単純性肥満
監修医師阿部 吉倫内科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03
肥満(単純性肥満)とは
食べ過ぎや運動不足により、体重が増えてしまっている状態です。
「肥満(単純性肥満)」とはどのような病気ですか?
体内に蓄積された脂肪が過剰になった状態を指します。
肥満(単純性肥満)とは、体内に蓄積された脂肪が過剰になった状態を指します。
主に食事から摂取するエネルギーが、運動などで消費するエネルギーを上回ることで起こります。
つまり、食べ過ぎや運動不足といった生活習慣が主な原因となって発症する肥満です。
病気やホルモンの異常などが原因で起こる肥満(症候性肥満)とは区別されます。
健康診断などでBMI(体格指数)が25kg/m²以上の場合、肥満と判定されます。
肥満は、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病のリスクを高めるため、注意が必要です。
肥満(単純性肥満)の症状
自分では気づきにくい肥満(単純性肥満)のサインはありますか?
体重が変わらなくても、ベルトがきつい、いびきや昼間の眠気、疲れやすさなどの変化が重要なサインです。
肥満のサインは「体重計の数字」だけではありません。体重が急に増えなくても、体内の脂肪が増えることで、日常生活にさまざまな「隠れたサイン」が現れます。
まず【見た目や衣服】の変化です。「体重は同じなのにズボンのウエストがきつくなった」「ベルトの穴が外側にずれた」という場合は、内臓脂肪が増えている強力なサインです。毎日鏡で見ていると気づきにくいですが、数年前の写真と比べて顔や首回りがふっくらしているのも皮下脂肪増加の証拠です。
次に【体調】の変化です。「階段で息が上がる」「疲れやすい」といった症状は年のせいにされがちですが、心肺への負担が増えているサインかもしれません。また、「いびきが大きくなった」「昼間に強い眠気がある」場合は、首回りの脂肪による睡眠時無呼吸症候群が疑われます。ほかにも、胃酸が逆流する(胸やけ)、膝や足裏が痛む、首や脇の下の皮膚が黒ずむといった症状も肥満が原因で起こります。
さらに【健康診断の数値】も重要です。体重に変化がなくても、血圧、血糖値、中性脂肪、肝機能(脂肪肝)が悪化し始めたら、見えない脂肪が体に悪影響を及ぼしている証拠です。体重だけでなく、腹囲(お腹回り)を測ったり、昔の服を着てみたりすることで、ご自身の体の変化に早く気づくことができます。
肥満(単純性肥満)には初期症状はありますか?
肥満(単純性肥満)には、これといった明確な初期症状がない場合が多いです。
肥満(単純性肥満)には、これといった明確な初期症状がない場合が多いです。
しかし、徐々に体重が増加し、以前着ていた服がきつくなったり、体が重く感じて動くのが億劫になったりすることがあります。
また、健康診断などで、BMI(体格指数)が25kg/m²以上と判定されたり、血圧、血糖値、コレステロール値などが基準値を超え始めたりすることもあります。
これらの変化は、肥満が進行しているサインである可能性があります。日常生活の中で、体重の変化や体調の変化に気を配ることが大切です。
肥満(単純性肥満)ではどのような症状がありますか?
関節痛やいびき、息切れなどの呼吸器系の症状が出ることがあります。
最初のうちは症状が出にくいですが、徐々に進行すると、見た目に体型がふっくらしてくるだけでなく、さまざまな健康上の問題を引き起こす可能性があります。
例えば、膝や腰への負担が増え、関節痛を起こしやすくなります。また、いびきをかきやすくなったり、睡眠時無呼吸症候群(睡眠中に呼吸が止まる病気)を発症したりすることもあります。
さらに、肥満は、糖尿病、高血圧、脂質異常症(血液中のコレステロールや中性脂肪が高くなる病気)、心臓病、脳卒中などの生活習慣病のリスクを高めます。
これらの病気は、自覚症状がないまま進行することが多いため、注意が必要です。
肥満(単純性肥満)の原因
肥満(単純性肥満)の原因は何がありますか?
摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスの崩れが原因です。

肥満(単純性肥満)の主な原因は、摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスの崩れです。
具体的には、
- 高カロリーな食事(脂っこいもの、甘いもの、ファストフードなど)の過剰摂取
- 清涼飲料水やアルコールの飲みすぎ
- 運動不足
- 不規則な食生活
- 睡眠不足
などが挙げられます。
また、加齢による基礎代謝の低下も、肥満になりやすい要因のひとつです。
基礎代謝とは、安静時でも生命維持のために消費されるエネルギーのことで、年齢とともに低下する傾向があります。
これらの要因が複合的に絡み合い、肥満(単純性肥満)を引き起こします。
肥満(単純性肥満)の検査・診断
肥満(単純性肥満)のセルフチェックだけでは判断できないことはありますか?
