尿意があるのに尿が出ない

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膀胱収縮障害の治療法には何がありますか?

東京大学大学院医学系研究科 泌尿器外科学 泌尿器科

秋元 隆宏 監修

薬を使う方法が多いですが、症状が重い場合は、カテーテルでたまっている尿を排出することや、手術をすることもあります。

解説

膀胱収縮障害とは、膀胱がうまく収縮できないためにたまった尿を排出しきれないという病気です。排尿できずに膀胱に残った尿(残尿)が徐々に増えるため、悪化すると排尿しようとしても尿が出なくなる「尿閉」になることがあります。
神経因性膀胱前立腺肥大症などが原因で起こることがあり、原因や症状の強さ、経過に合わせて、以下の治療法を組み合わせます。

薬物治療

薬を使い分けて、尿道の筋肉を緩めて排尿に必要な収縮力を減らす方法や、膀胱の収縮力を増やす方法があります。

  • α1受容体遮断薬
  • コリン作動薬

逆に膀胱の収縮力を弱める副作用がある薬(抗コリン薬など)を減らす方法もあります。

カテーテルを用いた方法

間欠的自己導尿

とても細く柔らかいストロー状の管(カテーテル)を尿道から膀胱に入れて尿を外に出して、膀胱を空にする作業(導尿)を1日数回行う方法です。この方法はきちんと行うことで、発熱を伴う尿路感染症や腎機能の低下を予防できることが報告されています。
手法によっては尿道を傷つけてしまう可能性があるため、医療機関でしっかり教えてもらいましょう。

尿道カテーテルの留置

やや細く柔らかいストロー状の管(カテーテル)を尿道から膀胱に入れて、留置する方法です。頻回な自己導尿が困難な場合や、急に尿閉になった場合など、状況に応じて行います。約1ヶ月に1回交換することが多く、交換しつつ長期的に継続することもありますが、その場合は尿道を傷つけるリスクや尿路感染症、膀胱結石、尿道狭窄、膀胱がんなどの発生に注意する必要があります。

手術療法

尿道の抵抗を減らす手術

前立腺肥大症や膀胱結石、骨盤臓器脱、重度の尿道狭窄症に対する手術などがあります。手術によって尿が尿道を流れやすくなるため、膀胱の負担を減らすことができます。ただし、完全に治るかどうかは病気ごとの重症度や再発率によります。手術をご希望される際は、しっかりと担当医と相談しましょう。

尿路変更術

どうしても導尿が難しい場合や、尿道カテーテルを長期間留置する必要がある場合などは、恥骨の少し上の体表から膀胱につながる穴(膀胱瘻)を作り、専用のカテーテルを留置することがあります。
また、腸を袋状にして尿を溜める構造や、体外に尿を出せる構造(回腸導管)にする方法もあります。

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(参考文献)

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