糖尿病網膜症の失明率はどのくらいですか?
糖尿病網膜症の「失明率」を示す明確なデータはありませんが、日本の失明原因の第3位であり、早期発見と治療で失明リスクを下げられるとされています。
糖尿病網膜症の「失明率」が一概に示せない理由
「糖尿病網膜症になったら何%の人が失明する」という単一の失明率は、現在の医学データでは示されていません。実際に失明に至るかどうかは、病気の進行段階や治療の有無、血糖コントロールの状態などによって大きく異なります(糖尿病網膜症診療ガイドライン)。ただし、糖尿病網膜症が日本の失明原因のなかで、大きな割合を占めていることは明らかになっており、問題視されています。
日本の失明原因における糖尿病網膜症の位置づけ
2019年度の全国調査では、新たに目の障害があると認定された方のうち、糖尿病網膜症が原因だった方は約10.2%で、第3位でした(Matoba Rほか, Jpn J Ophthalmol. 2023)。かつては第1位でしたが、レーザー治療の普及などにより順位は下がってきました(日本眼科医会)。それでも、大人になってから目が見えなくなる原因として、依然として主要なもののひとつです。
糖尿病網膜症が進むと失明につながる仕組み
糖尿病網膜症は進行の程度によって3つの段階に分けられます(糖尿病網膜症診療ガイドライン)。初期の「単純糖尿病網膜症」では目の奥にある網膜の細い血管にこぶや小さな出血がみられますが、見え方に変化はほとんどありません。次の「前増殖糖尿病網膜症」では血管の詰まりが広がり、見えにくさを感じ始めることがあります。最も進んだ「増殖糖尿病網膜症」の段階では、血液の不足を補おうと脆弱な新しい血管が異常に伸びてきます。この血管が原因となり、以下のような合併症が起こることがあります(日本眼科学会)。
- 目の中の出血: 脆弱な血管が破れて目の中に血が広がり、急にものが見えにくくなることがあります
- 網膜がはがれる: 新しい血管の周りにできた膜が、ものを見るための膜(網膜)を引っ張ってはがしてしまうことがあります
- 目の圧力が上がる: 新しい血管が目の中の水の流れを妨げ、目の圧力が上がって視神経が傷つくことがあります
- 視力が落ちる: 黄斑とよばれる視力を保つ部分が障害されてしまうことがあります
糖尿病網膜症による失明を防ぐために
糖尿病網膜症は初期には自覚症状がほとんどないため、定期的な眼底検査(目の奥を調べる検査)で早く見つけることが大切です。糖尿病診療ガイドライン2024では、網膜症がなく血糖値が安定している場合でも年1回以上の眼底検査がすすめられています。見え方に変化を感じたときは、早めに医療機関への受診をご検討ください。
糖尿病網膜症について、特に知りたいことは何ですか?
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(参考文献)
日本糖尿病眼学会診療ガイドライン委員会. 糖尿病網膜症診療ガイドライン(第1版). 日眼会誌. 2020;124(12):955-981.
日本糖尿病学会 編. 糖尿病診療ガイドライン2024 第8章 糖尿病網膜症. 南江堂, 2024.
Matoba R, Morimoto N, Kawasaki R, et al. A nationwide survey of newly certified visually impaired individuals in Japan for the fiscal year 2019: impact of the revision of criteria for visual impairment certification. Jpn J Ophthalmol. 2023;67:346-352.
日本眼科医会. 糖尿病網膜症による視力低下―予防と治療―. 目についての健康情報. https://www.gankaikai.or.jp/health/60/index.html.(参照 2026-09-17).
日本眼科学会. 糖尿病網膜症. 目の病気. https://www.nichigan.or.jp/public/disease/name.html?pdid=49.(参照 2026-09-17).
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東北大学病院 眼科
山口 知暁 監修
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