NASHに初期症状はある?NASH
監修医師吉岡 藍子消化器内科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03
NASHとは
NAFLDとは何ですか?
NAFLDとは、「非アルコール性脂肪性肝疾患」と言い、アルコール以外のさまざまな原因で発症する脂肪肝の総称です。
「NAFLD」とは、非アルコール性脂肪性肝疾患(Non-alcholic fatty liver disease)の略称です。アルコール以外の原因により生じる脂肪肝の総称で、大きく2つに分けられます。
単純性脂肪肝(NAFL)
いわゆる「脂肪肝」です。肝臓に脂肪が蓄積しているものの、肝臓の炎症(肝炎)や線維化(細胞・組織が線維組織に変わり硬くなってしまうこと)(肝硬変)を起こすことはまれです。
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)
脂肪の蓄積に加えて、進行性で、炎症がみられ肝機能障害が生じています。肝硬変や肝がんへ進行するリスクがあります。
いずれも症状は乏しく、見分けることは困難です。どちらかを正確に診断するためには肝臓の組織を一部とって(肝生検(患部の一部を切り取って観察する組織検査))、病理検査を行う必要があります。
NAFLDの原因は、完全には解明されていません。肥満、2型糖尿病、高脂血症、高血圧などのメタボリックシンドロームに関連する要因が大きく関与していると考えられています。
「NASH」とはどのような病気ですか?
脂肪肝のうち、アルコール以外が原因で徐々に病気が進行する病気を指し、肝硬変や肝がんのリスクがあります。
肝臓に脂肪がたまる状態を脂肪肝といい、さらに炎症や肝臓の細胞に損傷が起こる状態を脂肪肝炎といいます。NASH(Non-Alcoholic SteatoHepatitis:非アルコール性脂肪肝炎)とはアルコールによらない脂肪肝炎のことで、薬や肝炎ウイルスなどによる肝炎も除外されます。
肥満や脂質異常症(高脂血症)、糖尿病などの発症にかかわるメタボリックシンドロームが関連していると言われています。
症状はないことが多いですが、疲れやすさや不眠をきたす場合もあります。
進行すると肝硬変、もしくは肝がんを発症することもあるので、早期の発見と適切な治療が必要になります。
NASHの症状
NASHには初期症状はありますか?
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれており、自覚症状に乏しいことがほとんどです。
肝臓は、炎症やがんがあっても自覚症状の出にくい臓器のため、NASHでも特徴的な初期症状はほぼみられません。
疲れやすさや不眠などが見られることもありますが、症状に気付いたときには、すでにかなり進行してしまっているおそれがあります。
NASHの発症・進行リスクと考えられる肥満や2 型糖尿病のある方は、医師により、定期的な血液検査で肝臓の変化も合わせて確認してもらうとよいでしょう。
具体的には、肝臓に炎症がないかの確認や、血液検査(AST、ALT、血小板数)と年齢で計算できるFIB-4 indexというリスク肝臓の線維化(細胞・組織が線維組織に変わり硬くなってしまうこと)の程度を表す指標を知ることで、肝硬変のリスクがあるかなどの情報が得られます。手法があります。また、必要に応じて腹部超音波検査を行なって肝臓の状態を確認します。
NASHの原因
NASHの原因や考えられる症状には何がありますか?
原因はまだ明らかではありませんが、遺伝や肥満、2型糖尿病などが要因として挙げられます。特徴的な症状はありません。
NASHとは、アルコール以外の原因による進行性の脂肪肝炎を指します。
NASHの原因
原因はまだ明らかではありませんが、次のような要因が考えられています。
遺伝的要因
いくつかの遺伝子(PNPLA3、GCKR、GATAD2Aなど)が、NASHの発症・進行に関連することが報告されています。
肥満
現在、NASHの発症・進行の最も大きな要因と考えられています。
脂質の過剰摂取
肉や魚の脂身や乳製品など飽和脂肪酸やコレステロールを多く含む食品をたくさん摂取することが発症や進展に関連するといわれています。
2型糖尿病
NASHの発症・進行と強く関連すると考えられています。
その他
インスリン抵抗性の悪化、メタボリックシンドローム、脂質異常症、高血圧症なども、関連があると考えられています。
上記のほかにもさまざまな要因が関連すると言われています。さらに、ひとつの原因だけでなく、いくつかの要因が絡み合って発症あるいは進行すると考えられています。
NASHの症状
NASHでは特徴的な症状があまりありませんが、疲れやすさや不眠などが見られることがあります。
また、肝硬変や肝がんへ進行した場合、それらの症状として食欲不振、黄疸、腹水、かゆみ、お腹が膨らむ感じなどが現れることがあります。
NASHの検査・診断
NASHのセルフチェックはできますか?
解答欄のチェック項目や症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるとNASHが疑わしいかの手掛かりになります。
NASHは初期段階では自覚症状がほとんどないため、自宅でのセルフチェックは困難です。
ただし、NASHの発症・進行に関連する因子のある方は、関連する症状に注意を払うことで、NASHの可能性に気づくことができるかもしれません。
NASHの発症・進行に関連する因子
など
NASHの発症・進行に関連する症状
など
NASHと診断された場合、食べてはいけないものはありますか?
