マントル細胞リンパ腫になった場合、余命はどのくらいですか?
病期やリスク分類で差が大きく、新薬登場により近年は生存率が改善しています。
マントル細胞リンパ腫(MCL)の余命は、病期(がんの広がり)やリスク分類、年齢、遺伝子の状態などによって大きく異なりますが、MCL全体でみると、5年生存率はおおよそ50〜60%台が目安とされます。これはあくまで平均値であり、病期やリスク分類、遺伝子の状態によって、個々の患者さんの見通しは大きく異なります。以下、詳しい内訳を解説します。
代表的な予後予測の方法であるMIPI(年齢・体の状態・血液検査値・白血球数から算出するスコア)では、リスクを低・中間・高の3群に分けます。この分類ごとの生存期間は、低リスクで5年生存率約60%、中間リスクで生存期間中央値約51ヶ月、高リスクで約29ヶ月と報告されています(Vose JM, Am J Hematol 2013)。
限局期(がんが体の一部にとどまる段階)では、化学療法のみで推定5年生存率が約80%、放射線治療と化学療法を組み合わせた場合は3年生存率が約80%と報告されており、進行期より予後がよい傾向があります(造血器腫瘍診療ガイドライン第3.1版 (2024年版),)。
近年はBTK阻害薬(がん細胞の増殖に関わる酵素の働きを抑える薬)を化学療法に追加する治療法が登場し、成績が向上しています。欧州のTRIANGLE試験では、イブルチニブを併用した群の3年生存率が約91〜92%に達し、従来の治療法(86%)を上回りました(Tix T et al, ASCO Educational Book 2026)。一方、実際の医療現場のデータでは全体の5年生存率は約58%とされ、TP53遺伝子変異やblastoid(芽球様)という悪性度の高い特徴を持つ場合は、生存率がより低くなることもわかっています(Wang Y et al, Blood Cancer Journal 2026)。
このように、MCLの余命は一律ではなく、リスク分類と治療法の進歩によって大きく変わる点を理解しておくことが重要です。
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(参考文献)
Vose JM. Mantle cell lymphoma: 2013 Update on diagnosis, risk-stratification,and clinical management. Am J Hematol. 88(12):1082-8, 2013.
造血器腫瘍診療ガイドライン第3.1版(2024年版), 第Ⅱ章 リンパ腫, 4. マントル細胞リンパ腫https://www.jshem.or.jp/gui-hemali/2_4.html.(参照 2026-09-04).
Tix T, Kumar A, Eyre TA, Dreyling M. Modern Management of Mantle Cell Lymphoma. Am Soc Clin Oncol Educ Book. 46(3):e517468, 2026.
Wang Y, et al. Mantle cell lymphoma outcomes following sequential first-line bendamustine-rituximab and second-line Bruton's tyrosine kinase inhibitor therapy. Blood Cancer J. 16(1):93, 2026.
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東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター 悪性腫瘍治療研究部 腫瘍 血液内科
村橋 睦了 監修
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