自己免疫介在性脳炎・脳症のひとつである、抗NMDA受容体脳炎とはどのような病気ですか?
脳の神経細胞にあるNMDA受容体を攻撃する自己抗体で起こる脳炎で、若い女性に多いとされます。
抗NMDA受容体脳炎について、病気の特徴、症状の経過、卵巣奇形腫との関係と治療に分けて説明します。
抗NMDA受容体脳炎の特徴と患者数
抗NMDA受容体脳炎は、脳の神経細胞の表面にある「NMDA受容体」を、誤って攻撃する自己抗体によって起こる脳炎です。
日本の自己免疫介在性脳炎・脳症のなかで最も頻度が高い病気で、患者数は約600人と推計されています(厚生労働省)。患者さんの約8割が女性で、多くは若い女性に発症しますが、乳児から高齢者まで幅広い年齢でみられます。
抗NMDA受容体脳炎の症状の経過
典型的には、はじめに風邪のような症状が出て、続いて抑うつや興奮、幻覚・妄想など、急に発症した統合失調症に似た精神症状が現れます。その後、次のような症状が出ることがあります。
- 意識障害
- 頻回のけいれん
- 顔や手足が勝手に動く不随意運動
- 呼吸が弱くなる、血圧や体温が不安定になるなどの自律神経症状
症状は3ヶ月以内に急速に進むことが多く、急性期に呼吸不全により亡くなる場合もあります。約7割は集中治療室での治療が必要とされています(厚生労働省)。
卵巣奇形腫との関係と治療
患者さんの約4割に腫瘍がみられ、腫瘍のなかでは卵巣奇形腫が最も多いとされています(厚生労働省)。卵巣奇形腫の多くは良性です。
診断では、髄液を調べてNMDA受容体に対する抗体を確認することが重要とされています。
治療では、ステロイドパルス療法、免疫グロブリン大量静注療法、血漿交換療法などの免疫療法を行い、腫瘍がある場合は手術などで腫瘍を治療します。効果が不十分な場合は、リツキシマブやシクロホスファミドなどが使われることがあります。ただし、急性期・維持期ともに、有効性の確立した治療法はまだありません。
急性期の治療によって、発症から24ヶ月の間に約8割が身の回りのことを介助なしで行える程度まで改善するとされています。一方で、記憶の面での後遺症が残ることや、20〜25%で再発することがあるため、長期にわたる経過観察が必要です。
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(参考文献)
日本小児神経学会.“101 自己免疫介在性脳炎・脳症 概要”.小児慢性特定疾病情報センター.https://www.shouman.jp/disease/details/11_40_101/,(参照 2026-10-26).
厚生労働省.“自己免疫介在性脳炎・脳症”..https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/000828398.pdf,(参照 2026-10-26).
厚生労働省.“第54回指定難病検討委員会 資料1-2「NMDA受容体抗体脳炎(個票)」”..https://www.mhlw.go.jp/content/10905000/001200184.pdf,(参照 2026-10-26).
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やよい在宅クリニック 脳神経内科
武井 悠香子 監修
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