太った原因が病気や薬でないか、脂肪のつき方、無症状で進む合併症の有無は判断できません。
体重や腹囲を測るセルフチェックは、現状を把握するための大切な第一歩ですが、肥満に関して医学的に非常に重要な判断を、自分で行うことには限界があります。
まず、太った原因が単なる食べ過ぎ(単純性肥満)なのか、あるいは甲状腺の病気やホルモン異常、服用している薬の副作用によるものなのかを特定することは、自分だけでは困難です。これらは血液検査などを行わなければ、単なる生活習慣のせいだと勘違いして見落としてしまう恐れがあります。
また、BMIが標準範囲内であっても、筋肉が少なく内臓脂肪が多いタイプなのか、逆に筋肉量が多いタイプなのかなど、家庭での測定では正確に評価できません。さらに、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった合併症は、かなり進行するまで自覚症状がないことが多く、本人が体調に問題ないと感じていても、体内では着々と病気が進んでいることがあります。
同じ体重であっても、年齢や持病の有無によって、将来の心筋梗塞や脳卒中を招くリスクの高さは大きく異なります。もし、急激に体重が増えたり、いびきや日中の強い眠気を感じたりするなどの異変がある場合は、数字の管理だけで済ませるべきではありません。一度医療機関で精密な評価を受けることが、将来の健康を守る確実な一歩となります。
肥満(単純性肥満)のセルフチェックはできますか?
解説欄をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。

肥満(単純性肥満)のセルフチェックとして、最も簡単な方法はBMIを計算することです。BMIは、体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で計算できます。
例えば、体重60kg、身長160cm(1.6m)の場合、BMIは60÷1.6÷1.6=約23.4kg/m²となります。
BMIが18.5kg/m²未満は「低体重」、18.5kg/m²以上25kg/m²未満は「普通体重」、25kg/m²以上は「肥満」と判定されます。
また、ウエスト周囲径を測ることも、内臓脂肪の蓄積具合を知る目安となります。
男性85cm以上、女性90cm以上は内臓脂肪が多くなっている疑いがあります。
症状検索エンジン「ユビー」で質問に沿って回答を進めるだけで、肥満(単純性肥満)かどうかのセルフチェックができます。ぜひご活用ください。
単純性肥満と、病気が原因の肥満を自分で見分けることはできますか?
確実な自己診断は困難ですが、急激な体重増加や特有の体調不良など「病気を疑うサイン」には気づけます。
肥満には、食べ過ぎや運動不足が原因の「単純性肥満」と、ホルモンの異常やお薬の副作用などが原因で起こる「二次性肥満(病気が原因の肥満)」があります。自分で確実に見分けることはできませんが、以下のような「病気を疑うサイン」がある場合は注意が必要です。
- スピードが不自然:生活を変えていないのに、数ヶ月で急激に体重が増えた。
- 脂肪のつき方が不自然:お腹や顔周りばかり太るのに、手足は細くなり筋力が落ちた(あざができやすい、お腹に赤紫の線がある等を含む)。
- 代謝の低下サイン:強いむくみ、極端な寒がり、便秘、強いだるさがある。
- 女性特有のサイン:体重増加に伴い、月経不順や毛深さ、ニキビが目立つようになった。
- お薬の影響:ステロイドや一部の精神安定剤などを飲み始めてから太り出した。
単純性肥満であれば年単位で徐々に体重が増えますが、上記のようなサインがある場合は、背景にクッシング症候群や甲状腺の病気などが隠れている可能性があります。原因となる病気の治療を優先する必要があるため、ダイエットを始める前に、まずは内科や内分泌代謝の専門医へご相談ください。
肥満(単純性肥満)の治療・対処法
単純性肥満への対処法は?
様々な生活習慣病のリスクとなるので、可能な限り適切な食事と運動を心がけましょう。まれにホルモンバランスの異常といった他の病気が原因で肥満になっていることがあり、健康診断などで医療機関を受診するよう指示された場合は、その指示に従ってください。
肥満(単純性肥満)の場合、主にどのような治療をしますか?
