神経障害性疼痛
監修医師原瀬 翔平亀田総合病院 脳神経内科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2022/02/15
神経障害性疼痛とは
外傷や脳梗塞・脳出血、様々な原因によって神経が傷つき痛みを認める症状を指します。痛みだけでなく灼熱感やチクチクしたり、温度や触覚に過敏になることもあります。
「神経障害性疼痛」とはどのような病気ですか?
神経が十分に機能しないことで痛みを感じる病気です。
体の感覚を感じ取っている神経の病変や病気により、神経が十分に機能しないことで起こる痛みのことを言います。
神経に起こる病変や病気は、物理的な圧迫や感染・膠原病など、さまざまであり、つまり、神経障害性疼痛を起こす原因はさまざまと言えます。
感覚を感じ取る神経が十分に機能しないと、文字通り感覚を感じ取ることは難しくなるにもかかわらず、自発的に痛みを感じたり、感覚過敏になったりします。このように、刺激がない、もしくは軽いにもかかわらず感じる痛みには、神経障害性疼痛と、心因性疼痛の二つが考えられます。
神経障害性疼痛と診断された場合には、原因を探し、治療可能であれば原因の治療を行います。また、原因不明であったり、治療が困難な場合は、対症療法(病気の根本的治療ではなく現れた症状への対応としての治療)を行います。いずれにせよ、完全に痛みが取り除かれることは少なく、ある程度付き合っていくしかないことが多いです。
神経障害性疼痛の症状
神経障害性疼痛ではどのような症状がありますか?
「灼けるような」「ビーンと走るような」などと表現される痛みがあります。
神経障害性疼痛では、感覚を感じ取る神経が十分に機能せず、自発的な痛みや衣類が触れたり、冷温風があたっただけで(通常なら痛いはずのないような軽い刺激で)、すごく痛く感じるアロディニアなどの症状が出ます。
痛みは以下のように表現されることが多いです。
- 灼けるような
- 電撃痛、ビーンと走るような
- 刺すような
- 冷たい、凍るような
- むず痒い
など
また、痛みから恐怖やネガティブな思考となり、不眠になってしまったり、痛みを伴うような日常生活を避けることで筋力が落ち、ますます動けなくなってしまったりと悪循環を起こすことがあります。
神経障害性疼痛の原因
神経障害性疼痛の原因は何がありますか?
周囲の組織や腫瘍による神経の圧迫や、糖尿病や帯状疱疹による神経の損傷などによって起こります。
体の感覚を感じ取っている神経自体の病変や病気により、神経が十分に機能しないことで起こる病気です。神経自体の病変や病気は、以下のように多岐にわたります。
- 怪我によるもの
- 物理的な圧迫によるもの(手根管症候群、脊柱管狭窄症など)
- 自己免疫性(ギランバレー症候群・シェーグレン症候群などの膠原病)
- 栄養代謝性(アルコール、糖尿病、甲状腺機能低下など)
- 中毒性
- 感染性(帯状疱疹など)
- 腫瘍性
- 変性疾患
など
神経障害性疼痛の治療・対処法
神経障害性疼痛への対処法は?
まずは病院を受診します。基本的には内服の痛み止めから開始して痛みを軽減します。内服だけでは痛みが改善しないことも多く、その場合は理学療法や作業療法、神経ブロック等を行うことがあります。
神経障害性疼痛の場合、主にどのような治療をしますか?
基本的には薬の内服で治療を行いつつ、リハビリテーションを行っていきます。
神経障害性疼痛は痛みに伴い、生活の質が低下することの多い病気です。
治療の目標は痛みの緩和のみでなく、生活の質の向上、充実した日常生活を送れるようになることが大切になってきます。
痛みの緩和については、まず薬の内服で治療を行います。使用する薬は、プレガバリンや抗うつ薬、抗てんかん薬など、さまざまな薬を試します。薬の効果があまりなかったり、副作用で使えないような場合には、神経刺激療法や神経ブロック療法などを行うこともあります。また、リハビリテーションを行い、自信を取り戻してもらうことも大切です。
受診の目安・何科を受診するべきか
神経障害性疼痛が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?
整形外科、脳神経内科、脳神経外科、心療内科、精神科を受診しましょう。
整形外科、脳神経内科、脳神経外科、心療内科、精神科を受診しましょう。
治療を行う科は原因によって異なります。まずは、原因検索を行う必要がありますので、整形外科、脳神経内科を受診し、原因により適切な科を紹介してもらうのが良いでしょう。ただし、原因がわからないこともあり、原因不明の場合や根本治療が困難な場合は、ペインクリニックで対症療法(病気の根本的治療ではなく現れた症状への対応としての治療)を行うこととなる場合もあります。対症療法を行なっても、完全に痛みがなくなることは少ないため、ある程度付き合っていかないといけない場合が多いです。
神経障害性疼痛の専門医がいる近くの病院はありますか?
