かかとの痛みの原因や考えられる病気には何がありますか?

繰り返す運動刺激や急性外傷、神経の圧迫や炎症などいくつかの原因があります。病気で最も多いのは足底腱膜炎です。

解説

かかとの痛みの生じ方には、原因によっていくつかの種類があります。
痛みの生じ方や、痛みを引き起こす原因となる病気は、以下の通りです。

繰り返す運動刺激による傷害

長い距離を歩いたり、長い時間にわたって運動を行ったりすることで、意識せずしてかかとには大きな力がかかり続けます。このかかとに継続してかかる力によって病気が生じます。

足底腱膜炎

足の裏でかかとと指をつなぐ腱膜である「足底腱膜」が傷つくことで痛みを感じます。かかとの痛みの原因で最も多い病気です。

アキレス腱付着部症

アキレス腱のうち、かかとにつながる部分が傷つくことで痛みを感じます。重度になると、アキレス腱が断裂してしまうこともあります。

踵骨疲労骨折

長期間にわたってかかとへの負荷が繰り返されることで、負荷が蓄積して骨折を起こす病気です。長距離ランナーの方などによく見られます。骨粗鬆症が関係する場合もあります。

Sever(シーバー)病

活発に運動する10〜14歳くらいの男の子に起こることの多い病気です。成長段階にあるかかとの骨には脆弱な部分があり、スポーツによる負荷が繰り返されることでこの部分が傷つく病気です。

急性外傷

踵骨骨折

かかとの骨が骨折することは少なくありません。特に高い場所から飛び降りてかかとで着地した際に骨折する場合が多いです。かかとに強い痛みや腫れ、内出血といった症状が起こります。

神経の圧迫

足先へ向かう神経が傷つくことで起こります。痛みとともにしびれがある場合や、かかと以外の部位(足の指や足首など)にも痛みを感じる場合に疑われます。

足根管症候群

足裏の広い範囲で痛みやしびれを感じます。内くるぶし周囲で神経が圧迫されることによって発症する病気です。

腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症

いずれの病気も、足に向かう神経が腰の近くで圧迫されることによって足の痛みやしびれを感じます。腰痛がある場合や、かかと以外の部位にも痛みやしびれを感じる場合に疑われます。

細菌感染症や関節炎による炎症

かかとの周りが腫れや赤み、熱を持っている場合には、細菌感染症やリウマチのような関節炎の可能性を考えます。

細菌感染症

足は細かい傷がつきやすく、また心臓から離れていて血の流れが悪いことから、細菌感染症にかかりやすい部位です。糖尿病がある方は特に注意が必要です。治療には抗生物質が必要になります。

痛風

痛風では足の指の付け根に急な痛みが生じることが多いですが、かかとに関節炎が起こる場合もあります。尿酸値が高い方で、水分が不足すると起こりやすいです。

関節炎

かかとに限らず他の関節も痛くなる場合、リウマチや脊椎関節炎の可能性があります。いずれも血液検査などを実施して診断を行います。

公開日

最終更新日

山田記念病院 整形外科 整形外科部長

濱畑 智弘 監修

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(参考文献)

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