肥満(単純性肥満)の治療は、食事療法と運動療法が基本となります。

肥満(単純性肥満)の治療は、食事療法と運動療法が基本となります。
食事療法では、摂取カロリーを減らし、栄養バランスの取れた食事を心がけます。
具体的には、野菜や海藻、きのこ類を積極的に摂り、脂っこいものや甘いものを控えるようにします。
また、よく噛んでゆっくり食べることで、満腹感を得やすくし、食べすぎを防ぎます。
運動療法では、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を中心に、無理のない範囲で継続することが大切です。
これらの生活習慣の改善を基本とし、必要に応じて医師の指導のもと、薬物療法などが行われることもあります。
受診の目安・何科を受診するべきか
肥満(単純性肥満)が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?
肥満(単純性肥満)が疑われる場合は、まずは内科を受診するのが一般的です。
肥満(単純性肥満)が疑われる場合は、まずは内科を受診するのが一般的です。
血液検査などを行い、本当に甲状腺機能低下症など、肥満の原因となる病気が隠れていないか、そして糖尿病、高血圧、脂質異常など、肥満に伴う病気がないかを総合的に確認します。
必要に応じて、より専門的な検査や治療を行うために、内分泌内科や循環器内科、消化器内科など、他の診療科を紹介されることもあります。
肥満外来を設けている病院もありますので、事前に調べてみるのもよいでしょう。
肥満(単純性肥満)が疑われる場合、病院を受診する目安はありますか?
BMIが25kg/m²以上の場合や、血圧、血糖値、などが基準値を超えている場合は、医療機関を受診してください。

肥満(単純性肥満)が疑われ、健康診断などでBMIが25kg/m²以上と判定された場合や、血圧、血糖値、コレステロール値などが基準値を超えている場合は、一度医療機関を受診することをおすすめします。
また、急激な体重増加があったり、以前着ていた服がきつくなったり、体が重く感じて動くのが億劫になったりする場合も受診の目安となります。
特に、いびきをかくようになったり、日中に強い眠気を感じるようになったりする場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性もあるため、早めの受診が大切です。
単純性肥満の専門医がいる近くの病院はありますか?
単純性肥満の専門医がいる病院を見る肥満(単純性肥満)の薬
肥満(単純性肥満)は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?
主に食欲を抑える薬や、脂肪の吸収を抑える薬などがあります。
肥満(単純性肥満)の治療で用いられる薬は、主に食欲を抑える薬や、脂肪の吸収を抑える薬などがあります。
ただし、これらの薬は、あくまでも食事・運動・行動療法を行っても有効な減量が得られない、あるいは合併症の改善がない場合などで使用が考慮されるものであり、医師の指導のもとで使用することが重要です。
また、食欲を抑える薬には、吐き気、便秘、頭痛、口渇などの副作用が出ることがあります。脂肪の吸収を抑える薬には、下痢、腹痛などの副作用が出ることがあります。
さらに、これらの薬は、食事療法や運動療法と併用することで効果を発揮するものであり、薬だけで体重が減るわけではありません。
肥満(単純性肥満)の予防
小児の肥満を予防するための対策はありますか?
ジュースやおやつなどの甘いものや、ファストフードを摂取しないようにしたりするなどの対策があります。
小児の肥満の予防には、健康的な生活習慣を幼いころから身につけることが大切です。
まず、食事は野菜や果物、全粒穀物などを中心にバランスよく摂り、甘い飲み物やお菓子、ファストフードは控えめにしましょう。
次に、毎日体を動かす習慣をつけることも重要です。外遊びや運動、お手伝いなど、楽しく体を動かす機会を増やしましょう。
そして、テレビやゲームの時間を減らし、十分な睡眠をとることも重要です。
家族みんなで健康的な生活を心がけ、お子さんをサポートすることが大切です。
対処法・セルフケア
肥満(単純性肥満)で薬が効かない場合、どうしたらよいですか?
まずは医師に相談し、薬の種類や量を変更したり、他の薬を試したりすることがあります。
肥満(単純性肥満)の治療で薬が効かない場合は、まずは医師に相談し、薬の種類や量を変更したり、他の薬を試したりすることがあります。
また、その他にも薬の効果が十分に発揮されていない場合、食事療法や運動療法が適切に行われていない可能性も考えられるため、再度食事内容や運動量を見直し、生活習慣の改善を徹底することが重要です。
それでも効果がみられない場合は、外科手術(胃の一部を小さくする手術など)が検討されることもあります。
肥満(単純性肥満)の場合、日常生活で気をつけることはありますか?
