高齢者が悪性中皮腫になった場合の余命(生存率)はどのくらいですか?
悪性中皮腫全体の余命として報告されている1年前後と同程度か、それよりも短い可能性が考えられます。
悪性中皮腫患者さん全体の余命は1年前後、5年生存率(診断から5年後に生存している患者さんの割合)は10%以下と報告されていますが、高齢者の場合でもこれと同程度か、それよりも余命が短い(生存率が低い)可能性が考えられます(2020年報告)。
この理由としては第一に、悪性中皮腫はアスベスト曝露から25~50年後に発症するとされており、患者さんの多くは高齢者であるためです。
第二に、高齢者では若年者よりも予後が悪いという研究結果がしばしば報告されています。ただし、高齢者と若年者で予後に差はないとする報告もあり、一定の結論は得られていません。
第三に、悪性中皮腫の治療は、病気の進行度や患者さんの状態に応じて手術・放射線治療・抗がん剤治療を、それぞれ単独または組み合わせて行いますが、高齢者の場合、治療による体の負担が大きいと考えられるために、治療をせず経過をみるケースも少なくありません。
これらのことから、高齢者の場合も悪性中皮腫の予後は依然として非常に悪いと言えます。
京都大学医学部付属病院呼吸器内科 呼吸器内科
山城 春華 監修
(参考文献)
中野喜久雄ほか. 悪性胸膜中皮腫の臨床的ならびに生物学的予後因子の検討. 日本呼吸器学会雑誌. 2007, 45, 153~159.
特定非営利活動法人日本肺癌学会.肺癌診療ガイドライン2024年版.日本肺癌学会,https://www.haigan.gr.jp/publication/guideline/examination/2024/2/0/240200000100.html(参照 2025-01-17)
がん研究振興財団.“がんの統計 2022”.がん情報サービス.https://ganjoho.jp/public/qa_links/report/statistics/pdf/cancer_statistics_2022.pdf,(参照 2025-01-17).
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