リンパ浮腫の初期症状は?リンパ浮腫と症状の関連性をAIで無料でチェック
監修医師白石 達也東日本橋内科クリニック 内科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03
リンパ浮腫とは
リンパの流れが悪くなることでむくんだ状態です。原因のわからない特発性と、原因のある続発性(二次性)に分類されます。後者の原因には、外傷・手術・何らかの悪性疾患などがあります。
「リンパ浮腫」とはどのような病気ですか?
たんぱく質や老廃物などを含むリンパ液が、回収されず皮膚の下などに留まることでむくんでいる状態です。
血管から組織内へと染み出した液体の大半は血液として血管内に回収されますが、残りはタンパク質や老廃物、免疫細胞などと共にリンパ液としてリンパ管内に回収され体内を循環します。
このリンパ液が皮膚の下などに貯留してむくんでいる状態を「リンパ浮腫」と呼びます。
何らかの原因で手足などに部分的に生じることが多く、水分が貯留している一般的な浮腫と異なり、皮膚が厚くなり硬く感じることもあります。
また、指で押した際に、痕が残りにくいこともリンパ浮腫の特徴のひとつです。
リンパ浮腫の症状
リンパ浮腫には初期症状はありますか?
浮腫に伴い、例えば手足であれば徐々に太くなることが初期症状として挙げられます。
リンパ浮腫の初期症状としては、むくむことで例えば手足であれば徐々に周囲径が拡大する(太くなる)ことが挙げられます。
リンパ浮腫はがんの治療後などに生じることが多いです。
そのため、治療前後で定期的に周囲径を測定しておくことで、皮膚の変化などが生じる前にリンパ浮腫の状態を診断、対策をとることができます。
主な対策の方法として、以下のようなものが挙げられます。
リンパ浮腫の対策方法
- 圧迫
- マッサージ
- 運動
- スキンケア
リンパ浮腫ではどのような症状がありますか?
手足がむくむことで、手足が重たくなりだるさを感じます。皮膚が硬くなる、ざらつくなど皮膚の性状も変化します。
リンパ浮腫の主な症状として以下のようなものが挙げられます。
むくみ
リンパ浮腫の主要な症状です。特に手足にむくみが生じることが多いですが、顔や首、陰部(デリケートゾーン)・鼠径部、胸部などにあらわれることもあります。指でおしても痕が残りにくいことが特徴のひとつです。むくむことで手足が重くなりだるさを感じます。
皮膚の変化
皮膚がざらつき、うろこ状に硬く厚くなることがあります。また、皮膚に小さな水ぶくれができたり、皮膚からリンパ液が漏れ出てくることもあります。
感染症
リンパ浮腫の場所に、リンパ管炎、蜂窩織炎などの感染症が起こりやすいことが知られています。感染が起こると皮膚の発赤、痛み、全身の発熱などがみられます。
リンパ浮腫の原因
リンパ浮腫の原因は何がありますか?
主な原因として、がんの治療が挙げられます。その他にも、外傷、感染症、遺伝・家族性などが挙げられます。
リンパ浮腫の主な原因として以下のようなものが挙げられます。
治療に伴うもの
日本においてはがんの治療が最大の原因となっています。
手術(リンパ節郭清)、放射線照射、抗がん剤の影響などがあります。
特に乳がん、婦人科がん、前立腺がんなどの治療後にリンパ浮腫になりやすいとされています。
外傷
怪我が原因でリンパ液の流れが途絶え、リンパ浮腫となることもあります。
感染症
現在の日本においては根絶されていますが、フィラリアという寄生虫に感染することでリンパ浮腫を来すことがあります。象皮病としても知られています。
遺伝
まれに何らかの遺伝子異常でリンパ浮腫をきたすことがあり、家族性のこともあります。思春期に発症することが多いとされています。
リンパ浮腫の検査・診断
リンパ浮腫のセルフチェックはできますか?
