妊娠高血圧症候群の症状は?妊娠高血圧症候群
監修医師金沢 誠司産婦人科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03
妊娠高血圧症候群とは
妊娠中に高血圧を認める状態で、様々な合併症があり、慎重な管理が必要になります。リスクとしては、高齢や肥満、初産婦などが挙げられます。
「妊娠高血圧症候群」とはどのような病気ですか?
妊娠中に血圧が高くなる病気です。血圧以外にもむくみや頭痛、赤ちゃんの調子が悪くなるなどさまざまな悪影響をもたらします。
「妊娠高血圧症候群」とは妊娠中に血圧が高くなるなど、さまざまな状態の総称です。血圧が高くなるだけではなく、肝臓や腎臓、脳の障害、痙攣、赤ちゃんの発育不全など、母子ともにさまざまな悪影響をもたらすこともあります。これらの症状を伴う病態(特定の病気における症状や徴候のこと)を、特に妊娠高血圧腎症と呼びます。
妊娠高血圧腎症は妊婦さんの3~5%程度に認められ、妊娠に伴う重篤な合併症のひとつです。現時点では根本的な治療法はないため、予防と早期発見が重要となります。
妊娠高血圧症候群の症状
妊娠高血圧症候群には初期症状はありますか?
自覚症状は少なく、妊婦健診で見つかることが多いです。頭痛やむくみがあることもあります。
発症初期には症状を伴わないことが大半です。妊婦健診の時に血圧が高いことで見つかることが多いです。
以下のような症状などがあり、測定してみたら血圧も高く、妊娠高血圧症候群と診断されることもあります。
自覚症状が乏しいまま急激に悪化することもあるため、定期的に妊婦健診を受ける必要があります。
血圧が高くない状態であっても、尿蛋白がある、前回妊娠時も妊娠高血圧症候群であった場合などは、通院や自宅での血圧測定が必要になることもあります。
妊娠高血圧症候群ではどのような症状がありますか?
自覚症状がないこともありますが、むくみ、頭痛、気分不快などのさまざまな症状を伴うこともあります。
妊娠高血圧症候群では血圧が高くなるのみで、自覚症状を伴わないことも少なくありません。一方で、母体の全身の臓器に障害をもたらすことがあり、さまざまな症状が起こり得ます。
代表的なものとして、以下のようなものが挙げられます。
また、頻度は高くないですが、以下のような症状が見られることもあります。
- 視覚障害
- 上腹部痛・右側腹部痛
- 呼吸困難
- 痙攣発作・意識障害
- 急激な下腹部痛・不正出血
妊娠高血圧症候群の原因
妊娠高血圧症候群の原因は何がありますか?
明確な原因は分かりませんが、胎盤が関係していると考えられています。高血圧や基礎疾患の有無などが、発症のリスク因子になります。
妊娠高血圧症候群は妊娠中に血圧が高くなる状態の総称であり、胎盤で産生される因子が発症に関わっていると考えられていますが、明確には解明されていません。
妊娠高血圧症候群発症のリスク因子としては、以下のようなものが挙げられます。
- 妊娠前からの高血圧
- 前回妊娠時の高血圧
- 家族歴(実母が妊娠高血圧症候群であるなど)
- 肥満・糖尿病
- 高齢での妊娠・体外受精
- 初回妊娠
- 基礎疾患(腎疾患、抗リン脂質抗体症候群など)
- 多胎妊娠(双子など)
妊娠高血圧症候群の検査・診断
妊娠高血圧症候群のセルフチェックはできますか?
妊娠高血圧症候群のセルフチェックは、自宅での血圧測定が重要となります。
妊娠高血圧症候群のセルフチェックの方法としては、自宅での血圧測定が重要となります。
140/90mmHg以上など、普段と比較して血圧の上昇がみられる場合には、妊婦健診先の産婦人科に相談しましょう。
また、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えることでもセルフチェックができます。
妊娠高血圧症候群の治療・対処法
妊娠高血圧症候群への対処法は?
