にたまる原因になるので、避けるようにします。
就寝時など、横になって安静にする際は、下肢挙上(足を高くして血の流れを促すこと)を行うように心がけます。
日常的に無理のないレベルの運動(つま先の上げ下げや足上げ、ウォーキングなど)を行うようにすることも大切です。
また、症状の改善や再発防止のために、普段から弾性ストッキングを着用することも効果的です。
参考文献
孟 真. 慢性下肢静脈不全とその治療.心臓 . 2016, 48, p.275−280.
伊藤孝明 久木野竜一 高原正和他. 下腿潰瘍・下肢静脈瘤診療ガイドライン. 日皮会誌. 2011, 121, p.2431-2448.
慢性静脈不全について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「下肢静脈瘤・慢性静脈不全・うっ滞性皮膚炎」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 普段、おもに立ち仕事をしていますか?
- 体のどちらか片方だけにむくみがありますか?
- むくみがありますか?
- 足がむくんでいますか?
- 皮ふが硬くなっている場所がありますか?
慢性静脈不全に関連する病気・症状
この記事の監修医師
白石 達也 先生
東日本橋内科クリニック 内科・循環器内科
京都大学医学部卒。田附興風会医学研究所北野病院で臨床研修、仁生社江戸川病院で循環器内科医として勤務。Ubie社での勤務を経て、東日本橋内科クリニック院長。
- 更新日
- 2024/03/28
- 公開日
- 2020/09/03