脊椎圧迫骨折
監修医師濱畑 智弘山田記念病院 整形外科
- 更新日
- 2024/03/28
- 公開日
- 2020/09/03
「圧迫骨折」は背骨に起こり、多くの場合、尻もちをついた時や重たいものを持ち上げるなど、背骨に上下方向から強い力が加わった際に起こります。若い人では事故などの怪我によって起こることもありますが、多くは骨粗鬆症の高齢女性に起こります。起き上がる動作や寝返りなどで腰や背中に強い痛みが生じ、日常生活が困難になることもあります。圧迫骨折が疑われる場合には、整形外科を受診しましょう。
圧迫骨折とは
骨粗鬆症になり骨が脆くなると、弱い力でも脊椎に骨折を生じます。重いものを持ち上げたり尻餅をつく位の力で骨折する場合や、気がつかないうちに骨折をしていて偶然撮ったレントゲンで分かることもあります。
「圧迫骨折」とはどのような骨折ですか?
背骨が上下方向に圧迫されて起こる骨折です。
「圧迫骨折」は多くの場合、尻もちをついた時や重たいものを持ち上げるなど、背骨に上下方向から強い力が加わった際に起こります。
骨粗鬆症の高齢女性、特に65歳以上で起こりやすくなります。起き上がる動作や、寝返りなどで腰や背中に強い痛みが生じ、日常生活を送ることが難しくなる場合もあります。
若年者でも起こることがあり、交通事故や高所からの転落などの強い力が原因となります。
痛みを我慢して日常生活を続けていると、背骨の変形が進行したり、骨折部が不安定になり痛みが残ってしまったりしますので、早めに治療をすることが大切です。
圧迫骨折の症状
圧迫骨折には初期症状はありますか?
ほとんどの場合、初期症状は腰痛です。
圧迫骨折では多くの場合、初期には腰痛が起こります。
特に、寝た状態から起き上がる時の痛みが特徴的です。ただし、立ちあがったあとは痛みが減り、歩行も可能となる場合もあります。
骨粗鬆症が背景にある場合は、圧迫骨折が起こった直後より強い痛みが起こることもあれば、数日から数週経過して痛みが強くなることもあります。
若年者で生じた圧迫骨折の場合、強い外からの力を伴う怪我が原因のことが多いため、その直後から腰痛が起こります。
圧迫骨折ではどのような症状がありますか?
体を動かした時に強い腰痛が起こります。また、骨が変形することにより背中が丸くなります。
圧迫骨折の主な症状は以下の通りです。
腰の痛み
圧迫骨折が最も起こりやすい部位は、腰椎と胸椎の境界部(みぞおちの高さの背骨)です。ただし、ほとんどの場合で痛みは腰に感じます。寝ている姿勢から起き上がる時に鋭い痛みが生じますが、立ち上がったあとは痛みが減り、歩行も可能となる場合が多いです。
また、きっかけとなる怪我の直後にはさほど痛くなかったものの、数日経ってから徐々に痛みが強くなり動けなくなる場合もあります。
背中が丸くなる(円背、亀背)
圧迫骨折により背骨が縮まり、これが複数の背骨に及ぶと徐々に背中が丸くなります。これを円背(えんぱい)、亀背(きはい)と呼びます。
圧迫骨折の原因
圧迫骨折の原因は何がありますか?
多くの場合、尻もちや重いものを持ち上げる動作が原因となります。
圧迫骨折の原因は以下の通りです。
高齢者の場合
多くの場合、尻もちや重いものを持ち上げる動作が原因となります。
背景に骨粗鬆症がある場合が多いです。骨粗鬆症は、骨の密度が低下し骨が脆くなります。このため、通常では骨折を引き起こさないような軽微な力でも生じることが多いです。
若年者の場合
交通事故や高所からの転落など、強い力によって起こります。高齢者と異なり、重いものを持つなどの軽微な力で起こることはありません。
圧迫骨折が原因で、寝たきりになってしまう可能性はありますか?
はい、寝たきりの原因となることもあります。
圧迫骨折が原因やきっかけとなって、寝たきりになってしまうリスクはあります。
圧迫骨折が起こると、特に高齢の人において、運動能力が低下します。もともと杖やシルバーカーを使っている場合には、運動能力が低下しやすく、圧迫骨折がきっかけとなり寝たきりになってしまう場合もあります。
このように、寝たきりになってしまうリスクを減らすためにも、圧迫骨折の治療では早期からリハビリを行い、運動能力の低下を予防することが重要となります。
圧迫骨折の検査・診断
圧迫骨折のセルフチェックはできますか?
圧迫骨折が疑われる症状の特徴を解説欄に記載します。また、症状検索エンジン「ユビー」で質問に回答することでセルフチェックもできます。
はい。圧迫骨折のセルフチェックは、ある程度可能と考えられます。ただし、適切な治療を受けるためには専門医による検査・診断が必要です。
圧迫骨折が疑われる場合、以下のような特徴が参考になります。
また、症状検索エンジン「ユビー」で質問に沿って回答を進めると、無料で圧迫骨折の緊急度や関連する病気をチェックすることができます。ぜひご活用ください。
圧迫骨折の治療・対処法
脊椎圧迫骨折への対処法は?
骨粗鬆症がある方は、弱い力でも脊椎に骨折を生じている可能性があります。腰の痛みが続く場合には整形外科を受診しましょう。
圧迫骨折の場合、主にどのような治療をしますか?
