うつ

監修医師阿部 吉倫内科

更新日
2026/05/20
公開日
2020/06/30

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概要

うつとは、持続的な気分の落ち込み・興味や喜びの喪失・意欲低下がみられる状態です。うつ病では2週間以上にわたり抑うつ気分が続き睡眠障害や食欲変化を伴い、双極性障害ではうつ状態と躁状態が交替します。適応障害でもストレス因に対して抑うつ症状が出ます。日常生活に支障がある場合は、心療内科や精神科での相談を検討してください。

抑うつとは

「抑うつ」とはどのような症状ですか?

気持ちが落ち込んでしまい、何もする気が起きずに日常生活に支障をきたしてしまう症状です。

「抑うつ」は、下記のような症状が続いている状態を指します。

  • 気分が落ち込む
  • 気が滅入る
  • やる気が出ない
  • 悲しく虚ろな気分になる
  • 感情が不安定になる
  • 怒りっぽさが出る
  • 集中力が下がる
  • 自分を責めてしまう
  • 「死にたい」と思う

上記の症状は、うつ病の方にも当てはまる症状ではありますが、うつ病ではない方でも抑うつ状態になることがあります。

さらに詳しく:「抑うつ」とはどのような症状ですか?監修医師日下 慶子精神科・心療内科
もっと詳しく「抑うつ」を知る

抑うつの原因

抑うつの原因として、どのような病気が考えられますか?

うつ病などの精神的な病気が原因となることが多いです。

「抑うつ」症状をきたす原因としては、下記のような精神的な病気が知られています。

重篤気分変調症

怒りっぽさが持続し、極端な行動を繰り返す症状で、12歳までの子供によく見られます。児童では抑うつが怒りとして表れることがよくあります。重篤気分変調症を示す方は、青年期や成人期になるとうつ病や不安症を呈しやすいと言われています。

うつ病

抑うつ気分や、興味や喜びの喪失が2週間以上続く他、以下の症状が見られます。うつ状態を示さなくなる時期もありますが、大半は繰り返します。

  • 食欲の増減
  • 不眠または過眠
  • 疲労感
  • 無価値感
  • 罪責感
  • 思考力や集中力の減退
  • 死についての思考

双極性障害

抑うつと躁(気分の高揚、開放的または易怒的になる)の両方がみられます。躁が現れる前は、うつ病など抑うつを呈するほかの疾患との区別が難しいです。

持続性抑うつ障害

抑うつ気分がほとんど一日中続く状態が、長く継続して(成人では2年以上、子どもでは1年以上)見られると診断されます。

月経前不快気分障害

月経開始前のおよそ2週間前から、以下の症状のうち少なくとも5つの症状が認められ、かつ月経開始後数日以内に軽快する場合、診断されることがあります。

  • 感情の不安定性
  • いらただしさ
  • 抑うつ気分
  • 不安や緊張
  • 通常の活動における興味の減退
  • 集中困難の自覚
  • 倦怠感
  • 食欲の変化
  • 不眠または過眠
  • 他の身体症状

器質性精神障害

身体疾患が原因で抑うつを呈することがあります。原因となる疾患としては、脳梗塞、脳腫瘍、パーキンソン病、甲状腺機能低下症、慢性肺疾患などがあげられます。

物質・医薬品誘発性抑うつ障害

抑うつ気分や、興味や喜びの減退が、ある種の薬や化学物質の使用中もしくは離脱期間(使用を中止したり使用量を減らしたりしている時期)に見られます。

適応障害

自分が置かれた環境や病気に対してうまく適応できず、抑うつ気分や不安感などの感情面の症状や、全身の倦怠感や不眠といった行動面の症状を呈する病気です。ストレス因がなくなると6ヶ月以内に症状が治まるのが特徴です。

心的外傷後ストレス障害

トラウマ的になるような出来事に遭った後に、抑うつなどを起こすことがあり、「心的外傷後ストレス障害」と呼ばれます。

さらに詳しく:抑うつの原因として、どのような病気が考えられますか?監修医師日下 慶子精神科・心療内科
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受診の目安・何科を受診するべきか

抑うつの場合、どの診療科を受診したらよいですか?

精神科や心療内科を受診しましょう。

精神科や心療内科を受診しましょう。どの診療科を受診してよいかわからないときは、かかりつけの医師に相談してみましょう。

さらに詳しく:抑うつの場合、どの診療科を受診したらよいですか?監修医師日下 慶子精神科・心療内科

抑うつが疑われる場合、受診の目安はありますか?