食べてはいけないものはありませんが、カロリー、炭水化物や脂肪は控えます。
食べてはいけないものはありませんが、カロリーの制限がNASHを改善させることが報告されています。特に肥満を伴うNASHでは、治療の一環として低カロリー食が用いられます。
カロリーを制限する際には、脂質もしくは炭水化物を控えめにすることが推奨されています。
脂質を控えめにする
- 動物油(ラード、バター、牛脂など)
- 肉類(牛・豚・鳥の脂身など)
- ナッツ類(マカデミアナッツ、ピスタチオ、アーモンドなど)
など
炭水化物を控えめにする
- 穀類(お米、パン、シリアル、うどん、パスタなど)
- 砂糖類(砂糖、和三盆、はちみつなど)
- いも・でんぷん類(タピオカ、はるさめ、じゃがいも、とうもろこしなど)
など
なお、栄養の観点からは、特定の栄養を完全に断つといった極端な制限は、かえって身体に負担をかけるため、バランスよく摂取することが大切です。
NASHの治療・対処法
NASHの場合、主にどのような治療をしますか?
食事の見直しや運動による生活習慣の改善を行い、体重の7%を目標とした減量を行います。効果が見られなければ薬物治療を行うこともあります。
NASHの肝脂肪や肝臓の線維化(細胞・組織が線維組織に変わり硬くなってしまうこと)を改善するうえで、食事療法と運動療法による体重減少が有用です。
5%の体重減少でQOLが改善し、7%以上の体重減少によりNASHの肝脂肪化や炎症の進行などが軽減し、10%以上の減量で肝線維化も改善することが報告されています。
肥満の有無や元々の体重によって減量する量も調整します。
食事療法による減量
低カロリー食による治療を行います。治療前と比べてカロリーを30%減を目安として、脂質の量や炭水化物の量も制限します。
運動療法による減量
有酸素運動(ウォーキング、ジョギングなど)やレジスタンス運動(スクワット、腕立て伏せ、ダンベル体操など)が効果的です。
なお、薬物療法については継続して研究・開発中ですが、現時点(2024年1月)ではまだ有効な治療薬はありません。
抗酸化作用のあるビタミンEがNASHの改善をきたすという報告もありますが、日本ではNASHの治療に対する保険適用がありません。
2型糖尿病、脂質異常症、高血圧を合併している場合、それぞれの薬の一部が肝機能の改善にも影響すると言われており、両方の効果を狙って、それらの薬を積極的に選択する場合があります。
ただし、NASHのみの治療薬としては承認されていません。
受診の目安・何科を受診するべきか
NASHが疑われる場合、何科を受診したらよいですか?また、病院を受診する目安はありますか?
消化器内科を受診しましょう。健康診断などでALT値が30を超えた場合が、受診の目安となります。
NASHが疑われる場合、消化器内科の受診をお勧めします。
特徴的な症状はあまりありませんが、疲れやすさや不眠などが見られることがあります。
また、健康診断等でALT値が30を超えていた場合も受診の目安となります。特に、肥満や2型糖尿病はNASHの発症リスクのひとつですので、早めに受診してご相談ください。
NASHの専門医がいる近くの病院はありますか?
NASHの専門医がいる病院を見るNASHに関連するその他の質問
NASHの改善におすすめの食事はありますか?
低カロリーを意識し、脂質の中でも不飽和脂肪酸の摂取を心掛けましょう。また、ビタミンEやコーヒーも脂肪肝の改善に効果的です。
NASHの治療において、食事療法や運動療法による体重減少が、肝脂肪や肝臓の線維化(細胞・組織が線維組織に変わり硬くなってしまうこと)を改善することが知られています。
食事療法としてはカロリーの制限が重要です。治療前と比べて、カロリーを30%減らした食事とすることで、体重や内臓脂肪、肝脂肪を減少させることが報告されています。
脂質や炭水化物を減らした低カロリー食がおすすめです。
不飽和脂肪酸は、LDLコレステロールや血圧を下げる作用があると言われています。含まれている主な食品は、まぐろ、さんま、いわし、さばなどの魚、アマニ油、大豆油、オリーブ脂などの植物油、ナッツやアーモンドなどが挙げられます。
ビタミンEは、ひまわり油やオリーブ脂、アーモンド、卵、大豆、アボカド、カボチャ、うなぎなどに多く含まれます。
NASHに関連する病気・症状
この記事の監修医師
吉岡 藍子
消化器内科・内科
消化器内科医の吉岡藍子と申します。 これまで大学病院や市中病院、健診センターでの内視鏡業務などを通して、消化器領域を幅広く経験してまいりました。 診療の現場では、専門的な用語や複雑な病状の説明に、患者様が戸惑いや不安を感じる場面に何度も出会いました。医療機関で提供される膨大な情報を前に、混乱されてしまう方も少なくありません。そこで、ご自身の病気や体、そして健康について、一人でも多くの方が正しく理解できる環境を作りたいという想いから、ユビーの活動に参加させていただいております。皆様が正しい医学知識に普段から触れ、安心してご自身の健康と向き合えるよう、分かりやすい情報提供に努めてまいります。 【経歴】 新潟大学医学部卒。 新潟県内外の市中病院、大学病院で勤務。 新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器内科学分野にて博士取得。 2022年からユビーに入社し、横浜市で健診内視鏡診療を兼務。
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03