手足が太くなっていることがポイントです。また症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
がんの治療などに伴うリンパ浮腫の場合には、治療前と比較して手足などが太くなっていないかどうかが、重要なポイントとなります。
治療前より1cm以上太くなっている場合には、リンパ浮腫の可能性があります。
また、皮膚がざらつき、うろこ状に硬く厚くなるなど、皮膚の変化があらわれたり、感染が起こると皮膚の発赤、痛み、全身の発熱などが見られることもあります。
症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできますので、ぜひご活用ください。
リンパ浮腫の治療・対処法
リンパ浮腫への対処法は?
まずは医療機関を受診してください。
乳がんの手術の後遺症でリンパ浮腫が起こることはありますか?
起こることがあります。腕にリンパ液がたまることが原因です。
リンパ浮腫は、乳がんの手術後に起こる主な後遺症のひとつです。がんの周辺にあるリンパ節を切除したり、放射線治療を行うことで、肩関節から指先にかけてリンパ液がたまって腕が腫れた状態になることがあり、「上肢リンパ浮腫」と呼ばれます。
予防としては、傷による細菌感染が新たなむくみや悪化を引き起こすため、日頃のスキンケアを心がけることや、けがや虫刺されを防ぐことがあげられます。
また、窮屈な服やアクセサリーは避け、腕に負担がかかるような運動も避けた方が良いと考えられます。さらに、適度な運動を行い、腕の可動性を維持すること、定期的に腕の周囲径を測定し、変化をモニタリングするのも大切です。
リンパ浮腫の特徴的な初期症状はありませんが、術前と比べて、腕が10mm以上太くなったり、関節が曲げづらい、腕や手に重さ感や違和感がある、指輪や時計がきつく感じるなどの症状が現れた場合には、上肢リンパ浮腫が現れている可能性があります。発症すると治りづらく、進行しやすいため、早期発見と治療が大切です。
気になる症状がある場合には早めに医師に相談してください。
医師の下で適切な治療を行うことで、進行を抑えたり、症状の軽減することができます。治療としては、医療的なマッサージや圧迫療法、運動療法、スキンケア、セルフケア指導などを組み合わせて行われます。
リンパ浮腫の場合、主にどのような治療をしますか?
医療的なマッサージや、弾性ストッキング着用、運動療法、体重管理などがあります。
リンパ浮腫の主な治療として以下のようなものが挙げられます。
圧迫
着圧ストッキングなどで圧迫することで浮腫の改善効果が期待できます。リンパ浮腫に対する標準的な治療法のひとつです。一方で圧迫しすぎて皮膚を傷つけないように注意する必要があります。
マッサージ
しっかりと訓練されたマッサージを受けることでリンパ浮腫が改善する可能性があります。
運動
適度な運動はリンパ浮腫を改善する可能性があります。特に乳がん治療後の上肢の浮腫に対して有効である可能性があります。
スキンケア
清潔を保ち、スキンケアを行うことで感染症を予防することも重要です。
手術
上記の治療を組み合わせても改善しない場合には、手術を選択することもあります。標準治療として確立しているわけではありませんが、以下のような手術が提案されています。
リンパ液の流れを再建(リンパ管細静脈吻合、血管柄付きリンパ節移植)
マイクロサージャリーといわれる、微細な手術を行う技術の進歩によって、リンパ管や細い静脈を繋ぎ合わせることでリンパ液の流れを再建する手術です。
脂肪吸引術
重症のリンパ浮腫に対して、脂肪を吸引して減量する手法が主に海外で提案されています。
受診の目安・何科を受診するべきか
リンパ浮腫が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?また、病院を受診する目安はありますか?
がん治療後に生じることが多いため、主治医に相談しましょう。手足のむくみなどを感じたら、早めに相談しましょう。
リンパ浮腫は、多くの場合、がんの治療後に発症します。
そのため、リンパ浮腫が疑われた場合には、まずは主治医に相談するとよいでしょう。
主治医がいない場合には、血管外科や形成外科などを受診することをおすすめします。近くにない場合には、皮膚科でも対応可能なこともあります。
また、がんの治療後に手足のむくみが現れた場合には、リンパ浮腫の可能性が高いため、早めに主治医に相談しましょう。
リンパ浮腫の専門医がいる近くの病院はありますか?
