高プロラクチン血症の場合、閉経後はどうなりますか?

プロラクチン値が高い状態は持続しますが、月経不順などの症状は目立たなくなります。骨粗鬆症や腫瘍増大のリスク評価が重要になります。

高プロラクチン血症の患者さんが閉経を迎えた後、その状態や症状、治療方針は変化することがあります。まず、プロラクチノーマ(下垂体腫瘍)などが原因の場合、プロラクチン値そのものが閉経によって自然に正常化することは通常ありません。したがって、高プロラクチン血症の状態は持続する可能性があります。

しかし、症状の現れ方は大きく変わります。閉経前は、高プロラクチン血症の主な症状として「月経不順」「無月経」「不妊」などがみられましたが、閉経後はもともと月経がなくなるため、これらの症状は当然なくなります。その結果、症状が何もない「無症候性」となり、病気が目立たなくなることがあります。乳汁分泌の症状が続く可能性があります。閉経後に重要となるのは、以下の2つのリスク管理です。

骨粗鬆症のリスク

閉経によって女性ホルモン(エストロゲン)が低下すると、骨密度が減少しやすくなります。高プロラクチン血症も性ホルモンの低下を助長するため、両者が重なることで骨粗鬆症のリスクがさらに高まる可能性があります。そのため、定期的な骨密度検査が重要になります。

下垂体腫瘍による圧迫症状のリスク

原因が下垂体腫瘍(プロラクチノーマ)である場合、腫瘍が大きくなると視神経を圧迫し、頭痛や視野障害(物が見えにくくなる)を引き起こす可能性があります。閉経後は症状が乏しくなるため、定期的なMRI検査などで腫瘍の大きさをチェックすることが大切です。

これらのリスク評価に基づき、治療(ドパミン作動薬)を継続するか、あるいは中止して経過観察とするかは、専門医によって個別に判断されます。

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福岡ハートネット病院、井林眼科・内科クリニック 糖尿病・内分泌科 福岡ハートネット病院 糖尿病内科部長

井林 雄太 監修

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