自宅で血圧を測るとともに、日々の体調変化にも注意してください。何か異常がある場合は早めにかかりつけ産婦人科で相談してください。
妊娠高血圧症候群の場合、主にどのような治療をしますか?
合併症の予防などを目的として、降圧薬や抗けいれん薬を使用することがあります。根本的な治療は出産となります。
妊娠高血圧症候群の代表的な治療法としては、以下のようなものが挙げられます。
降圧薬
血圧の適切な管理は、母体の脳出血や痙攣発作を予防する可能性があります。一方で、血圧が下がりすぎると赤ちゃんの具合が悪くなる可能性があるため、慎重な服用が必要となります。
抗けいれん薬
妊娠高血圧症候群ではけいれん発作が起きてしまうこともあり、けいれんの予防も非常に重要となります。けいれん発作の前兆がある場合や、血圧が非常に高い場合に、抗けいれん薬が考慮されます。
分娩
妊娠高血圧症候群の根本的な治療法となります。妊娠週数と母子の状態を鑑みて、分娩時期を検討します。
受診の目安・何科を受診するべきか
妊娠高血圧症候群が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?また、病院を受診する目安はありますか?
妊婦健診先の産婦人科を受診しましょう。自宅での血圧が高い場合、むくみがひどい、頭痛や気分不快がある場合などは、積極的に相談してください。
妊娠に伴う合併症であるため、妊婦健診先の産婦人科を受診すると良いでしょう。
以下のような症状がある場合は、積極的に妊婦健診先に相談してください。
なお、妊婦健診先が夜間・休日診療していない場合には、地域の総合病院の産婦人科を受診してください。
妊娠高血圧症候群の専門医がいる近くの病院はありますか?
妊娠高血圧症候群の専門医がいる病院を見る妊娠高血圧症候群の予防
妊娠高血圧症候群は予防できますか?
確実に予防することはできませんが、適度な運動や経口薬の内服などで、リスクを減らすことができるかもしれません。
妊娠高血圧症候群を確実に予防することはできませんが、発症リスクを減らせる可能性があることとしては、以下のようなものが報告されています。
- 適度な運動
- カルシウム摂取
- ビタミンD接種
- 薬剤(アスピリンなど)
中でも低用量のアスピリン摂取は有効性が高いと考えられてきており、世界的にも予防策として使用される頻度が増えてきています。ただし、不正出血などの副作用もあるため自己判断は危険ですので、必ず妊婦健診先の主治医にご相談ください。
参考文献
日本妊娠高血圧学会. 妊娠高血圧症候群の診療指針2021. MEDICAL VIEW. 2021
Yuan-Hui Liu et al. Comparative effectiveness of prophylactic strategies for preeclampsia: a network meta-analysis of randomized controlled trials. Am J Obstet Gynecol
. 2023, 228, p.535-546.
Abigail Perry et al. Dietary factors that affect the risk of pre-eclampsia. BMJ Nutr Prev Health. 2022, 5, p.118-133.
妊娠高血圧症候群に関連するその他の質問
妊娠高血圧症候群の場合、胎児への影響はありますか?
胎児にも影響します。お腹の中で育ちが悪くなることなどがあります。
妊娠高血圧症候群は母体のみならず、胎児にも影響があります。代表的な影響としては以下のようなものが挙げられます。
妊娠中の影響
子宮内での発育不良
妊娠高血圧症候群では、胎児の育ちが悪くなることがあります。最悪の場合には、子宮内で死亡してしまうこともあります。
早産に伴う未熟性
妊娠高血圧症候群が原因で、早産を余儀されることがあります。その場合、未熟性によって赤ちゃんにさまざまな影響をもたらします。
出生後の影響
出生後においても、高血圧などになりやすくなる可能性が指摘されています。
参考文献
BMJ.“Hypertensive disorders of pregnancy”.theBMJ.https://www.bmj.com/content/381/bmj-2022-071653.long,(参照 2024-03-21).
日本妊娠高血圧学会. 妊娠高血圧症候群の診療指針2021. MEDICAL VIEW. 2021
Hannah R. Turbeville, andJennifer M. Sasser. Preeclampsia beyond pregnancy: long-term consequences for mother and child. American Journal of Physiology-Renal Physiology. 2020, 318, p.1315-1326.