健康的な食事を摂取したり、定期的な運動に取り組むなど、規則正しい生活を心懸けてください。
生活習慣の改善を中心に対策を行うことで、多くの場合、改善が見込めます。
食事療法では、1日の摂取カロリーを適切にコントロールし、バランスの取れた食事を心がけることが重要です。
炭水化物、タンパク質、脂質のバランスを考慮し、野菜や果物を積極的に摂るようにしてください。
運動療法としては、有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせるとよいでしょう。ウォーキング、ジョギング、水泳などの有酸素運動を週に数回、30分以上行うことが推奨されます。
また、筋力トレーニングによって筋肉量を増やすことは、基礎代謝を高め、太りにくい体質を作るうえで重要です。
肥満(単純性肥満)に関連するその他の質問
リンゴ型・洋ナシ型などの体型タイプは、肥満(単純性肥満)の判断に関係しますか?
肥満かどうかの判定はBMIで行いますが、体型は「病気になりやすいか(健康リスク)」に強く関係します。
リンゴ型(お腹ぽっこり)や洋ナシ型(下半身ふっくら)といった体型の違いは、肥満かどうかを「診断」する基準というより、「健康への危険度」を判断するうえで非常に重要なサインとなります。
そもそも肥満かどうかは、身長と体重から計算するBMI(日本では25kg/m²以上)を基準に判定します。しかし、同じBMI「25kg/m²」の人でも、どこに脂肪がついているかで病気のリスクは大きく異なります。
お腹回りに脂肪がつく「リンゴ型」は、内臓脂肪が蓄積している状態です。このタイプは、高血圧、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病(メタボリックシンドローム)や、心筋梗塞などのリスクを高めるため、注意が必要です。一方、お尻や太ももに皮下脂肪がつく「洋ナシ型」は、リンゴ型に比べると、内臓系の病気リスクは相対的に低いとされています。
単純な体重計の数字だけでなく、健康診断で腹囲(お腹回り)を測るのは、この危険な「リンゴ型」になっていないかを確認するためです。体重だけでなく体型(脂肪のつき方)にも意識を向けることが、正しい健康管理の第一歩となります。
小学生など、子どもの肥満度はどうやって計算しますか?
「肥満度(%)= 100 × (現在の体重‐標準体重)/標準体重」で計算できます。
BMIは大人を対象に使用される肥満の指標であり、小学生などの6~18歳の学童の肥満の判定には肥満度が用いられています。
「小児肥満症診療ガイドライン2017」では、「肥満度が+20%以上、かつ体脂肪率が有意に増加した状態(有意な体脂肪率増加とは、男児:年齢を問わず25%以上、女児:11歳未満は30%以上、11歳以上は35%以上)」を肥満と定義しています。
肥満度は以下の計算で求められます。
- 肥満度(%)= 100 ×(現在の体重ー標準体重)/標準体重
体脂肪率を使って肥満(単純性肥満)かどうか自分で確認できますか?
体脂肪率は補助指標です。BMI(25kg/m²以上)と腹囲を基本とし、急な体重増加や体調変化がないか確認を。
体脂肪率は「体の中にどれくらい脂肪があるか」を知る目安にはなりますが、それだけで「単純性肥満」と判定することはできません。まず、知っておきたいのは、日本ではBMI(体格指数)25kg/m²以上を「肥満」と定義している点です。
肥満の中でも「単純性」とは、食べ過ぎや運動不足など生活習慣が原因の肥満を指します。一方、ホルモン異常(副腎や甲状腺の病気)、お薬の副作用などが原因で太る「二次性肥満」もあり、これらは血液検査などを行わない限り、体組成計の数値だけで見分けることはできません。
自宅では、BMIで全体の枠組みを、腹囲で内臓脂肪のリスクを、体脂肪率は日々の「推移」を見るための補助として組み合わせるのが現実的です。
もし、生活を変えていないのに急激に体重が増えたり、強いむくみ、筋力の低下、月経異常などのサインがある場合は、単なる食べ過ぎと考えず、医療機関での評価を優先してください。
肥満(単純性肥満)について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「単純性肥満」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 一番最近の血液検査で、肝臓の異常を指摘されましたか?
- お腹だけでなく、全体的に太っていると感じていますか?
- 最近、摂取しているカロリーの方が消費しているカロリーより多いと感じていますか?
肥満(単純性肥満)に関連する病気・症状
この記事の監修医師
阿部 吉倫
内科
2015年東京大学医学部医学科卒。東京大学医学部付属病院、東京都健康長寿医療センターで初期研修を修了。血便を放置し48歳で亡くなった患者との出会いをきっかけにデータサイエンスの世界へ。2017年5月にUbie株式会社を共同創業。2019年12月より日本救急医学会救急AI研究活性化特別委員会委員。2020年 Forbes 30 Under 30 Asia Healthcare & Science部門選出。
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03