コルセットを着用し、安静を心がけます。
圧迫骨折の治療の基本は、保存治療(手術以外の治療)です。ただし、骨折部に不安定さがある、骨がくっつかない(偽関節と呼びます)、神経を圧迫している場合などは、手術を行う場合もあります。
具体的には、以下のような治療があります。
コルセットの着用
コルセットを巻くことで、背中が丸くなる動きを予防することができます。また、体幹を圧迫することで痛みの軽減に役立ちます。
安静
痛みが強い時期には安静が重要です。特に、怪我をしてから1ヶ月以内に動きすぎると骨折部の変形が進んでしまうことがあり、注意が必要です。
鎮痛剤の内服
痛みが強い時期は鎮痛剤を内服し、痛みを軽減させます。
リハビリ
安静やコルセットの着用による足腰の筋力低下を予防するために、筋力トレーニングや歩行の訓練を行うこともあります。
手術
以下のような手術を行うことがあります。なお、骨折の手術の中でも特に専門性の高い治療となり、手術のできる施設は限られます。
経皮的椎体形成術、 バルーンカイフォプラスティ
潰れた骨の中で風船(バルーン)を膨らませて、その空間にセメントを注入して固める手術です。
腰椎後方固定術
スクリューやロッド(金属の棒)を用いて、背骨をまっすぐに治す手術です。
圧迫骨折をしてしまった後は、どのようなリハビリをするのでしょうか?
体幹や足の筋力の強化や、歩行の訓練を行います。
圧迫骨折のリハビリ内容は、時期によって変わります。
急性期(発症してから3週以内)
この時期には、無理に動きすぎると骨折部の変形が起こりやすので注意が必要です。
リハビリの内容は以下の通りです。
足の筋力トレーニング
寝た状態で負担のかからないように行う場合も多いです。
起き上がりの動作のトレーニング
体を捻りすぎないようにして横向きになり、手を使って体を起こす訓練を行います。
慢性期(発症して3週以降)
骨がかたまってきたら、急性期のトレーニングに加えて、以下のようなメニューを追加していきます。
体幹の筋力強化
長期の安静やコルセット装着により体幹の筋力が低下するため、再獲得を目指します。
歩行訓練、日常生活動作のトレーニング
入院している場合には、自宅退院に向けたトレーニングを行います。
受診の目安・何科を受診するべきか
圧迫骨折が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?また、病院を受診する目安はありますか?
怪我の後に腰痛が続く場合には、整形外科を受診しましょう。
圧迫骨折が疑われる場合に受診すべき診療科は、整形外科になります。
高齢女性で、寝た状態から起き上がる時に腰痛が生じるようになった場合は、受診をご検討ください。
また、若い方では、背骨に上下方向から強い力が加わった後(怪我や重たいものを持ち上げるなど)に強い腰痛が起こり、日常生活に制限が出る場合には、早めに受診しましょう。
痛みを我慢して日常生活や家事を続けていると、背骨の変形が進行したり、骨折部が不安定になり骨折部の痛みが残ってしまったりすることもあるため、注意が必要です。
脊椎圧迫骨折の専門医がいる近くの病院はありますか?
脊椎圧迫骨折の専門医がいる病院を見る圧迫骨折に関連するその他の質問
圧迫骨折をした際、コルセットの装着期間はどのくらいですか?
一般的に、コルセット装着期間はおよそ2ヶ月間です。骨折の状態や痛みの強さによって装着期間は変動します。
圧迫骨折をした際は、一般的に骨が硬くなって安定するまでコルセットを装着します。そのコルセット装着期間は、およそ2ヶ月です。
ただし、不安定な骨折の方や、骨粗鬆症の強い方、基礎疾患を有する方の場合は、固定が必要な期間が長くなることがあります。
なお、コルセットを長く装着していると体幹の筋力が低下することもあるため、不用意に長い装着は避けた方が良いでしょう。骨が固まって痛みがなくなってきたら、できる限りコルセットを外す心がけも大切です。
圧迫骨折をしてしまった時、してはいけない動作はありますか?
腰を曲げる動作は避けましょう。
圧迫骨折をしているときにやってはいけないこと、避けたほうがよいこととして、腰を曲げる動作が挙げられます。
腰を曲げる動作では骨折部に強い力が加わり、骨折部の変形が進行することがあります。
特に、床から重いものを持ち上げる動作や草むしりなどの動作では、変形が進行するリスクとなるため、注意が必要です。
また、布団から起き上がる際に、上を向いて起き上がると痛みが強く出てしまうため、横向きで起き上がるようにしましょう。
圧迫骨折について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「脊椎圧迫骨折」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 腰が痛みますか?
- 骨折していると感じますか?
- 背中が痛みますか?
- これまでに【骨粗しょう症】と診断されたことはありますか?
- 体勢・姿勢を変えたときに痛みが悪化したり、改善したりしますか?
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この記事の監修医師
濱畑 智弘 先生
山田記念病院 整形外科
慈恵医大を卒業。 浅ノ川総合病院、厚生中央病院を経て2021年4月より浅草病院 整形外科に勤務。 整形外科一般および人工関節置換術を専門とする。 より広い視点で医療を捉えなおすことが出来るように2020年4月より立教大学ビジネスデザイン研究科に入学、2022年3月に卒業しMBA取得。
- 更新日
- 2024/03/28
- 公開日
- 2020/09/03