休養をとることで回復することもありますが、症状が長く続き、日常生活に支障をきたしていると感じた場合は、早めに精神科や心療内科を受診しましょう。

希死念慮(「死にたい」といった気持ち)が強い時は、至急精神科救急の受診を検討しましょう。「夜間休日精神科救急医療機関案内窓口」で、最寄りの医療機関をご確認できます。
また、特に強い希死念慮に苛まれているといった状況でなくとも、気分の落ち込みや思考力・集中力の低下、睡眠障害などにより生活に支障が出ている場合は、受診をおすすめします。症状が2週間以上続いている場合にも、医療機関を受診しましょう。

さらに詳しく:抑うつが疑われる場合、受診の目安はありますか?監修医師日下 慶子精神科・心療内科
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対処法・セルフケア

抑うつ状態の治し方には何がありますか?

主に仕事などのストレスが原因となることが多いので、十分に休養をとることが大切です。その他に薬物療法、心理療法、カウンセリングなどの治療法があります。

「抑うつ」の治療としては下記のようなものが挙げられます。

休息・環境調整

無理をせず、しっかりと休息をとることが大切です。休息をとるのが難しい環境(家事や育児をしなければならないなど)であれば、休めない原因をなるべく減らすなどの環境調整が重要になります。また、抑うつのきっかけとなった明らかなストレスがある場合は、できるだけストレスと距離をとれる環境に身を置くことが望ましいでしょう。

薬物療法

うつ病の場合は抗うつ薬により、双極性障害の場合は気分安定薬により、抑うつの改善が期待できます。また、眠れない、不安がある、落ち着かないなどの症状により休息がとれない場合は、症状を和らげる対症療法が効果的です。

社会心理的治療

精神療法、認知療法、対人関係療法、行動療法などの効果が研究されています。柔軟な考え方や適応しやすい行動様式を身につけることで、抑うつが改善することがあります。

さらに詳しく:抑うつ状態の治し方には何がありますか?監修医師日下 慶子精神科・心療内科
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検査・診断

抑うつ状態と診断された場合、どのようにすればよいですか?

ストレスから距離を置き、心身を休めましょう。環境調整、薬による治療、認知行動療法などの心理的アプローチのうちから、実行可能なものを試してみましょう。

抑うつ状態と診断されたときは、以下のような対処法があります。

できる限りストレスから距離をとること

ストレス因子に適応できないと抑うつ状態になることがあります。
仕事が負担で抑うつ状態になっているならば仕事を減らしたり休んだりする、家事や育児が負担の場合は家族に頼むなどして負担を減らすなど、ストレスと距離を取り、心身を休める時間を増やしてみましょう。

環境調整

仕事がストレスの場合でも、いつまでも仕事を休むわけにはいきません。苦手な業務から外してもらったり異動を相談したり、ストレスを減らすための環境調整が可能かどうか相談してみましょう。
今の会社が合っていないなら転職もひとつの方法ですが、体調が悪い時に大きな決断をするのはやめましょう。
家のことがストレスであれば、自分が引き受ける役割を減らしたり変えたりするなどできないかどうか、ご家族と相談しましょう。

抑うつに対する薬物療法

セロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質に関わる脳の機能不全により、抑うつ状態が生じている場合には、薬物療法が効果的なことがあります。
効果が現れるまで数日~数週間かかることが多いですので、主治医の指示を守って一定期間は内服を続けましょう。

不眠など苦痛のある症状を和らげる治療

抑うつ状態に加えて、眠れない、食べられない、頭痛がするなどの症状を伴う場合、症状をやわらげる対症療法を行うことで、気分もよくなることがあります。つらい症状があるときは、主治医に相談してみましょう。

認知行動療法などの心理的アプローチ

ものごとのとらえ方や行動に働きかけて、考え方のバランスをとったり、問題と折り合いをつけるアプローチです。
対面のカウンセリング以外にも、オンラインカウンセリングやアプリといった選択肢が出てきていますので、ご自身に合うものがあるか、主治医に聞いてみましょう。

さらに詳しく:抑うつ状態と診断された場合、どのようにすればよいですか?監修医師日下 慶子精神科・心療内科

抑うつ状態はどのように診断されますか?

気分の落ち込みや憂うつがどのくらい続いているのか、きっかけはあったか、食欲や睡眠について、身体の病気の有無などを聞かれます。精神科では、生活歴や家族歴についても質問があるでしょう。

抑うつ状態があるかどうかをみるために、

  • 「この 1 ヶ月の間、気持ちが沈み込んだり、憂うつな気分になったりすることがよくありましたか?」
  • 「この 1 ヶ月の間、どうも物事に対して興味がわかない、あるいは心から楽しめない感じがよくありましたか?」

という質問がされることがあります。

ある場合には、どのくらい続いているのか、何かきっかけはあったのかが聞かれます。

また、抑うつ状態を引き起こしうる身体の病気や、薬の作用によるものもあるため、心理的なものだと決める前に、うつ症状の原因になっているものがないかどうかを探すことも重要です。

精神科や心療内科では、生い立ちとライフイベントとの関連や、発達特性、パーソナリティーの傾向について知るための質問がされることもあるでしょう。

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抑うつの薬

希死念慮を抱いている人には、どのような薬が有効ですか?