リンパ浮腫の専門医がいる病院を見る対処法・セルフケア
リンパ浮腫に効果のある、自分でできるマッサージを教えて下さい。
ご自身で行うリンパ浮腫のマッサージで、有効性が確認されているものはありません。
ご自身やご家族ができるマッサージで、リンパ浮腫の予防や治療として有効性が確認されているものはありません。
一方で、がん治療後に現れるリンパ浮腫の治療のひとつとして、用手的(ようしゅてき)リンパドレナージという方法があります。この方法は、手で行う医療的なマッサージであり、患者さんやご家族などが行うセルフマッサージとは異なり、専門的な訓練を受けた理学療法士や看護師などの医療従事者が治療の一環として行うものです。
例えば、筋肉をもみほぐすような強い力でのマッサージや美容目的のリンパドレナージなどのセルフマッサージはご自身の判断で行わずに、まずは医師や看護師にご相談ください。リンパ浮腫は、症状が現れると治りにくく、進行しやすい病気です。そのため、早めに適切な治療を行うことが大切です。
ご自身や周囲の方ができる予防としては、腕や足の太さの左右差を比べたり定期的に測るなどしてリンパ浮腫を早く発見することや、医師の指導のもとで適度な運動などを行いリンパ液の流れを促すことがあげられます。また、皮膚のケアや感染予防も重要です。
いずれにしても、すでにリンパ浮腫が現れている場合は、医師のもとで治療を行うことが重要です。
参考文献
日本癌治療学会.“リンパ浮腫 > 診療ガイドライン 総論”.がん診療ガイドライン.http://www.jsco-cpg.jp/lymphedema/guideline/,(参照 2024-07-17).
国立がん研究センター.“リンパ浮腫 もっと詳しく”.がん情報サービス.https://ganjoho.jp/public/support/condition/lymphedema/ld01.html,(参照 2024-07-17).
日本乳癌学会.“Q25.上肢リンパ浮腫や痛みなど手術後の後遺症について教えてください。”.患者さんのための乳癌診療ガイドライン2019年版.https://jbcs.xsrv.jp/guidline/p2019/guidline/g4/q25/,(参照 2024-07-17).
リンパ浮腫に関連するその他の質問
リンパ浮腫の見た目がわかる写真はありますか?
解説欄の参考写真をご確認ください。リンパ浮腫が現れる部位は、がんの種類や治療した場所により異なります。
American Lymphedema Association(米国リンパ浮腫協会)のウェブサイトには、腕や脚にみられたリンパ浮腫について重症度別(ステージ1~4)の写真が掲載されています。これらの写真は、リンパ浮腫の進行度合いや外見的特徴を理解するのに役立ちます。
American Lymphedema Association All about Lymphedema
なお、リンパ浮腫でむくむ部位は、がんの種類や治療した場所により異なります。一般的には以下のような傾向があります。
- 乳がんなどでわきの下のリンパ節を切除した場合:切除した側の腕
- おなかや脚の付け根のリンパ節を切除した場合:切除した側の脚
ただし、患者さんによって症状の現れ方や程度が異なることがあるため、疑わしい症状がある場合は必ず医療専門家に相談することが重要です。
リンパ浮腫になるとむくみますか?
むくみはリンパ浮腫の主な症状となります。
むくみは、リンパ浮腫の主要な症状となります。
非常に初期のリンパ浮腫の場合には、むくんでいるという自覚がないこともありますが、症状が進行するにつれてはっきりとむくむようになります。
リンパ浮腫はがんの治療後などに生じることが多いため、治療前後で定期的に周囲径を測定しておくことで、皮膚の変化などが生じる前にリンパ浮腫の状態を診断、対策をとることができます。
主な対策の方法として、以下のようなものが挙げられます。
リンパ浮腫の対策方法
- 圧迫
- マッサージ
- 運動
- スキンケア
リンパ浮腫でマッサージが禁忌となる場合はありますか?
