産後に高プロラクチン血症になることはありますか?

はい、あります。授乳中は母乳を作るため、プロラクチン値が高くなるのが正常です。しかし、授乳をやめても高い場合は病気の可能性があります。

はい、産後に高プロラクチン血症になることはあり、多くは生理的(正常)な体の変化です。

【生理的な高プロラクチン血症】

プロラクチンは「乳汁分泌ホルモン」とも呼ばれ、母乳を作り出すために不可欠なホルモンです。妊娠中から徐々に分泌が増え始め、出産後、赤ちゃんがおっぱいを吸う刺激(吸啜刺激)によってさらに大量に分泌されます。したがって、産後の授乳期間中にプロラクチン値が高いのは、母乳育児を行うための正常で健康な状態であり、病気ではありません。この生理的な高プロラクチン血症は、授乳をやめると数週間から数ヶ月かけて自然に正常値に戻っていきます。

【病的な高プロラクチン血症】

一方で、以下のような場合は、生理的な範囲を超えた病的な高プロラクチン血症の可能性があります。

  • 授乳を完全にやめてから数ヶ月以上経っても、プロラクチン値が高いままである
  • 授乳をやめても月経が再開しない
  • 断乳後も乳汁分泌が続く
  • 頭痛や視野障害(物が見えにくい)といった症状がある

このような場合は、妊娠・出産をきっかけに顕在化した、あるいは新たに出現した「下垂体腫瘍(プロラクチノーマ)」などの病気が隠れている可能性があります。結論として、産後の高プロラクチン血症はほとんどが正常な反応ですが、断乳しても月経が再開しないなど、気になる症状が続く場合は、一度、産婦人科や内分泌内科を受診して相談することが薦められます。

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福岡ハートネット病院、井林眼科・内科クリニック 糖尿病・内分泌科 福岡ハートネット病院 糖尿病内科部長

井林 雄太 監修

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