気分を安定させたり、衝動性をやわらげたりする薬が用いられることが多いでしょう。アルコールやある種の抗不安薬・睡眠薬は衝動的になりやすくなることがあるので、避けるほうが望ましいでしょう。

ベンゾジアゼピン系睡眠薬や抗不安薬によって衝動的になりやすい方がいらっしゃるため、このような薬はできる限り少なくするほうがよいでしょう。また、アルコールの摂取もやめておきましょう。

薬物療法としては、ベースの抑うつ状態を改善するための抗うつ剤が用いられることもあります。また、抗精神病薬や気分安定薬など、衝動性を押さえてくれるような作用の薬が用いられることもあります。

いずれにしても、自己判断で調整することはせず、必ず主治医に相談しましょう。

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抑うつに関連するその他の質問

「抑うつ」と「うつ病」の違いは何ですか?

一時的に憂鬱な気持ちになることや気分が落ち込むことを「抑うつ気分」「抑うつ状態」と言い、これらは病気ではなく状態を指します。症状が重かったり期間が長引いたりすると、「うつ病」と診断される場合があります。

「抑うつ」は、症状あるいは状態像(症状のパターンを型にまとめたもの)を指す言葉であり、病名ではありません。他方「うつ病」は病名であり、診断基準に沿って診断が下った場合に告げられるものになります。
なお、うつ病の症状の1つとして抑うつが見られることがよくありますが、抑うつがあれば必ずうつ病というわけではありません。うつ病以外にも抑うつを呈する疾患はあります。また、抑うつ状態でなくても、他の診断基準を満たせばうつ病と診断されることがあります。

さらに詳しく:「抑うつ」と「うつ病」の違いは何ですか?監修医師日下 慶子精神科・心療内科

希死念慮を抱いている人に対して、どのように対処すればよいですか?

専門家や公的な支援につながるサポートをしましょう。周囲の方だけでは見守りが難しい場合は、入院による治療が検討される場合もあります。

自殺企図や切迫した希死念慮がある場合は、入院治療の適応になることもあります。まずは、かかりつけの精神科に相談しましょう。ご本人だけでなく親族の方も一緒に受診するほうがよいでしょう。

夜間、休日でかかりつけの医療機関にすぐに相談できない場合は、自治体の精神科救急医療機関案内窓口に相談してみましょう。

切迫はしていないけれども希死念慮がある場合、死にいたる可能性は高くないけれども自傷行為がある場合は、周りの方が意見を挟まずに話を聞き、精神科医や心理士など専門家につながるサポートをお願いできると助かります。

医療機関だけでなく、地域の精神保健福祉センターや保健所にも尋ねてみてください。

さらに詳しく:希死念慮を抱いている人に対して、どのように対処すればよいですか?監修医師日下 慶子精神科・心療内科

抑うつ状態を理由に休職することは可能ですか?可能な場合、復帰までの道のりについて教えてください。

会社の規定に定めている手続きをとることで、休職したり復職したりすることは可能です。会社に確認しましょう。

抑うつ状態を理由に休職することが可能かどうかは、雇用契約の形態や就業規則によります。

無期雇用として雇用されていて、就業規則に休職規定があるのなら、休職事由に当てはまれば休職することが可能です。

通常、主治医の”療養を要する”旨の診断書を提出することによって、会社から休職を命じられることで休職扱いとなります。

復職までの道のりについても、会社のルールにのっとったプロセスを経ることが必要ですが、主治医からの”復職が可能である”旨の診断書の提出や産業医面談が必要になる場合が多いでしょう。

会社によっては独自の復職準備プログラムや試し出勤制度を定めている場合もあります。

詳しくは、お勤めの会社の人事担当者や産業保健職に尋ねてみましょう。

さらに詳しく:抑うつ状態を理由に休職することは可能ですか?可能な場合、復帰までの道のりについて教えてください。監修医師日下 慶子精神科・心療内科
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抑うつについて、医師からのよくある質問

医師からよくある質問はありますか?

「うつ」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。

  • 最近、気持ちが落ち込んでいると感じますか?
  • 体のだるさはありますか?
  • 夜によく眠れないと感じていますか?
  • 食欲がなく、食事量が減っていると感じますか?
  • ほとんど毎日疲れているか、なにもやる気がしないような状態ですか?

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この記事の監修医師

監修医師 阿部 吉倫

阿部 吉倫

内科

2015年東京大学医学部医学科卒。東京大学医学部付属病院、東京都健康長寿医療センターで初期研修を修了。血便を放置し48歳で亡くなった患者との出会いをきっかけにデータサイエンスの世界へ。2017年5月にUbie株式会社を共同創業。2019年12月より日本救急医学会救急AI研究活性化特別委員会委員。2020年 Forbes 30 Under 30 Asia Healthcare & Science部門選出。

更新日
2026/05/20
公開日
2020/06/30