神経障害性疼痛の専門医がいる病院を見る神経障害性疼痛の薬
神経障害性疼痛は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?
抗うつ薬や抗てんかん薬がよく用いられます。
第一選択の薬はプレガバリンやデュロキセチン、三環系抗うつ薬です。既往や内服薬、アレルギーの有無、年齢などにより選択します。
プレガバリンの副作用
眠気・ふらつき・めまいなどがあるため、特に高齢の方は少量から開始することが望ましいです。
デュロキセチンの副作用
眠気と吐き気が起こることがあります。
三環系抗うつ薬の副作用
高齢の方では転倒や心臓による突然死が報告されており、少量から始め、慎重に薬を飲む必要があります。
そのほか、抗てんかん薬や漢方薬なども使用します。
神経障害性疼痛に対して、漢方薬はどれくらい効果があるのでしょうか?
漢方薬の効果は十分に検討されていません。効くと感じる方もいれば、感じられない方もいます。
現時点で、効果が証明された漢方薬はありません。牛車腎気丸や葛根湯など、効果があると報告されている薬はありますし、実臨床では使用することもあります。
効果があるかどうかは、どんな薬でも人それぞれのところがあります。漢方薬は、東洋医学の観点から、同じ病名であっても一人一人違った処方となることがあるため、情報の集積解析が難しいと言われています。
対処法・セルフケア
神経障害性疼痛で薬が効かない場合、どうしたらよいですか?
リハビリテーションを行いつつ、神経刺激療法や神経ブロック療法を試すこともあります。
薬は、神経障害性疼痛を完治させるものではありません。痛みを緩和させることで、日常生活の中で自分でできることを増やし、生活の質を向上させ、充実した日常生活を送ることを目標にしています。
薬で完全に痛みを取り除くことは難しいことをあらかじめ理解し、ある程度病気と付き合っていくことが必要になります。リハビリテーションを行いつつ、自信を取り戻していきましょう。また、神経刺激療法や神経ブロック療法を試すこともあります。主治医に相談しましょう。
神経障害性疼痛の場合、日常生活で気を付けることはありますか?
痛みを正しく認識すること・日常生活動作を維持することが必要です。
痛みを正しく認識すること・日常生活動作を維持することが必要です。
神経障害性疼痛は、痛みに伴い生活の質が低下することの多い病気です。神経障害性疼痛の痛み自体がストレスとなり、恐怖やネガティブな思考から、不眠になってしまったり、痛みを伴うような日常生活を避けることで筋力が落ち、ますます動けなくなってしまったりと悪循環を起こすことがあります。
治療の目標は痛みの緩和のみでなく、生活の質の向上、充実した日常生活を送れるようになることが大切になってきます。リハビリテーションを行いつつ、前向きに痛みと付き合っていけるよう主治医とも相談してください。
神経障害性疼痛に関連するその他の質問
神経障害性疼痛はストレスで起こりますか?
精神的ストレスにより、似たような症状が出ることはあり、心因性疼痛と言います。
精神的ストレスにより、似たような症状が出ることはあり、心因性疼痛と言います。
神経障害性疼痛が、ストレスにより悪化することはあります。神経障害性疼痛の痛み自体がストレスとなり、恐怖やネガティブな思考から、不眠になってしまったり、痛みを伴うような日常生活を避けることで筋力が落ち、ますます動けなくなってしまったりと悪循環を起こすことがあります。
神経障害性疼痛について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「神経障害性疼痛」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 皮膚を触ってないのに、ジンジンやピリピリとしびれる感じがしますか?
- 胸の痛みはピリピリしびれるような感じですか?
- 手足に痛みがありますか?
- 腕・肩を動かしたときに痛みが悪化しますか?
- 帯状ほうしんのぶつぶつが出来ていますか?
神経障害性疼痛に関連する病気・症状
このページを見ている人はこんな病気も見ています
このページを見ている人は他にどんな病気を見ていますか?
この記事の監修医師
原瀬 翔平
亀田総合病院 脳神経内科・内科
University of Washington (理学部、分子細胞生物学) 卒業後、アップルジャパン株式会社勤務を経て、琉球大学医学部に入学。沖縄県立中部病院での初期臨床研修(2016, 2017年度最優秀研修医賞受賞)修了後、2018年4月に亀田総合病院に入職。同院脳神経内科ベスト指導医(2019, 2020)を受賞。2018年から亀田総合病院卒後研修センター長補佐も兼任しており、臨床だけでなく研修病院における医学教育にも力を入れている。2021年には国立循環器病研究センター脳血管内科で超急性期脳卒中診療を行う。 総合内科の視野を持ちながらの脳神経内科領域、特に脳卒中を専門とする。急性期だけでなく予防、慢性期脳卒中による症候性てんかん、高次脳機能評価、リハビリ、等にも精通。頭痛、しびれ、物忘れ等の主訴にも柔軟に対応できる。 日本語、英語(ネイティブ)、中国語(日常会話)での対応も可能。
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2022/02/15