腎性貧血はどのように診断されますか?

慢性腎臓病以外に原因がない貧血がみられる場合に、腎性貧血と判断します。

解説

腎性貧血は、慢性腎臓病によるエリスロポエチン(EPO)の産生低下と反応性低下によって引き起こされる貧血です。

まず、血中のヘモグロビン濃度によって貧血があること、その原因が慢性腎臓病以外にないことを確認します。貧血の基準としてヘモグロビン(Hb)濃度が用いられますが、性別や年齢によって基準が異なりますし、個人によっても異なります。しかし、治療開始基準と治療目標値は共通です。そのため、「基準値以上であるか以下であるか」を議論することに意味はなく、治療開始すべき値かどうかで考えます。

保存期CKD患者さんで維持すべきHb濃度は10g/dL以上13g/dL未満であり、 複数回の検査でHb 11 g/dL未満となった時点で腎性貧血としての治療を開始します。

貧血の原因が慢性腎臓病以外にないことの確認は、血液検査で行われます。白血球や血小板など他の血球が減少していないか、赤血球の大きさはどうか、赤血球が作られているかどうか、などが参考になり、腎臓以外が原因である可能性が高ければ血液内科などで原因を調べる必要があります。

EPOの産生低下と反応性低下が腎性貧血の原因であるため、EPO濃度を測定することは参考にはなります。
EPO濃度が50mIU/mL未満であれば腎性貧血に矛盾しないと言われますが、必ずしも腎性貧血患者さん全員が低いわけではありません。
腎臓病学国際組織(KDIGO)は他の貧血との鑑別のために、EPOを測定することをそもそも推奨していません。

個人の見解

 eGFRが60mL/min/1.73m2を下回ると男女ともに貧血が出現すること、CKDステージG3以上ではHbとEPO濃度の傾きが非CKD患者の直線と一致しなくなることが報告されています。

 このことからCKDステージG3以上でHb 11 g/dL未満の貧血があるのであれば、腎性貧血を疑う、また腎性貧血の治療開始を検討すべきと考えます。

公開日

最終更新日

虎の門病院分院 腎臓内科

大庭 悠貴 監修

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(参考文献)

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