自分の食生活を見直すための「行動療法」とは、具体的に何をするのですか?

食事内容や状況、感情を記録し「自分の食べ方の癖」を知ることから始めます。具体的な目標設定や環境整備で食習慣を改善する心理療法です。

食生活を見直すための「行動療法」とは、単に「何を食べるか」という栄養学的なアプローチだけでなく、「なぜ、いつ、どこで、どのように食べてしまうのか」という食事にまつわる行動や思考の癖に焦点を当て、それを修正していく心理学的なアプローチです。根性論ではなく、具体的な技術を使って健康的な食習慣を身につけていくのが特徴です。

具体的には、以下のステップを段階的に行います。

自己観察(セルフモニタリング)

まず、食事日記をつけます。「いつ、どこで、何を、どれくらい食べたか」だけでなく、「その時誰といたか」「どんな気分だったか(イライラ、退屈など)」も記録します。これにより、自分が無意識のうちに食べてしまう状況や感情のパターン(例:「仕事でストレスがたまると、帰宅途中にコンビニで甘いものを買ってしまう」など)を客観的に把握します。これが最も重要な第一歩です。

目標設定

「体重を10kg減らす」といった漠然とした目標ではなく、「夕食後のアイスをやめる」「食事は野菜から食べる」といった、具体的で達成可能な小さな目標(スモールステップ)を設定します。

環境整備(刺激統制)

過食の引き金となる環境を変えます。例えば、「お菓子を家に置かない」「テレビを見ながら食事をしない」「食事は必ず食卓でとる」といったルールを作り、無意識に食べてしまう機会を減らします。

行動の置き換え

「ストレスを感じたら食べる」という行動パターンを、「ストレスを感じたら散歩に行く」「音楽を聴く」など、食事以外の行動に置き換える練習をします。

これらの技術を使い、医師や管理栄養士、臨床心理士などの専門家と相談しながら、自分に合った方法で少しずつ食行動を修正していくのが行動療法です。

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福岡ハートネット病院、井林眼科・内科クリニック 糖尿病・内分泌科 福岡ハートネット病院 糖尿病内科部長

井林 雄太 監修

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