胃酸が逆流して胸やけがする症状も、「肥満症」と関連がありますか?

はい、深く関連します。肥満、特に内臓脂肪が増えると胃が圧迫され、胃酸が食道へ逆流しやすくなり、胸やけの主な原因となります。

はい、胃酸が逆流して胸やけがする症状、すなわち「胃食道逆流症(GERD)」は、「肥満症」と非常に深い関連があります。肥満は、胃食道逆流症を発症させる最も大きなリスク因子のひとつです。

その理由は、主に物理的な圧迫にあります。

腹圧の上昇

肥満、特に内臓脂肪が増えてお腹がぽっこりと出た状態になると、腹腔内の圧力(腹圧)が高まります。この高まった腹圧が胃を外側から常に圧迫するため、胃の中身である胃酸が食道のほうへ押し上げられやすくなります。

逆流防止機能の低下

食道と胃のつなぎ目には、胃酸の逆流を防ぐための「下部食道括約筋」という筋肉の弁があります。肥満によって腹圧が上がると、この弁がゆるみやすくなり、逆流防止機能がうまく働かなくなります。また、腹部の脂肪が食道と胃の位置関係を変化させ(食道裂孔ヘルニア)、逆流をさらに起こしやすくすることもあります。

このように、肥満は胃酸が食道へ逆流しやすい状況を物理的に作り出してしまうため、胸やけや呑酸(酸っぱいものが上がってくる感じ)といった症状の直接的な原因となるのです。

幸いなことに、この関係は可逆的です。研究では、減量によって腹圧が低下し、胃食道逆流症の症状が劇的に改善することが多く報告されています。胸やけに悩む肥満症の方にとって、減量は最も効果的な治療法のひとつと言えます。

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福岡ハートネット病院、井林眼科・内科クリニック 糖尿病・内分泌科 福岡ハートネット病院 糖尿病内科部長

井林 雄太 監修

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