肺動脈性肺高血圧症

心臓から肺に血液を送る血管である肺動脈の圧力（血圧）が、何らかの原因で異常に上昇する病気です。

心臓の疾患、遺伝、薬、膠原病などの疾患が関連する場合や、原因が不明（特発性）の場合もあります。

非常に稀な疾患で、有病率は100万人に1〜2人から15人程度とされています。

病気の進行に伴って息苦しさ等の症状が悪化し、最終的には命に関わります。

完治することはありませんが、適切な治療を継続することで症状の改善などが可能です。

無治療の場合は2.4年ほどとされますが、近年では治療法の進歩により改善傾向にあります。

心臓から肺に血液を送るための血管を「肺動脈」といいます。

肺動脈性肺高血圧症は、「難治性呼吸器疾患」として難病指定されています。

心拍数が高い状態が持続すると心臓に過度な負担がかかり、右心不全のリスクが高まります。

肺動脈性肺高血圧症で肺に血液がたまることは一般的ではありませんが、まれに喀血をきたすことはあります。

「日本肺高血圧・肺循環学会」のホームページから、肺動脈性肺高血圧症の診療施設を調べることができます。

身体を動かした時などの息苦しさや疲れやすさが主な症状です。失神、血痰、咳、声のかすれ等の症状が出ることもあります。

体を動かした時の息切れの他、疲れやすさ、胸痛、失神、動悸、咳、血痰・喀血（血を吐く）などの症状が出現することがあります。

似たような息切れを生じる疾患としては、心不全などの心疾患、喘息やCOPD等の肺疾患があります。

肺動脈性肺高血圧症の終末期症状には、安静時や運動時の呼吸困難、倦怠感、疲れやすさなどがあります。

息苦しさや疲れやすさがひどくなっているなど、気になる症状があれば医療機関を受診しましょう。

循環器科や呼吸器内科を受診してください。かかりつけのクリニック等があれば、そちらで相談してみましょう。

血液検査、レントゲン、心電図、超音波検査、肺の機能を評価する検査、カテーテル検査など、多くの検査を行う必要があります。

投薬治療（内服、吸入、点滴）が中心です。病状によっては在宅酸素療法を行うほか、肺移植を検討することもあります。

インフルエンザ等の感染症にかかると症状が悪化するおそれがあるので、ワクチン等で予防しましょう。運動の実施については医師と相談しましょう。

カテーテル検査のために入院する場合や、病状が悪化した際に治療のために入院する場合があります。

国の指定難病として支援を受けられることがあります。

カテーテル検査で肺高血圧を認め、かつ他の肺高血圧を引き起こすような病気を除外することで診断できます。

肺の血管を広げる薬を主に用いますが、症状に応じてその他にもいくつかの薬を併用します。薬によっては副作用もあります。

他の種類の薬の使用や、複数の薬の併用を検討します。病状によっては在宅酸素療法のほか、肺移植を検討することもあります。