妊娠高血圧症候群の場合、帝王切開になりますか?
経腟分娩を行うこともありますが、帝王切開が必要となることもあります。
妊娠高血圧症候群の場合でも、母子の状態が安定していれば第一選択は経腟分娩となるため、妊娠高血圧症候群=帝王切開術というわけではありません。
一方で、妊娠週数や母子の状態によっては経腟分娩は望ましくない、間に合わないと判断する例もあり、帝王切開術が必要となることもあります。そのため、全体として帝王切開術となる可能性がやや高くなります。経腟分娩を行う際は適切な血圧管理や痙攣予防のために、降圧薬、抗けいれん薬、硬膜外麻酔(無痛分娩)などを使用することもあります。
妊娠高血圧症候群の場合、どんな食事をすればいいですか?
栄養指導に従って、バランスの良い健康的な食生活を送りましょう。
妊娠高血圧症候群はいわゆる生活習慣病ではなく、さまざまな要素が絡み合って発症する周産期合併症です。妊娠高血圧症候群だからといって、特別な食事内容は必要ないでしょう。
通常の高血圧とは異なり、妊娠高血圧症候群では減塩の治療効果は限定的だと考えられています。過度な減塩は避け、バランスの良い健康的な食事をとると良いと考えられます。適度な減塩、ビタミンやカルシウムなどの摂取といった健康的な食生活を送ることは、妊娠高血圧症候群を予防できる可能性があるとされています。
妊娠中毒症にはどのような人がなりやすいですか?
糖尿病や高血圧、肥満、高齢妊娠の人などがなりやすいです。
妊娠中毒症は、現在では妊娠高血圧症候群と呼ばれています。妊娠高血圧症候群のリスク因子としては、以下のようなものが挙げられます。
- 妊娠前からの高血圧
- 前回妊娠時の高血圧
- 家族歴(実母が妊娠高血圧症候群であるなど)
- 肥満・糖尿病
- 高齢での妊娠・体外受精
- 初回妊娠
- 基礎疾患(腎疾患、抗リン脂質抗体症候群など)
- 多胎妊娠(双子など)
これらのリスク因子がある場合には医師と相談の上、妊娠高血圧症候群に対する予防策について検討した方が良いでしょう。
妊娠高血圧症候群と妊娠中毒症に違いはありますか?
従来は妊娠中毒症と呼ばれていましたが、2005年に妊娠高血圧症候群に改称となりました。
妊娠高血圧症候群と妊娠中毒症は、基本的には同じ病態(特定の病気における症状や徴候のこと)を指す病名です。
従来は妊娠中毒症と呼んでいましたが、主な病態が高血圧であることから、2005年に妊娠高血圧症候群として改称しています。
なお、妊娠高血圧症候群・妊娠中毒症の定義はこれまでも定期的に見直されており、含まれる病態も多少異なります。妊娠高血圧症候群自体も、妊娠高血圧腎症、加重型妊娠高血圧腎症などと、症状に応じていくつかのタイプに分けられています。
妊娠高血圧症候群について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「妊娠高血圧症候群」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 妊娠中ですか?
- 確定していないけれど、妊娠の可能性はありますか?
- 蛋白尿(1+以上)を指摘されていますか?
妊娠高血圧症候群に関連する病気・症状
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この記事の監修医師
金沢 誠司 先生
産婦人科・産科・婦人科
産婦人科専門医・医学博士。新潟大学医学部卒、東北大学大学院修了。 国立成育医療研究センター等の高度周産期施設で胎児診療や臨床研究に従事したのち、Ubie株式会社にて医療AI開発を通じた医療のDX化を推進。 現在は、臨床の最前線で胎児超音波や出生前診断を専門としつつ、これまでの臨床知見とAI開発経験を融合。女性がライフスタイルに合わせて健康をデザインする「マタニティ・ストラテジスト」として活動。全女性が根拠ある医療情報を手にし、戦略的に体調を管理するためのメディア [Platform Women's](https://platform-womens.jp/) を主宰している。
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03