夜間頻尿の治療にはどのような薬が使われますか?

夜間の尿量を減らす薬、膀胱の機能を改善させる薬、睡眠障害の症状を改善させる薬などを使用します。

解説

夜間頻尿の原因に合わせて、いくつかの薬を使用することができます。
具体的には、夜間の尿量を減らす薬、膀胱の機能を改善させる薬、睡眠障害の症状を改善させる薬などを使用します。

夜間の尿量を減らす薬

デスモプレシン(ミニリンメルトⓇ)

この薬は、夜間に2回以上排尿し、「夜間多尿」がある男性の方だけが使用できます。
「夜間多尿」の定義は、就寝中と朝起きてから最初に出た尿の合計が1日の尿量の33%以上(65歳未満は25%以上)とされています。「排尿日誌」を書くことで夜間多尿がどうかを判断できます。
デスモプレシンは、腎臓内で濾し出した水分を再吸収する力を高めるため、尿量を減らすことができます。
注意点としては、もともと利尿薬やステロイド製剤を飲んでいる方や、多尿や、低ナトリウム血症、心不全、腎不全の症状がある方は、効果や安全性に問題が生じるため、この薬を飲むことができません。

膀胱の機能を改善させる薬

β3受容体作動薬、抗コリン薬、α1遮断薬など

過活動膀胱前立腺肥大症、頻尿を起こすその他の病気で夜間頻尿になることがあります。その場合には、それぞれの病気に合わせた治療薬(β3受容体作動薬、抗コリン薬、α1遮断薬など)が有効です。
詳しくは以下のリンクをご参照ください。

睡眠障害の症状を改善させる薬

睡眠薬(オレキシン受容体拮抗薬、メラトニン受容体作動薬、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬)など

生活習慣や就寝環境を改善させ、睡眠障害の原因となる睡眠時無呼吸症候群などの治療を長期間行っても効果がない場合や、不眠や夜間頻尿によるストレスでさらに不眠症が悪化してしまう場合などは、一時的に睡眠薬の使用が検討されます。
ただし、睡眠薬を使用する場合は、転倒やふらつきなどの副作用が生じる可能性があり、自動車の運転などの事故につながる行動を控える必要があります。
詳しくは以下のリンクをご参照ください。

その他の薬

高血圧や糖尿病に対する薬など

高血圧糖尿病などの生活習慣病も夜間頻尿の間接的な原因であるため、それらの治療薬で結果的に夜間頻尿を改善できる可能性があります。逆に、尿量を増やす利尿薬や喉の渇き(口渇)の副作用がある薬は夜間頻尿を悪化させることがあるため、そのよう薬を飲んでいる場合は、休薬や減薬などでうまく調節することも重要です。

公開日

最終更新日

東京大学大学院医学系研究科 泌尿器外科学 泌尿器科

秋元 隆宏 監修

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(参考文献)

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