夏にインフルエンザになることはありますか?
あります。夏に弱まるのは空気を介した感染で、接触感染や海外からの持ち込みで流行することがあります。
インフルエンザは高温多湿に弱いため、夏には流行らないと思われがちですが、夏でも感染や流行が起こる背景を整理します。
高温多湿で弱まる空気感染、影響を受けにくい接触感染
気温や湿度に弱いという理解は、動物実験の結果とも一致しています。動物を用いた研究では、気温5℃のような低温では効率よく感染が広がる一方、30℃では空気中に漂う細かい飛沫(エアロゾル)を介した感染がみられなくなったと報告されています。湿度が高い条件でも同様でした。
ただし、同じ研究では、患者さんや物に触れることで起こる接触感染は30℃でも遮断されませんでした。ここから研究者は、温帯の冬は空気を介した感染が主体である一方、高温多湿の地域では接触感染が主体となり、暑くても感染が続きうるという仮説を示しています。夏に弱まるのは感染経路の一部であり、ウイルスがいなくなるわけではないと考えられています。
沖縄と海外の流行期からみる夏のインフルエンザ
流行時期は地域によって異なります(国立健康危機管理研究機構)。
- 北半球の温帯(日本を含む):1〜2月ごろがピーク
- 南半球の温帯:7〜8月ごろがピーク
- 熱帯・亜熱帯:雨季を中心に発生
亜熱帯にある沖縄県の患者さんデータを7年間分析した研究では、B型の流行がほぼ毎年3月から7月ごろにみられたと報告されています。また、日本の夏は南半球の流行期と重なり、旅行や帰省で国際的な人の往来が増える時期でもあるため、厚生労働省検疫所も海外渡航者に注意を呼びかけています(厚生労働省検疫所FORTH)。
新しい変異株「サブクレードK」と免疫の状態
インフルエンザウイルスには少しずつ姿を変える性質(抗原変異)があり、これが毎年流行を繰り返す一因とされています(国立健康危機管理研究機構)。2025年以降に広がったA型(H3N2)の変異株「サブクレードK」については、アジア各国で従来の株から急速に置き換わったことや、ワクチンの効果が弱いことが海外で報告されています。ただし、症状や重症度が従来より重いという一貫した根拠は示されていません。夏でも手洗いなどの基本的な対策は有効とされており(厚生労働省)、急な高熱などがある場合は内科(お子さんは小児科)への受診をご検討ください。
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(参考文献)
厚生労働省「インフルエンザ(総合ページ)」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/index.html,(参照 2026-08-31).
国立健康危機管理研究機構「インフルエンザ(詳細版)」https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/influenza/detail/index.html,(参照 2026-08-31).
厚生労働省検疫所FORTH「インフルエンザ(Influenza)」https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/name55.html,(参照 2026-08-31).
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Lowen AC, Steel J, Mubareka S, Palese P. High temperature (30 degrees C) blocks aerosol but not contact transmission of influenza virus. J Virol. 2008;82(11):5650-5652.
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富士在宅診療所 一般内科
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