医療的なマッサージ(用手的リンパドレナージ)は、炎症があったり、むくみの原因が心疾患などの場合は禁忌です。
リンパ浮腫の治療のひとつである用手的(ようしゅてき)リンパドレナージは、基礎疾患や皮膚の状態、合併症などを確認したうえで、実施が可能かどうか判断されます。
例えば、感染による炎症があったり、むくみが心疾患や深部静脈血栓症などによるもの場合には禁忌となります。
なお、このマッサージは専門的な訓練を受けた医療従事者が行うもので、患者さんやご家族などが行うセルフマッサージとは異なり、専門家が治療の一環として行うものです。また、リンパ浮腫の治療は用手的リンパドレナージだけでなく、圧迫療法や運動療法などと組み合わされ、複合的に実施されます。
リンパ浮腫は発症すると治りづらく、進行しやすいため、早期発見と治療が大切です。
リンパ浮腫の症状がある、または疑われる場合は、必ず医師に相談し、適切な診断と治療方針の決定を受けてください。
自己判断でマッサージを行うことは避け、必ず医療専門家の指導を受けてください。不適切なマッサージは症状を悪化させる可能性があります。
リンパ浮腫を治す方法はありますか?
はい。圧迫療法やリンパドレナージ、スキンケアや運動療法、重症度に応じて外科的治療があります。
リンパ浮腫を治療する方法として、以下のようなものが挙げられます。
圧迫
着圧ストッキングなどで圧迫することで浮腫(むくみ)の改善効果が期待できます。リンパ浮腫に対する標準的な治療法のひとつです。一方で圧迫しすぎて皮膚を傷つけないように注意する必要があります。
マッサージ
しっかりと訓練されたマッサージを受けることでリンパ浮腫が改善する可能性があります。
運動
適度な運動はリンパ浮腫を改善する可能性があります。特に乳がん治療後の上肢の浮腫に対して有効である可能性があります。
スキンケア
清潔を保ち、スキンケアを行うことで感染症を予防することも重要です。
手術
上記の治療を組み合わせても改善しない場合には、手術を選択することもあります。標準治療として確立しているわけではありませんが、以下のような手術が提案されています。
リンパ液の流れを再建(リンパ管細静脈吻合、血管柄付きリンパ節移植)
マイクロサージャリーといわれる、微細な手術を行う技術の進歩によって、リンパ管や細い静脈を繋ぎ合わせることでリンパ液の流れを再建する手術です。
脂肪吸引術
重症のリンパ浮腫に対して、脂肪を吸引して減量する手法が主に海外で提案されています。
リンパ浮腫に良いマッサージを教えてください。
専門教育を受けた医療従事者が、皮膚の下にたまった液体を目的とするリンパ節に向けて排液するように行います。
潤滑剤を付けずに手のひらを皮膚に密着させてストレッチするように行うことで、皮膚の下に貯留した液体を目的とするリンパ節に向けて排液するのが正しいリンパ浮腫に対するマッサージ(リンパドレナージ)とされています。
専門教育を受けた医療従事者が行うものであり、いわゆるマッサージなどとは異なりますので注意してください。
リンパ浮腫について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「リンパ浮腫」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- むくみがありますか?
- 体のどちらか片方だけにむくみがありますか?
- 皮ふが硬くなっている場所がありますか?
- 患部は腫れていますか?
リンパ浮腫に関連する病気・症状
このページを見ている人はこんな病気も見ています
このページを見ている人は他にどんな病気を見ていますか?
この記事の監修医師
白石 達也 先生
東日本橋内科クリニック 内科・循環器内科
京都大学医学部卒。田附興風会医学研究所北野病院で臨床研修、仁生社江戸川病院で循環器内科医として勤務。Ubie社での勤務を経て、東日本橋内科クリニック院長。
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03