乳がんのステージ1やステージ2では抗がん剤を使用しますか？

ステージ1、 2はガイドライン上、早期乳がん（ステージ1、 2、 3A）に含まれますので、ここでは早期乳がんに対する手術前後の薬物治療について触れます。

また、「抗がん剤」には脱毛や嘔吐等の副作用を伴うことが多い「殺細胞抗がん剤」による化学療法だけではなく、ホルモン治療やHER2と呼ばれる分子を標的とした薬物治療も「抗がん剤」に含まれると考え、以下にご説明を続けさせていただきます。

ステージ1、2ともに外科治療として、乳房部分切除または乳房全切除術が行われますが、必要に応じて手術前後に薬物療法が行われます。特に手術前の薬物療法によってがんが小さくなれば部分切除が行える可能性が出てきます。

薬物治療では、まずはサブタイプと呼ばれる治療効果の予測因子を調べます。

• ホルモン受容体の発現の有無
• HER2遺伝子異常の有無

これらの因子によって、大まかに以下の3つのサブタイプに分かれます。

1. ホルモン受容体陽性
2. HER2陽性
3. トリプルネガティブ（ホルモン受容体もHER2も陰性）

①はホルモン治療、②は抗HER2療法が行われます。

それらに加えて化学療法を行うかどうかは、腋窩リンパ節転移の有無や腫瘍の大きさなどによる再発リスクや遺伝子検査の結果に基づいて決められます。

トリプルネガティブおよびHER2陽性乳がんでは「腫瘍が 0.5cm以上または腋窩リンパ節転移あり」であれば化学療法が行われます（HER2陽性乳がんは抗HER2療法併用します）。

ホルモン受容体陽性乳がんは病期、悪性度、遺伝子検査結果などを参考に判断されます。一般的に「リンパ節転移なし、腫瘍の大きさ1cm以下で」あればホルモン治療だけで化学療法は行わないことが多いでしょう。