小細胞肺がんの治療方法として、ステージごと(転移の有無別)にそれぞれどのようなものがありますか?
進行度に合わせ、手術や放射線治療と抗がん剤治療の組み合わせや、抗がん剤単独による治療が行われます。
小細胞肺がんは、原発巣の大きさやリンパ節転移・遠隔転移の状況により細かく分類(TNM分類)され、進行度(病期、ステージ)として大きくⅠ~Ⅳに分けられますが、他に「限局型」と「進展型」の2種類に分ける分類法があります。
治療方法(特に手術以外の治療)を決める際には「限局型」か「進展型」かが重要なポイントとなります。
以下に一般的な治療方針を簡単に解説しますが、治療方針は患者さん個々の体力や持病などによって個別に検討され、寝たきりなど体力がない状況では「抗がん治療」は行わずに緩和治療のみを行う方がむしろよいと考えられることもあります。治療の詳細は主治医の説明をよく聞くようにしましょう。
限局型
限局型とは、がんの広がりが、片方の胸郭内と一部のリンパ節の転移までにとどまっている状態を指します。ステージによって治療方針が異なります。
ステージⅠ・ⅡA(おおよそ原発巣が5cm以内でリンパ節転移・遠隔転移がない)
可能な限り手術を行います。完全切除できた場合も、手術後に再発予防のために抗がん剤治療を行うことが一般的です。何らかの理由で手術ができない場合には、患者さんの体力や持病などによって抗がん剤と放射線治療を組み合わせた治療(化学放射線治療)や、抗がん剤治療を行います。
ステージⅡB以上
限局型でⅡB期以上の場合は、患者さんの体力や持病などによって化学放射線治療や、抗がん剤治療などを行います。治療後に、予防的全脳照射といって、脳転移による再発を予防するための放射線治療が追加されることがあります。
進展型
がんの広がりが「限局型」の範囲を超えるものを進展型と呼びます。進展型では、総じて抗がん剤治療を中心に治療を行います。具体的な薬の種類は患者さんの体力や年齢を参考に選択されます。体力がある患者さんでは、一般的な抗がん剤に免疫療法を組み合わせることが推奨されています。
他に、遠隔転移に対しては、状況に応じて放射線治療や手術などによる治療が追加されることがあります。
公開日:
最終更新日:
京都大学医学部附属病院呼吸器内科 呼吸器内科
渡邉 アヤ 監修
(参考文献)
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