高齢者の場合、太っているほうが長生きするという「肥満パラドックス」は本当ですか?
肥満パラドックスという現象は見られますが、真実かどうかについてはエビデンスが不足しています。
高齢者の場合、太っている方が一見長生きするように見える肥満パラドックスという現象があります。しかし、肥満が死亡率を下げるという、はっきりとしたエビデンスはなく、多くは観察研究で見られる測定誤差・交絡因子(原因と結果の両方に影響を与える未確認の要因)・逆因果(原因と結果が逆)による見かけ上の現象です。
- 高齢者の多くが体重減少を伴う慢性疾患(心不全、悪性腫瘍など)を持っているため、実は痩せている集団に重症者が多く含まれている
- 喫煙者は痩せていることが多く、死亡率を上げる交絡因子になっている
- 高齢者は身長の低下や筋肉量の減少があり、BMIが正確な肥満(体脂肪量)の指標にならない(例:BMIは22と正常だが筋肉が少なく脂肪が多いなど)
などの理由が考えられます。高齢者において、「肥満があると寿命が長い」という因果関係は明らかではありません。
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医療法人社団メレガリ うるうクリニック関内馬車道 糖尿病・内分泌科
濵﨑 秀崇 監修
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