オウム病の致死率はどのくらいですか?
オウム病による死亡はまれですが、重症例では報告されており、特に妊娠中は危険性が高まります。
オウム病に感染しても、必ずしも重い病気になるわけではありません。しかし、死に至るケースもまれに報告されています。特に、重度の呼吸不全を伴う肺炎を発症した場合、死亡するリスクが高まります。例えば、オランダの報告では、重度の呼吸不全を伴う12人の患者さんのうち8人が死亡しています。また、心臓の内膜に感染する「心内膜炎」という合併症を起こした場合も、死亡率が50%に達すると報告されています。
妊娠中のオウム病感染も、呼吸不全や肝機能障害、播種性血管内凝固症候群(DIC)などを引き起こし、生命を脅かす可能性があります。1938年の流行では、妊娠中の14人の患者さんのうち11人が死亡したと記録されています。オウム病の致死率は、治療を受けるかどうかや、患者さんの元々の健康状態によって大きく変わります。
適切な抗菌薬による治療を受ければ、致死率は1%未満とされています。ほとんどの場合、早期に診断されれば治療で回復する病気です。ただし、診断が遅れたり、もともと他の病気をお持ちの方や高齢者の方が感染したりすると、重症化して命に関わることがあります。特に以下のようなケースでは危険性が高まります。
重い肺炎になった場合
オウム病が原因で非常に重い肺炎になり、自力で呼吸ができないほどの「呼吸不全」という状態に陥ると、亡くなるリスクが非常に高くなります。オランダの報告では、ここまで重症化した患者さん12人のうち8人が亡くなったという記録があります。
心臓に菌が感染した場合
まれに、オウム病の菌が心臓の内側をおおう膜に感染し、「心内膜炎(しんないまくえん)」という合併症を起こすことがあります。この場合、心臓の機能が大きく損なわれるため、死亡率が50%に達すると報告されています。
妊娠中に感染した場合
妊娠中にオウム病に感染すると、母体に深刻な影響を及ぼすことがあります。特に、呼吸が困難になったり、肝臓の機能が悪化したり、血液が固まりにくくなる「DIC(播種性血管内凝固症候群)」という危険な状態になったりすることがあり、命を脅かす可能性があります。過去の古い流行(1938年)では、妊娠中の患者さん14人のうち11人が亡くなったという悲しい記録もあります。
現代の医療では、オウム病は「きちんと治療すれば、ほとんどが治る病気」です。しかし、治療が遅れると重い肺炎や合併症を引き起こし、命を落とす危険性もある、決して侮れない感染症です。鳥と接触した後にインフルエンザのような症状が出たら、ためらわずに医療機関を受診することが何よりも大切です。
京都大学医学部附属病院 呼吸器内科
山形 昂 監修
(参考文献)
A P Yung et al.“Psittacosis--a review of 135 cases”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/3343952/,(参照 2025-07-30).
S A Sahn.“Pleural effusions in the atypical pneumonias”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/3062725/,(参照 2025-07-30).
J F Moroney et al.“Detection of chlamydiosis in a shipment of pet birds, leading to recognition of an outbreak of clinically mild psittacosis in humans”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9636874/,(参照 2025-07-30).
Xiancheng Chen et al.“Metagenomic next-generation sequencing in the diagnosis of severe pneumonias caused by Chlamydia psittaci”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32314307/,(参照 2025-07-30).
こちらは送信専用のフォームです。氏名やご自身の病気の詳細などの個人情報は入れないでください。
この記事をシェアする
治療が必要な患者様へのお願い
オウム病
の方は説明を必ずお読みください
こちらのQRコードを
スマーフォンのカメラで読み取ってください
QRコードを読み取るだけ 非接触で安心
一問一答なので 読むのが簡単
どんな治療をするべきか 納得して取り組める
ユビー病気のQ&Aとは?
現役の医師が、患者さんの気になることや治療方法について解説しています。ご自身だけでは対処することがむずかしい具体的な対応方法や知識などを知ることができます。
病気・症状から探す医師・医療機関の方はコチラ医療AIパートナー ユビー
24時間いつでも健康の悩みを気軽にチャットで相談できるあなただけの医療AIパートナー。なんとなく不調な時や人に相談しづらい悩みがあるときも、どんな相談もOKです